災害で自宅が全壊。どうなる住宅ローン

10月9日(月)11時15分 プレジデント社

■ローンの減額や免除を受けられる制度も


もしも地震や津波で自宅が被害を受けてしまったら……。賃貸住宅を借りたり、自宅を建て替えたり、新たに住まいを整えなければなりません。その際に大きな負担になるのが、元の自宅についている住宅ローンです。全壊しても、津波に流されても、返済中の住宅ローンはそのまま残ります。



失った自宅のためにローンを返し続けるのは精神的にも苦痛。新しい住まいにかかる住居費と、元の住宅ローンとの二重負担となり、経済的にもかなり大きな負担です。


そこで創設されたのが、被災者のローン負担を軽減する「自然災害債務整理ガイドライン」。銀行との話し合いや簡易裁判所での特定調停を経て、ローンの減額や免除を受けられる制度です。


対象になるのは、2015年9月2日以降に災害救助法が適用された自然災害によってローンを返済できない個人、または個人事業者。住宅ローンのほか、自動車ローン、事業性ローンも対象です。


なお、災害救助法が適用された自然災害は、昨年だけでも熊本地震、台風第10号、鳥取県中部地震、新潟県糸魚川市大規模火災と4件に及び、災害は他人事ではありません。


具体的には、預貯金などから返せるだけ返し、返せない分は免除してもらったり、減額してもらったりします。


その際、財産の一部と、被災者として公的機関などから給付された支援金は手元に残すことができます。残せる額は被災状況や生活状況など、個別事情によって異なりますが、最大で500万円です。ローンの減額や免除を受けるには、借入先(金融機関)の同意が必要で、世帯年収730万円未満であること、ローンの返済額と新たに借りる家の家賃などの負担が総額で年収の40%以上になることなど、一定の要件があります。



ただしいずれも「目安」であり、実際は家族構成や世帯主の年齢、ローン残高などによって金融機関が判断します。手続きには弁護士などの専門家の支援が必要ですが、紹介が受けられ、費用についても、国の支援が受けられる場合があります。また金融機関に申請後、審査に約1カ月を要し、その間、返済や督促は一時停止になります。


■方法はいくらでもある



普通の破産手続きでは、その後はお金が借りにくくなりますが、この制度では個人の信用情報には登録されず、お金が借りにくくなることもありません。ある程度の資産を残せれば、生活再建に必要なお金も確保できますし、ローンが整理できれば大きな荷物を抱えずに済みます。有効な選択肢といえるでしょう。


もうひとつ、知っておきたいのが、金融機関に申し出れば、一定期間住宅ローンの返済が猶予される可能性があることです。震災後は何かとお金がかかりますし、収入が減る可能性もありますから、なるべく現金を減らさないことが重要。後回しにできるものは後回しにするのが得策です。


震災の後、仕事を失ってローンが返せない、震災の影響で収入が減って返済が遅れているなど、さまざまなご相談が寄せられました。返せないことを気に病んでウツ状態になったり、思い余って死を考えたりする人もいますが、前述の制度もありますし、生活に困ったら生活保護という道もありますし、サポートしてくれる専門家もいます。


せっかく助かった尊い命をお金のことで失ってはなりません。方法はいくらでもある、ということを知っておいてください。



(住宅ローン問題支援ネット代表/宅地建物取引士/不動産コンサルタント 高橋 愛子 構成=高橋晴美)

プレジデント社

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