世の中はヤバい医者であふれている…「絶対にかかってはいけない医者」を見分けるたったひとつの質問
2024年10月14日(月)16時15分 プレジデント社
※本稿は、和田秀樹『「せん妄」を知らない医者たち』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo
■医者からこの言葉を言われたらヤバいと思うべし
いくつかの病院や科にかかっていて、結果的に処方された薬が5種類以上になってしまった、という方は意外と多いと思います。本来であれば医者が問診時に、患者が今飲んでいる薬をすべて把握した上で、それでも必要であれば処方せんを書くべきですが、それをせず(知らずに)、あっという間に多剤併用になってしまう。これは残念な話です。
一番ひどいのは同じ医者が5種類以上を処方するケースです。これは最悪です。薬剤リスクを何も知らない医者である、ということを露呈しているようなものです。
そういう医師に限って、
「とりあえず、この薬を飲んでみましょう」
とまずは薬を試そうとします。
これ、ダメダメです。
「とりあえずこの薬」なんて、ダメ用語だと思ってください。
今飲んでいる薬をなるべく減らす方向で考えてくれる、それがよい医師です。
問診時は、しっかりと自分の体調や、今飲んでいる薬や、副作用があればそれも含めた自分の体の症状や変化を丁寧に伝えましょう。
それを最後まで聞いてくれて、「この薬を止めてみましょうか」と言って、しばらくの期間やめることを提案し、その後何の変化もなければ完全にやめる方向に導いてくれる。そんな患者の体調に、丁寧に根気強く寄り添ってくれる医師に出会えるのが理想です。
■理想の医者かどうか判別する方法
では、どういう病院に行けばいいのか。
一概には言えませんが、ただ私の印象として、基本的に大学病院の医師たちは、患者一人ひとりが、多くの疾患を抱え多剤処方されているという発想で見ていないので、多剤併用になりがちです。
私は地域に密着した病院で、そういう医師を探すのがよいと思います。
今かかっている医師が「理想の医者であるか」、試してみてもいいと思います。
お薬手帳や薬を持参して、これまで飲んでいる薬を見せます。
そして、自分の体の変化や日頃の生活上の問題点などを細かく伝えます。
その時、「数値がこんなに悪いんだから、飲まないとダメですよ!」と頭ごなしに命令する医師とは、もうおさらばです。
付き合うのをやめましょう。
「この薬を飲んでみましょうか。でもこういう副作用があるので、徐々に減らしていけるように、また様子を聞かせてください」
と「薬を減らす」方向で、向き合ってくれる医師だったら、とりあえずそのままその医師を継続していいと思います。
そうやって、互いに丁寧に会話を重ねて、信頼関係を築きながら選んでいく。
これが医師と患者の理想的な付き合い方です。受け身でいては何も変わりません。
■「念のため」を口にする医者に要注意
患者に対して、「念のため」とすぐに検査をするように勧める医者は、要注意なのです。
皆さんはそれほど気にかけていないかもしれませんが、私は、多剤処方する医師よりもこちらの医師の方が「ヤバい」と思います。
実は、検査の診療報酬(保険点数)は、処方せん料よりはるかに高いものです。実際は医師は薬を沢山処方しても、院外処方だと収入は同じなのです。
皆さんも診療明細書というのを、病院から領収書とともに受け取っていると思いますが、そこの点数を見てください。
たとえば、CT撮影は単純な検査で900点、造影CT検査になると1400点、これに診療報酬点数などを加えるとさらに倍近くの点数になります。保険点数は1点10円として計算されますから、単純なCT検査をしただけで診療費は1万5000円ほど(3割負担の方の場合、自己負担は4500円ほどです)。
これはあくまでも目安です。
他にも沢山の検査があります。検査をしたがる医者は、「病気を見つけたい」のです。
高齢者の場合、必ずと言っていいほど、さまざまな検査で異常が見つかります。
■「その検査、本当に必要なものなのですか」
異常(これを医師は病気と捉えます)を見つけて、治療に繋げて儲けたい。
検査をすれば医師の目論見通りになってしまいます。
しかしながら、多くの患者さんは、不安です。不安なので、病院に行っているはずですから。
そんな時に「とりあえず、検査をしましょう」とか「念のため、診ておきましょう」とか言われると、「あぁ、ありがたや。ぜひお願いします」となるでしょう。
しかし、勇気を持って尋ねましょう。
「その検査、本当に必要なものなのですか」
と。
医者の言葉「検査をしましょう」は、親切なように見えて実はそうではないことも多々あるということを知っておくだけでも、病院に縛られないひとつの方法になると私は思います。
■かかりつけの薬剤師をつくる
高齢者にとって、何より身近な医療従事者と言えば、かかりつけ薬局の薬剤師かと思います。
いつも利用する調剤薬局に、「かかりつけ薬剤師」はいますか?
体調に不安を感じた時とか、病気のこととか、薬に関することだけでなく、積極的に相談をしてもいいと私は思います。
「インシュリンを打ち始めてから調子が悪くなった」とか、ためらわずに相談してもいい。
本来は医師に相談すべきことではありますが、医師に話せない場合は、調剤薬局の薬剤師に相談すればいい。
さらに言うと医者とのコミュニケーションの仲介に、調剤薬局にいるかかりつけの薬剤師に入ってもらってもいいとも思います。
どこまで協力してくれるか、薬剤師の性格や考え方、それからその病院との関係性(力関係)などにもよると思いますが、実際に調剤薬局の薬剤師は、処方せんを出した医師に連絡をすることも少なからずあります。明らかに併用禁忌の薬が出ている時などがそうです。
「この組み合わせは、大丈夫なのか」
「この薬は多すぎないか」
と、病院側に言ってくれることもあります。
写真=iStock.com/Caiaimage/Agnieszka Wozniak
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Caiaimage/Agnieszka Wozniak
■調剤薬局は一本化したほうがいい
調剤薬局をいくつか使っている、という人もいらっしゃるかもしれません。
かかりつけの病院の近くで薬を貰うようにしていると、おのずと調剤薬局を複数利用するようになると思います。その都度、お薬手帳を持参すれば、さほど大きな問題にはなりませんが、「何かあった時に、いつでも相談できる」というかかりつけ薬剤師を決めておくと、すごく安心できると思います。そういう意味でも、調剤薬局を一本化してもいい。
5軒10軒まわって、一番しっくりくる(相談しやすく、利用しやすい)調剤薬局を見つけるといいと思います。時間と手間はかかりますが、それぐらいはやっておくと、今後のためにもよいと思いますよ。
薬剤師の中には、プロフェッショナリズムの高い、優秀な方も一定数います。そういう方に出会えるといいですね。
■自分自身で「医師や医療を選ぶ」
もしも訪問医療を契約している方であれば、定期的に(月2回が主流でしょうか)訪問医だけでなく、訪問看護師と接する機会があるでしょう。
和田秀樹『「せん妄」を知らない医者たち』(幻冬舎新書)
訪問看護師の中には、志高く、非常に優秀な人もいらっしゃいます。医者に相談できないことや、些細な日常生活の不安など、訪問看護師に相談をしてもよいと思います。
介護保険の利用者であれば、ケアマネージャーが身近にいると思います。ケアマネージャーの中には、住んでいる地域の介護・医療・社会保障全体の情報を沢山持っている方もいるので、ケアマネージャーに相談する、あるいは、地域包括支援センターに話をしてもよいと思います。
こうやって、できるだけ自分で抱え込まずに、身近な医療職や介護職に相談をして、自分に合った最善の医療を受けられるよう、自分自身で「医師や医療を選ぶ」という意識を持ち続けましょう。そういう努力の積み重ねが、健康被害や、薬剤事故などの防止に繋がるのです。
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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
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(精神科医 和田 秀樹)