「バレないだろうから」は炎上のもと…プロが警鐘「ウェブ上で絶対やってはいけない御法度3つ」

2024年10月17日(木)9時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/OcusFocus

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文章の推敲は、なぜ必要か。『超タイトル大全 文章のポイントを短く、わかりやすく伝える「要約力」が身につく』(プレジデント社)を上梓した東香名子さんは「ウェブ上で表現したことは想像以上に広がり、当事者にはたいていバレてしまう。投稿する直前までタイトルと内容をとことん推敲するべき」という——。
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■人の心を傷つけていないか?


タイトルに炎上しそうな要素がないか、記事を公開する前に確かめることも大切です。


炎上とは周知の通り、記事のコメント欄に誹謗中傷を含む投稿が殺到することを指します。


炎上するとネガティブなイメージがつきまとい、あなたの評判が失墜してしまいます。仮にあなたが企業のブログ担当者の場合、一度でも炎上させてしまうと、会社全体の損失につながってしまいます。


ウェブ記事はときに鋭利な刃物となり、人の心を大きく傷つける危険性があります。思いやりのある内容になっているか、今一度確認をしましょう。


■モラルはあるか? 根拠はあるか?


軽い気持ちで投稿した文章が、炎上してしまった……。そんな悲劇を生まないために、炎上しやすい3つの内容を押さえておきます。


1 モラルのない投稿

ウェブで発信する人は、社会的なモラルを持つことが大切です。とくにSNS上にはモラルのない、いたずら動画がしばしば投稿されることがあります。2023年には、回転寿司店での迷惑行為を撮影した動画が炎上。投稿者である少年は特定され、店から約6700万円の損害賠償を求められる事態に至りました(その後調停が成立し、訴えは取り下げられました)。


PV数アップを狙うあまり、社会的倫理に反すること、危険なことを行わないようにしましょう。たった一度の出来心でも、あなたの人生を狂わせることになります。また、誰かのプライベートを不適切な形で公開することも避けるのが無難です。


2 根拠がないフェイクニュース

根拠のない噂や、フェイクニュースを投稿することもやめましょう。とくに医療や健康に影響のある投稿にはくれぐれも気をつけてください。


新型コロナが流行した際は、人々を不安にさせるような噂がたくさん出回りました。不安を煽るネガティブな話題ほど、人々に拡散される傾向があります。


「知り合いが言っていた」「フォロワーが投稿していた」は、証拠にはなりません。真実に基づいた情報をシェアし、情報の信頼性を確認することは、読者との信頼関係を築くうえでも不可欠です。確証が持てない情報は、投稿を我慢することが大切です。


■ウェブ上の表現は当事者にバレてしまう…


3 悪口や誹謗中傷

特定の誰かを名指しして、貶(おとし)めるような投稿もNGです。


こうした誹謗中傷は、今や社会問題となっています。心ない言葉を浴びせられた人が、自ら命を絶つ事件も発生しています。人を傷つけるような攻撃的な発言、人種や性別に基づく差別的な内容は避けましょう。同様の表現もNGです。個人や特定のグループを攻撃したり、差別や偏見を助長したりするような投稿はやめましょう。


あからさまな誹謗中傷でなくても、自分が発信することで「誰かが傷つくかもしれない」と心配になるくらいなら、投稿はストップすることです。


「誰も見ないから」「バレないだろうから」と思って投稿しても、当事者が偶然見つけたり、投稿を読んだ知り合いによって当事者に伝わったりすることも十分あり得ます。ウェブ上で表現したことは、大体がバレてしまうと理解しておきましょう。


もちろん人間ですから、嫌な感情が心にわいてきて、抑えきれないこともあるでしょう。そういうときは、一通り嫌な思いを書き込んで、投稿は行わず、「下書き」に留めておくことです。書き留めることで、いったん感情が落ち着き、嫌な気持ちから遠ざかることができます。


写真=iStock.com/iPandastudio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/iPandastudio

■もっと魅力的な言い換えはないか?


タイトルが決まったら、もっと魅力的な言い換えがないか、時間が許す限り考え抜きましょう。これはPV数を左右する、重要な作業です。最後の仕上げに、バズりやすい表現をトッピングする感覚で、気軽に向き合いましょう。


表現の程度を上げるのも、有効な作戦です。


「発表」を「大発表」にしたり、「絶景」を「超絶景」にしたりするなど、程度を上げるような言葉を追加して、より読者にアプローチできる表現を極めましょう。とにかく一人でも多くの読者を振り向かせるために、全力で欲張ってください。


もっと魅力的な類語がないか、調べるのも一つの手です。


東流! タイトル推敲の実況中継1
BEFORE お風呂掃除がはかどる4つの方法
AFTER ズボラ必見! バスルーム掃除が超はかどる4つの裏ワザ

ここで、上にある「お風呂掃除がはかどる4つの方法」を推敲する例をお見せしましょう。読者のメリットも数字も入っており、十分バズる要素は満たしていますが、まずは「方法」をもっと良い言葉に変換できないか、考えます。


■読者に直接呼びかける


たとえば「裏ワザ」「必殺技」など、少し意味深なワードを使うことで、より読者は興味を持ちます。「お風呂掃除がはかどる4つの裏ワザ」となりました。


さらに「お風呂」というワードに着目します。


たとえば「バスルーム」。「バスルーム掃除がはかどる4つの裏ワザ」とすると、少しおしゃれな雰囲気が漂います。20〜30代向けの一人暮らしの女性に響くかもしれませんね。


そして「はかどる」だけではさみしいので、「超」を入れてみます。


「バスルーム掃除が超はかどる4つの裏ワザ」。これでまた、タイトルに飛びつく人が増えるでしょう。


仕上げに、タイトル冒頭で読者に呼びかけます。お風呂掃除を嫌がる人は……そう「ズボラ」ですね。ズボラな方に直接呼びかけます。「ズボラ必見! バスルーム掃除が超はかどる4つの裏ワザ」。これでいかがでしょうか。


元のタイトル「お風呂掃除がはかどる4つの方法」よりはるかに魅力的で読みたくなるタイトルになりましたね。


■マネー系のタイトルもここまで磨く


東流! タイトル推敲の実況中継2
BEFORE 新NISAで買うべき銘柄はコレ‼
AFTER 新NISAで資産が10倍になるたった1つの銘柄とは

次はブームの到来でますます興味を持つ人が増えた、投資の記事タイトルを作ってみましょう。


「新NISAで買うべき銘柄はコレ‼」というタイトルをさらに磨いてみます。


投資を行うことで読者が得られるメリットは何でしょうか。たとえば「資産が10倍になる」「老後に安心できる」「億り人になれる」などが挙げられます。ここでは数字が入っている「資産が10倍になる」を使っていきます。「新NISAで資産が10倍になる銘柄はコレ‼」になりました。


まだ磨く余地はあります。文末の「〜はコレ‼」は勢いがあるものの、イマイチ具体性に欠けます。前提として「!」の2つ使いはカジュアルすぎて、やや素人の印象を与えます。使う場合は、1つにとどめましょう。



東香名子『超タイトル大全 文章のポイントを短く、わかりやすく伝える「要約力」が身につく』(プレジデント社)

さらに、文末に「!」あるいは「?」を置くのは、トレンドではありません。やや流行遅れなタイトルになるので、「〜はコレ‼」は潔くカットし、「〜とは」で締めましょう。これでいくぶん知的な雰囲気になります。「新NISAで資産が10倍になる銘柄とは」になりました。


できればもう一つ数字を使いたいところです。単独の銘柄を推す記事なら「たった1つの」という言葉も絶大なパワーを発揮します。「新NISAで資産が10倍になるたった1つの銘柄とは」。これでいかがでしょうか。


元のタイトル「新NISAで買うべき銘柄はコレ‼」より、はるかに魅力的で、読みたくなるタイトルに変わりましたね。


写真=iStock.com/Istockexstock
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Istockexstock

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東 香名子(あずま・かなこ)
コラムニスト
鉄道コラムニスト。メディアコンサルタント。外資系企業、編集プロダクション、女性サイト編集長を経て現在フリー。編集長時代、月間アクセス数を650倍に伸ばす。All About旅行ガイド。メディア出演多数。著書に『超ライティング大全ー「バズる記事」にはこの1冊さえあればいい』ほか。
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(コラムニスト 東 香名子)

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