ひたすら同じメニューを食べ続ける…大谷翔平がアメリカに渡ってから続けているストイックすぎる食生活【2024上半期BEST5】

2024年9月15日(日)16時15分 プレジデント社

自ら「睡眠欲がすごい」と語る(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Liudmila Chernetska

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2024年上半期(1月〜6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。キャリア部門の第1位は——。(初公開日:2024年4月28日)
大谷翔平選手の食生活とはどんなものなのか。ジャーナリストの桑原晃弥さんの書籍『圧倒的な力で世界を切り拓く 大谷翔平の言葉』(リベラル社)より、食生活についてのエピソードをお届けする——。

■自ら「睡眠欲がすごい」と語る


健康ならば、やりたいことをやり切れる。(『Number 1069号』文藝春秋)


大谷翔平は、ほとんど外食をせず、健康にいい食事を心がけています。


また、自ら「睡眠欲がすごい」と語っているように、十分な睡眠をとることにとても気を遣っています。


写真=iStock.com/Liudmila Chernetska
自ら「睡眠欲がすごい」と語る(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Liudmila Chernetska

スポーツマンなら当然とも言えますが、超一流の結果を出すためには、体調管理の入念さも人並み以上ということでしょう。


大谷がこれほど健康にこだわるのは、「健康ならば、やりたいことをやり切れる」からです。


■100%の体調で練習できることが何より嬉しい


大谷は過去に手術によって投げることのできなかった時期もありますし、ケガで十分に身体を動かせなかった経験もしています。


大谷は言います。


「フィジカルをマックスで使って、100%の体調で強化する練習ができているのが何より嬉しいんです。ベクトルがリハビリに向かう練習か、全部の能力を上げたい練習なのか、どちらが上手くなりますかといったら、それは後者でしょう」


メジャーリーグの1年目にトミー・ジョン手術を受け入れたのも、「結果以前に、ああ、腕が振れないな、と思いながらマウンドへ行くのは楽しくない」からです。


不安なく、全力で練習し、全力でプレーできることは大谷にとって「ささやかではない幸せ」なのです。


■「体重を増やすこと」が課題だった


僕、味は二の次ですから。(『Number 1048号』文藝春秋)


大谷翔平の食事に対する考え方は独特です。


高校時代、大谷の一番の身体づくりの課題は筋肉量を上げることと、60キロ台の体重をさらに増やすことでした。


そのため、「朝からすごく食べていた」といいます。


寮でおにぎりをつくって学校に持っていって食べ、お弁当も食べ、なおかつ練習前にも食事をとっていたほど。


写真=iStock.com/kumikomini
寮でおにぎりをつくって学校に持っていった(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/kumikomini

目指す体重にはなれたものの、大谷にとっては、それはつらい日々でもありました。


ダルビッシュ有の指導を受けた


日本ハム時代は寮での食事が基本でしたが、入団して3年目を終えた冬、日本ハムはメジャーで活躍するダルビッシュ有を招き、大谷を含む何人かの指導を依頼します。


ダルビッシュは大谷たちと共に合同トレーニングを行い、栄養学とトレーニング理論を伝えます。


以来、大谷は食事から砂糖を排除し、白米ではなく玄米を選択。


また、トレーニング方法も変え、その後の圧倒的な成績につなげています。


アメリカに渡ってからは、ほとんど外食はせず、自炊がメインだと語っています。


基本的には同じものを同じ量だけ食べて、メニューも変えません。「その方がいろんなことがわかりやすい」し、「味は二の次」だと語っています。


大谷にとっては、食事もまた、野球のためなのです。


■敬遠の多さでベーブ・ルースに並ぶ


本当はもっともっとバットを振る中でゲームを楽しみたいなという気持ちもありましたけれど、今後のことを考えればいい経験ができたと思っています。(『Number 1040号』文藝春秋)

2021年シーズンからの大谷翔平への敬遠の多さは突出しています。


2023年の申告敬遠数は599打席に対し21個ですが、前年のホームラン王アーロン・ジャッジの7個(436打席)に比べると、その多さがわかるでしょう。


2021年、大谷は46本の本塁打を打ちながら、トップに2本及ばずタイトルを逃しました。


打てなかった理由の一つに挙げられているのが四球の多さです。


45号本塁打を打った後、大谷は「4試合で13四球」という、ベーブ・ルースやブライス・ハーバーに並ぶメジャー記録を打ち立てています。


写真=iStock.com/RBFried
敬遠の多さでベーブ・ルースに並ぶ(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/RBFried

■「アジア人だから敬遠された」は間違い


四球の多さの理由として「大谷がアジア人だから、タイトルを取らせないためではないか」といったうがった見方もありました。


けれども、実際には大谷の後ろを打っていた、強打者マイク・トラウトが同年5月に右ふくらはぎの負傷で長期離脱したため、エンゼルスの打線は「打てるのは大谷だけ」という状態になっていました。


四球や敬遠の多さについて大谷は「最終的にそのレベルに行きたいな」と思っていたものの、「少し早い」と感じたようです。


しかし、それすらも「いい経験にしていきたい」というのが大谷の考え方なのです。


■過度にリスペクトしていては勝てない


僕からはひとつだけ。憧れるのをやめましょう。(『大谷翔平 二刀流メジャーリーガー誕生の軌跡』辰巳出版)


スポーツでもビジネスでも、戦う相手や交渉相手に対して、過度のリスペクトや恐れを抱いていては持てる力の半分も出なくなります。たとえ実力があっても勝つことはできません。


勝つためには、精神状態をどのような状態に保てばいいのでしょうか?


第5回WBCの決勝直前、クラブハウスで「声出し」を初めて任された大谷翔平が強調したのは、有名選手がそろうアメリカチームに対するあこがれを捨て、勝つことだけを考えることでした。


■見事にアメリカを破り優勝


アメリカチームには、野球選手であれば誰もが名前を聞いたことのある素晴らしい実績の選手たちが名を連ねていました。


なかには、日本人選手が尊敬してやまない選手もいたはずですが、その敬意が災いして「あの選手を抑えられるはずがない」「あの選手の球を打てるはずがない」「あんなメンバー相手に勝てるわけがない」と弱気な気持ちになると、勝てるはずのものが勝てなくなってしまいます。


「今日1日だけはそういう気持ちを忘れて、本当に対等な立場で必ず勝つんだという気持ちをみんなで出したいなと思っていました」という大谷の思いが通じ、日本は見事にアメリカを破って優勝することができたのです。


写真=iStock.com/Maksym Kapliuk
見事にアメリカを破り優勝(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Maksym Kapliuk

■試合以外の時間も練習と休養にあてる


時間はあるだけあったほうが野球は上手くなりますよね。(『Number 1069号』文藝春秋)


大谷翔平は日本ハム時代からクリスマスも休まないほど練習熱心として知られていました。外食はほとんどしませんし、飲み歩くこともありません。試合以外の時間をほぼ野球の練習と睡眠を含む休養に充てていることになります。


「まさに野球漬けの日々」を送っているわけですが、それでも時間は足りないと感じているようです。


■クリスマスに欲しいと言ったもの


2017年、「クリスマスプレゼントに何がほしいか」と聞かれ、その答えは「あと1カ月の時間がほしい」でした。


写真=iStock.com/fcafotodigital
クリスマスに欲しいと言ったもの(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/fcafotodigital

2023年、それを受けて、「今は時間は足りていますか」と聞かれたところ、返ってきたのは「短期的に見たらそれなりに時間は足りている」と前置きをしながらも、「もっと上手くなる」という点では、「開幕まで、自分だけさらにあと1年という時間があるといい」というものでした。


「もっと時間がほしい」と願う人は少なくありません。しかし、仕事などがあまりに忙しいために、手に入れた時間を休息時間や遊ぶ時間に充てたいという人がほとんどでしょう。


大谷の場合、持てる時間のほぼすべてを野球のために使いながら、さらに野球のための時間がほしいというのです。どこまでも「野球一筋」な大谷です。


イチローは45歳で引退を決断



桑原晃弥『圧倒的な力で世界を切り拓く 大谷翔平の言葉』(リベラル社)

五十代までの現役は不可能ではない。(『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』扶桑社文庫)


アスリートが何歳まで現役を続けられるかは、種目によって差があります。10代から世界で活躍し、20代で引退するスポーツがある一方、プロ野球の世界では39歳でホームラン王に輝いた山﨑武司や、50歳まで現役を続けた山本昌など、40代になっても現役としてバリバリ活躍する選手がいます。


イチローも50代までの現役を目標にしていましたが、フライボール革命(※)などの影響もあり、45歳で引退を決断しました。


大谷翔平もできるだけ長く野球を続けたいと願っており、50代までの現役は不可能ではないと考えています。


■「野球はできるだけ長くやりたい」


「野球はできるだけ長くやりたいし、できる限りの成績を残したいし、そのために毎日毎日、今のうちから基礎体力をつけて、なるべくそれが落ちないようにやっていきたい」と話しています。


写真=GETTY/AFP/時事通信フォト
米大リーグドジャースの大谷翔平選手(2024年4月5日) - 写真=GETTY/AFP/時事通信フォト

大谷が実践している投打二刀流は体力的にもかなり負担が大きいはずで、何歳まで今のスタイルを通せるかはわかりません。


それでも、今後医療やトレーニングの技術が発達すれば、50代での活躍も不可能ではないでしょう。


「限界まで現役」を目指してあきらめないのが大谷のポジティブ思考なのです。


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桑原 晃弥(くわばら・てるや)
経済・経営ジャーナリスト
1956年、広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者などを経てフリージャーナリストとして独立。トヨタ式の普及で有名な若松義人氏の会社の顧問として、トヨタ式の実践現場や、大野耐一氏直系のトヨタマンを幅広く取材、トヨタ式の書籍やテキストなどの制作を主導した。著書に、『スティーブ・ジョブズ名語録』(PHP研究所)、『ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」』『トヨタ式5W1H思考』(以上、KADOKAWA)などがある。
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(経済・経営ジャーナリスト 桑原 晃弥)

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