スルガ銀行、TATERUに続く「不動産不正融資」の新手口とは

10月16日(火)7時0分 NEWSポストセブン

スルガ銀行以外にも「不正融資」が横行か(時事通信フォト)

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 不正融資を繰り返していたスルガ銀行に、ついに金融庁の鉄槌が下った。金融庁は10月5日、スルガ銀行に対し6か月間の一部業務停止命令を出し、投資用不動産向けの新規融資を禁じる処置を取った。スルガ銀行は11月末までに業務改善計画書も提出しなければならない。背景にあるのは、5月に経営破綻した、女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営する不動産会社「スマートデイズ」などを巡る組織的な不正だ。


 スルガ銀行は、スマート社などへの投資用不動産向け融資において、組織的に融資資料の改竄などを行うなどの不正融資を繰り返してきた。不動産業者が物件の賃料や入居率を改竄し、そこから弾き出した物件価格をもとに融資額を算出する不正が常態化。なかには借り手である物件オーナーの所得や貯金残高を改竄するケースもあった。そうした不正に、スルガ行員が関与または黙認したとされるケースは1000件超にのぼると報じられている。


 金融庁は問題発生の要因を、「創業家支配のもと、厳しい業績プレッシャーやノルマ、叱責で営業現場を圧迫した結果、不正行為を蔓延させる企業文化が醸成された」と指摘している。創業家出身の経営トップは9月の第三者委員会の報告を受けてすでに退任しているが、創業家が関係するファミリー企業への不適切な融資も新たに指摘され、今後の調査によっては刑事事件に発展する可能性もある。投資用不動産向け融資に詳しい税理士が言う。


「投資用不動産向けの不正融資はスルガ銀行に特有の問題ではありません。他の地銀や信金でも似たような構図があるのは、何度も目にしてきました。スルガ銀行の件が発覚して以来、各行の融資の審査が厳しくなったことは事実ですが、不動産業者側もさらにズル賢くなっているので、たとえば源泉徴収票そのものの改竄から行うようなところも出てきました。融資を審査する側の金融機関の行員が積極的に関与しているケースも少なくありません」


 今年8月末には、東証一部上場の不動産会社「TATERU」をめぐって融資資料の改竄による不正融資が発覚した。融資を行ったのは、TATERUが株主にも名を連ねる西京銀行だった。TATERUといえば、サッカー日本代表の本田圭佑選手を起用したCMで知られる不動産ベンチャーの新興企業。IoTを駆使したアパート経営を標榜するなど、旧態依然とした不動産業界とは一線を画する企業イメージだっただけに、不正融資のニュースは一般投資家を驚かせた。


 しかし、投資用不動産に詳しい業界関係者は「この業界はどこも似たり寄ったり」と苦笑しながらこう語る。



「この業界の営業マンたちは、投資するオーナーのことを“情弱(情報弱者)”だと思ってるから、平気で非現実的な利回りを提示したり、融資資料の改竄を勧めたりします。オーナー側も、投資の知識にもコンプライアンスにも詳しくないから、“そんなものか”と話に乗ってしまう。今後、似たような不正融資や改竄の問題が噴出する可能性は大いにある」


 そして、この業界関係者は、まだ表沙汰になっていない“新たな手口”について明かした。


 その大まかな構図はこうだ。まず、不動産会社の営業マンが、土地とそこに建てる予定の建物から物件価格を算出するのだが、その際に建物価格を高めに見積もっておく。例えば、土地価格が4000万円、建物価格5000万円といった具合だ。そして、その金額を元に銀行に融資を申し込む。その場合、物件価格は9000万円になるので、例えばスルガ銀行の基準では9割までの約8100万円の融資が見込めることになる(実際は手数料などで若干の変動あり)。


 物件のオーナーになる予定の人物には、残り900万円もの自己資金さえないケースが多い。そこで、銀行から8100万円の融資が下りた後に、建物価格の算出元となる建設費を4200万円まで値下げする覚書を、不動産業者とオーナーの間で結ぶのだ。そうすることで、物件価格は8200万円まで下がるので、オーナーは自己資金が100万円しかなくても足りるというわけである。後から建設費を値下げすることは、不動産会社からオーナーに対して事前の提案書などで説明しており、建設会社側もグルであるケースが多い。


 当然ながら、こうした手口は犯罪行為として問われる可能性が十分ある。まず、後から建設費を値下げすることを前提として融資を受けている場合、担保価値を偽っていることになるので、不動産会社とオーナー側は銀行に対して詐欺を行っていることになる。逆に銀行側がそれを把握した上で行っているとすれば不正融資に当たり、スルガ銀行の問題と同じ構図だ。



 スルガ銀行やTATERUの問題発覚以降、「自分の契約は大丈夫だろうか」と不安に思った不動産オーナーが契約書を再チェックし、詳しい専門家のところに持ち込んで相談するケースが増えている。「複数の不正な資料で、業界中堅のK社やS社の社名が確認できたので、近くこれらの会社の不祥事が噴出するかもしれない」(ある専門家)との見方もある。


 TATERUの特別調査委員会による調査結果の発表は12月上旬になる見込みだが、しばらくは業界全体が荒れそうだ。投資用不動産を考えている方はくれぐれも慎重に。

NEWSポストセブン

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