【修羅場経営者対談・最終回  ありえないレベルvs遊ぶ鉄工所】 元ヤンキー・暴走族社員を 心からやる気にさせる言葉

9月29日(日)6時0分 ダイヤモンドオンライン

<著者プロフィール>【著者】近藤宣之(Nobuyuki Kondo) 写真・左株式会社日本レーザー代表取締役会長1944年生まれ。慶應義塾大学工学部卒、日本電子株式会社入社。28歳のとき、異例の若さで労組執行委員長に推され11年務める。取締役アメリカ法人支配人などを経て、赤字会社や事業を次々再建。その手腕が評価され、債務超過に陥った子会社の日本レーザー社長に抜擢。就任1年目から黒字化、以降25年連続黒字、10年以上離職率ほぼゼロに導く。役員、社員含めて総人員は65名、年商40億円で女性管理職が3割。2007年、社員のモチベーションを高める視点から、ファンドを入れずに(社員からの出資と銀行からの長期借入金のみ)、派遣社員・パート社員を除く現在の役員・正社員・嘱託社員が株主となる日本初の「MEBO」(Management and Employee Buyout)で親会社から独立。2017年、新宿税務署管内2万数千社のうち109社(およそ0.4%程度)の「優良申告法人」に認められた。日本商工会議所、経営者協会、日本生産性本部、中小企業家同友会、日本経営合理化協会、関西経営管理協会、松下幸之助経営塾、ダイヤモンド経営塾、慶應義塾大学ビジネス・スクールなどで年60回講演。第1回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の「中小企業庁長官賞」、第3回「ホワイト企業大賞」、第10回「勇気ある経営大賞」など受賞多数。「人を大切にする経営学会」の副会長も務める。

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倒産寸前から、売上「3倍」、自己資本比率「10倍」、純資産「28倍」、25年連続黒字!?

25年前、メインバンクからも見放された「倒産寸前の会社」があった。株式会社日本レーザー。火中の栗を拾わされた、近藤宣之・新社長を待っていたのは「不良債権」「不良在庫」「不良設備」「不良人材」の「4つの不良」がはびこる《過酷な現場》だった。さらに、大腸ガンなど数々の修羅場が待っていた。しかし、直近では、売上「3倍」、自己資本比率「10倍」、純資産「28倍」。10年以上、離職率ほぼゼロという。

絶望しかない状況に、一体何が起きたのか?

一方、鉄工所なのに、「量産ものはやらない」「ルーティン作業はやらない」「職人はつくらない」。なのに、ここ10年、売上、社員数、取引社数、すべて右肩上がり。しかも経営者が鉄工所の火事で瀕死の大やけどを負い、1か月間、意識を喪失。売上の8割の大量生産を捨て、味噌も買えない極貧生活からのV字回復を果たしたのが山本昌作HILLTOP副社長だ。

記者は数々の経営者を見てきたが、これだけの修羅場をくぐりぬけ、いつも笑顔の経営者は日本でもこの両者しかいないと確信。

そこで企画したのが、『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』『倒産寸前から25の修羅場を乗り切った社長の全ノウハウ』の著者・近藤宣之氏と『ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所』の著者・山本昌作氏による「世紀の修羅場経営者対談」だ。ついに、両者が京都の宇治市にある、HILLTOP本社に集結した。すると初対談はなんと4時間に及んだ。担当編集者もあっという間の4時間という濃い中身。修羅場体験からしか見えてこない情景から今後の人生をぜひ考えていただきたい。熱い対談もついに最終回! 最後に何が語られるのだろうか?(構成・藤吉 豊)


ストライクゾーンばかり狙っても、

変革は起こせない



山本:社員はみんな、違った個性を持っています。

得意不得意も、やりたいことも、好きなことも、それぞれ違う。

だから、社員をひとつにくくったり、

単一に扱うのは間違っている

と思うのです。

今やっていることが、この先も同じように続くとは限らないのだから、社員から「こういうことをやってみたい」という声が出たら、やらせてみたらいい。

そうすれば、新しいビジネスの可能性が広がるかもしれません。


近藤:おっしゃるとおりですよね。


山本:おそらく、「本業で儲かっているから、このままでいい」と現状に満足している人は、目の前に広がっている可能性に気がつかないのだと思います。

でも僕は貪欲だから(笑)、チャンスがあれば掴んでみたいし、おもしろそうなことはやってみたい。

掴めなくたっていいんです。

掴めなかったら、なぜ掴めなかったか、その原因がわかりますから。

原因を特定し、改善すれば、次のチャンスは掴めるようになります。


近藤:社員に権限を与えて、仕事を任せて、失敗してもいいからやらせてみたらいいのですよね。

日本レーザーも、「権限の範囲」や「個人で使える予算の範囲」を広げています。

最初は「50万円損しても困るな」というところから、「100万円までならいい」、「200万円までなら大丈夫」と許容できるレベルが上がっていって、今の当社の実力であれば、「500万円までなら予算を使っていいから、好きなことをやれ」と社員に言っています。


山本:日本の中小企業、とくに製造業は冒険をしないと成長は望めませんよね。

ストライクゾーンばかり狙っても、変革を起こせるわけがない。

ボール球も振ってみる

振ってみて当たらなかったら、「なぜ当たらないんだろう?」と考える。

バットの長さが足りないから当たらなかったのか、バッターボックスの立ち位置が悪いから当たらなかったのか、「当たらない理由」を考えることが重要だと思います。


 経営者に必要なのは

「失敗」に対する寛容さ


近藤:山本さんは、失敗に対する寛容さをお持ちですよね。


山本:怒ってもしかたがないですから。

HILLTOPが零細企業だったとき、社員の多くは元ヤンキー・元暴走族だったので、「この仕事をやれ」と命じても、「難しくて自分にはできない」と言って、やらないのです。

だから、

「失敗してもいいから、やってみいひん?」

「簡単簡単、全然大丈夫! こんなの普通にやったらできるから、とりあえずやってみたら?」


となだめすかしてやらせるわけです。

失敗したからといって僕が怒ったら、彼らは二度とやりません。


近藤:社員が増えてくれば、トップダウンによる経営は難しくなります。

社員一人ひとりが、「社長的な感覚」を持って仕事をしなければ、すぐに頭打ちになってしまうでしょう。

だからこそ、失敗をしてもいいから、社員に任せてみる。

社員が自主的に動くようになれば、会社に活気が出ます。


山本:だから、僕たち経営者が社員に望むのは、「社員自身が、自分で自分をマネジメントしてくれること」しかありません。


近藤:そうですよね。


山本:そもそも僕は、マネジメントできないし、財務のこともよくわかりませんから(笑)。


近藤:……(笑)。とくに中小企業では、何から何まで自分で抱え込もうとする社長が多い気がします。


山本:そんなことしたら、寝る時間がありません(笑)。


近藤:経営者の多くは、どうしても、目標とノルマを一緒に考えていますよね。

目標はノルマとは違って「こういうことがやってみたい」という成長の種ですから、たとえ達成できなくても、ペナルティを与えてはいけないわけです。


山本:そのとおりだと思います。

とはいえ、あまりにも悪びれず、

「失敗しました! 損しました!」

と明るく言われると、

「ちょっとは痛みを感じろよ」

と言いたくなりますけど(笑)。


近藤:貴重なお話しをありがとうございました。

本当に楽しかったです。またゆっくり工場見学させてください。


山本:はい。いつでもお待ちしています!





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