落ち着きを取り戻した? 原油相場の行方は
2024年9月18日(水)9時4分 財経新聞
原油先物相場が、ロシアによるウクライナ侵攻前の2022年2月と同じ水準に戻った。雇用統計などの経済指標の悪化や、米国の原油在庫の悪化などが嫌気されたと見られている。
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ハリケーン「フランシーヌ」の影響からか、11日に以降は原油先物が上昇しているが、まだ影響を見極めている状況である。
FOMC(連邦公開準備理事会)が9月17、18日に控えており、利下げは確実視されているが、FRBが0.5%の大幅利下げに踏み切るか注目を集めている。
長く世界中を苦しめたと言っても過言ではない原油高に、ようやく歯止めがかかるのだろうか?
●気になる今後のスケジュール
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟原油国で構成されるOPECプラスの自主減産は、2025年12月まで継続されることが決まっている。
FOMCが終了し、大幅利下げとなっても、今後も米国の経済指標が注目されることは間違いなく、原油在庫もどうなるか一喜一憂することになるだろう。
原油価格に大きな影響を与えているのが中国経済で、中国恒大に端を発した不動産問題も燻っており、債務問題も抱えている。
11月の米国大統領選挙でもトランプ氏、ハリス氏のどちらになるかで原油価格も大きな影響を受ける可能性もある。
●原油は安くなったのか?
原油先物がウクライナ危機前の水準に戻ったとはいえ、まだまだ原油が安いとは言えない。物価高もピークアウトはしているが、米国の8月CPIは、まだ前年同月比で2.5%の上昇である。
一方、ロイター通信の報道によると、米国の10月のガソリン価格が約3年ぶりに1ガロン=3ドルを割り込むというアナリストの分析もある。ノースカロライナ州などはすでに3ドルを割り込んでいる。
原油高には解決の糸口が見てきた一方で、新たな火種もある。
ハリケーン「フランシーヌ」によって、メキシコ湾での原油生産の約42%が停止したと見られており、今後も影響が懸念される。ウクライナ紛争もイスラエルとハマスの停戦協議にいまだ解決の糸口も見えない。
OPECプラスの協調減産も決裂するなどすれば、原油価格にも影響を与えるだろう。
原油価格が急上昇する要素は少ないが、上昇すればインフレ問題の再燃にも繋がり、FRBの利下げにも影響するなど、負の連鎖にもなりかねない。