高浜町の元助役に委縮した関電と、日本郵政の抗議に屈したNHK どっちもどっち? (2-2)

10月4日(金)12時2分 財経新聞

 ゆうちょ銀行とかんぽ生命による不適切販売問題は、大々的に報道され始めた7月から、底なしの沼のように続報が続いている。

【前回は】高浜町の元助役に委縮した関電と、日本郵政の抗議に屈したNHK どっちもどっち? (2-1)

 日本郵政グループが9月30日に発表した中間報告によると、調査進捗が4割に満たない状況で法令違反や社内規定違反の合計が6327件あったという。今後の調査の進展でどの程度の規模になるか、予断を以て語ることは適切でないが、純粋な民間企業であれば危機的な状況だ。

 日本郵政グループで行われていた過剰なノルマや、不適切な販売に関する問題意識は以前から存在した。NHKは18年4月に「クローズアップ現代+(プラス)」で「郵便局が保険を"押し売り" 郵便局員たちの告白」という番組を放映し、日本郵政グループの営業の在り方に疑問を投げかけるとともに、情報提供を呼びかけた。

 その後明らかになって行く不適切問題の推移を考えると、報道機関としての存在意義を発揮した良質な番組だったと言える。

 ところが日本郵政側はグループ3社長の連名でNHKの上田良一会長に質問書を送り、NHKの経営委員会に「組織ぐるみという印象を与える」というクレームと、ガバナンスの強化を文書で申し入れた。

 その抗議を受けて経営委員会は昨年10月に上田会長を厳重注意した。更にNHKから日本郵政側に2回目の放送を取りやめる旨の連絡を行い、日本郵政の鈴木上級副社長が礼状を送っている。

 19年7月31日、日本郵政の長門正貢社長が不適切販売を認識した時期を、19年7月23日に行われた郵政の取締役会で議論したのが初めてだと語った。

 19年4月のかんぽ生命株の売出し時には「認識していなかった」と強調したというが、NHKの「クローズアップ現代+」が放映されたのがその1年前の18年4月で、その番組を見て3社長の連名でNHKにクレームを付けた事実との整合性が感じられない。明らかに発言の辻褄が合わない状況である。

 情報が適切に開示されない状態で東証1部に上場されたかんぽ生命株は、2375円だった売出し価格から1400円台まで値を下げた。現在は1600円台に戻したが、まだ700円程の含み損を抱えている。不正を認識しながら上場したことになり、投資家に対する背信を指摘されても止むを得ないだろう。

 かんぽ生命は保険の販売では保険契約者に不利益を与え、4月に行われた東証1部への株式上場でも投資家に損失をばら撒いたことになる。

 日本郵政がNHKに「ガバナンスの強化を求めた」というブラックジョークが加わったが、森山栄治元助役の顔色をうかがっていた関電と、日本郵政のクレームに為すすべのなかったNHKに、それほどの違いがあるとは到底思えない。

財経新聞

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