アマゾン、大型買収から1カ月

10月3日(火)6時0分 JBpress

米ホールフーズ・マーケットの店舗(2014年5月撮影)。 Photo by Mike Mozart, under CC BY 2.0.

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 アマゾン・ドットコムが米高級スーパーマーケットチェーン「ホールフーズ・マーケット」を買収すると発表したのは、今年(2017年)6月だった。その後、米連邦取引委員会(FTC)などの承認を経て、同社がこの買収手続きを完了させたのは、今年8月28日。

 アマゾンは買収完了と同時に、ホールフーズの取り扱い商品をアマゾンのサイトで販売するなどし、相乗効果を図ってきたが、すでにその効果は表れているようだ。米ウォールストリート・ジャーナルが、この1カ月間の買収効果について伝えている。

(参考・関連記事)「アマゾンのホールフーズを活用した新戦略」


ホールフーズ商品のネット販売効果

 eコマースの販売分析を手がける米ワンクリックリテールによると、この1カ月間にアマゾンが同社eコマースサイトで販売した、ホールフーズ商品の売上高は、160万ドル(約1億8000万円)。

 これを、詳しく見ると、アマゾンがホールフーズ商品をネットで取り扱い始めた最初の週の売上高は50万ドル。

 その翌週と翌々週はそれぞれ30万ドル程度に落ち込んだ。これは、ホールフーズ商品が品不足に陥ったことが主な原因だったが、4週目の売上高は、50万ドルにまで回復した。

 この1カ月間における、ホールフーズ商品のネット販売額は、アマゾンの1カ月当たり平均小売り販売額である80億ドル(約9030億円)に比べれば、ごくわずか。

 しかし、これこそが、今回の買収の最大のメリットであり、今後アマゾンにおけるホールフーズ商品のネット販売が、直接的な売り上げ増大要因になる可能性があると、英コンサルティング会社カンターリテールのディレクターは話している。


ホールフーズ店舗の値下げ効果

 アマゾンがホールフーズ買収後に行った施策は、これだけではない。同社は、米国やカナダ、英国にある約460のホールフーズ店舗の多くで、買収完了日から、バナナやアボカド、卵、サーモン、牛肉、レタス、リンゴなど、人気の自然食品を値下げ販売した。

 ホールフーズは、その割高なイメージから、「ホール・ペイチェック(Whole Paycheck:給料のほぼすべてが高額食料品への支出で消えてしまうという意)」と呼ばれているが、アマゾンはこの異名の払拭を狙っている。

 モバイル機器の位置情報に基づいたデータ解析を行っている米インマーケットによると、値下げを開始した8月28日におけるホールフーズ店舗への来客数は、前週に比べ17%伸びた。この値下げによって、ホールフーズの店舗は過去1カ月で最も忙しくなったという(米リテールダイブの記事)。

 というのも、アマゾンが買収する以前のホールフーズは、2年以上にわたり、既存店売上高が前年実績を下回っていたからだ。こうした中、ホールフーズは今後、同様の値下げを実施し、集客向上につなげたい考えだと、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。


PB商品に商機あり

 食品小売り事業は、競争がますます激化しているが、最近は、単なる値下げにとどまらない販売戦略が求められる時代になってきたと言われている。

 例えば米国では、健康的な食品を買いたいという消費者が増えており、人々はより安価で販売されるプライベートブランド(PB)の自然食品に興味を抱いているという。

 ホールフーズの買収はアマゾンにとって、正しい判断だったと言えるのかもしれない。「365 Everyday Value」というホールフーズの自然食品PBは、ブランド資産価値が高いと言われているからだ。

 その一方で、アマゾンは今後、ホールフーズのPBをネットでより積極的に宣伝し、その在庫も十分にそろえておく必要があると、指摘されている。

筆者:小久保 重信

JBpress

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