コンビニ専念のファミリーマートに待ち受ける「3つの課題」

10月17日(水)7時0分 NEWSポストセブン

サークルKサンクスとの統合で規模拡大を狙ったが…

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 総店舗数がじつに5万5000店を超え、いよいよ飽和状態が鮮明になってきたコンビニエンスストア。今後は新しいサービスや商品を増強し、既存店の売り上げをいかに伸ばしていくかの戦いに入りそうだが、そんな中、大手コンビニチェーンの一角であるファミリーマートの動きが慌ただしい。ジャーナリストの河野圭祐氏が“ファミマ”の今後を占う。


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 ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)は、懸案だった総合スーパー(GMS)のユニーを経営から切り離す決断をした。


 ディスカウントストアで勢いに乗るドンキホーテホールディングスがユニー株を100%取得して完全子会社化。一方でユニー・ファミリーマートHDもドンキホーテHDに20%出資することで持ち株会社を解消し、社名を変更する予定。資本関係をすっきりさせることで、今後ファミマはコンビニ事業に専念したい意向だ。


 周知のようにファミマはユニー傘下のコンビニだったサークルKサンクスを飲み込み、間もなく看板の片寄せ作業も終了する。だが当初、店舗数の単純合算ではセブン‐イレブン・ジャパンに肉薄し、ローソンを突き放すものだったが、統合が進む現状を見るとセブン‐イレブンとの差は広がり、ローソンには差を詰められているのが実態だ。


 ファミマとサークルKサンクスの国内総店舗数(エリアフランチャイズを含む)は、昨年8月末時点で1万7921店。それが今年8月末には1万6720店、来年2月末の計画でも1万6854店と微増にとどまる。


 ちなみにセブン‐イレブンは今年8月末で2万596店、来年2月末の計画で2万960店。ローソンは同8月末で1万4310店、同2月末の計画で1万4792店となっている。ファミマ陣営は、規模を求めてサークルKとサンクスと統合しても、結局、不採算店舗の閉鎖が多かったという表れだ。


 また、新店・既存店を合わせた1店舗当たりの平均日販も、セブン‐イレブンが66万6000円なのに対し、ファミマは53万4000円、ローソンが53万7000円(いずれも今年8月末時点)と、依然としてセブン‐イレブンとの差は開いたままだ。また今年2月末との比較でも、セブン‐イレブンは平均日販を上げたものの、ファミマは下げている。



 こうした状況を受けて、ユニー・ファミリーマートHDの高柳浩二社長は、「客単価は堅調だが客数が少し減っている。コンビニはそろそろ飽和かなと思う」とやや弱気な発言をした。客数減少はファミマに限ったことではなく、定価販売が基本のコンビニ業界全体が、食品の構成比を高めるドラッグストアチェーン、あるいはディスカウントストアに押されている要因もある。


 これで来秋、消費税が8%から10%に増税されれば消費者の財布の紐はますます固くなり、近所にコンビニがあって便利でも、安価な商品を求めてスーパーやドラッグストア、ディスカウントストアのほうへ足を延ばす消費者が増え、コンビニはほかの小売業以上に苦戦することも考えられる。


 さらに、コンビニはどのチェーンも近年、イートインスペースを拡大することで外食企業からも客を奪う勢いを見せてきた。が、これも消費税増税時の軽減税率が適用された場合、テイクアウトで8%課税のままななら問題ないが、たとえばおにぎり3個買って2個は持ち帰り、1個は店内飲食といったケースもあり得る。となると、ただでさえ人手不足のレジスタッフも負荷が一段と増え、新システム構築にも手間暇とお金がかかってくるだけに、コンビニには悩ましい。


 そんな中、ファミマには注目点が3つある。


 1つは、今年6月に3店舗開店(東京都立川市、目黒区、世田谷区)した、ドン・キホーテ流のうず高く商品を積み上げる「圧縮陳列」を導入したコラボ店舗の導入だ。8月までの3か月実績では、3店舗平均の日販が前年比で30%増、同客数も10%増になったという。


 ただし、だからといってファミマとドンキのコラボ店を一気に多店舗化、というわけにはいかない事情もある。コンビニはフランチャイズの運営が基本で、ドンキ流の商品仕入れや値付けとは大きく異なるからだ。ゆえに、前述の3店舗もフランチャイズでなく、すべて運営の自由度が高いファミマの直営店舗である。


 ファミマの直営店舗数は、昨年8月末で355店、今年8月末が297店、来年2月末の計画で274店と縮小傾向にあり、仮に直営店の多くがドンキとのコラボ店になったとしても、全体の店舗数から見れば微々たるものだ。


 だからか、高柳社長も「コラボ店の実験はしているがハードルは高い。今後は売れ筋商品の見極めや選定、店舗オペレーションの仕方で活かすことがあればフランチャイズ店にも活用していきたい」と語るにとどめた。また、ファミマとドラッグストア併設店のように、ファミマとドンキ併設店も考えられるが、この点も「それは狙っているが、大きめの店舗面積が必要で、サイズ的に合う店舗物件は少ない」(同)という。



 2つ目が金融サービス分野だ。この10月15日、セブン銀行に続いてコンビニでは2行目となるローソン銀行がスタートしたが、ファミマは今後どう出るか。親会社である伊藤忠商事の岡藤正広会長兼CEOは社長時代、「セブンさんに比べてファミマは金融事業が弱い。先方はグループにセブン銀行があって高い収益を上げている」と語り、金融回りの事業再構築の必要性を唱えていた。


 もちろん、ファミマにも従来からATM(現金自動預け払い機)はある。だが、これは提携銀行との共同運営によるもので、消費者がATMを利用した際に入る手数料は、自前の銀行を持っている場合よりも少ないし、自前銀行で口座を持てれば派生する金融サービスも広げやすい。目下ファミマでは、ゆうちょ銀行の小型ATMも導入している途上だが、この縁でゆうちょ銀行と何らかの形で新たにタッグを組む可能性はあるかもしれない。


 今後金融サービス面で焦点になる存在が、昨秋立ち上げたUFIフューテック(※注)だ。同社独自のポイントカードや電子マネーを含む金融事業などの戦略を練っている。ファミマは提携先のTポイントカードから自前の電子マネーに切り替えたいだろうし、ドンキの電子マネー、majica(マジカ)との連携も考えられる。


※注/前身は2000年に設立したファミマ・ドット・コム。伊藤忠が27.67%、ユニー・ファミリーマートHDが72.33%出資している。


 同社の社長を務める塚本直吉氏はファミリーマート取締役システム本部長で、ユニー・ファミリーマートHDでも役員を務めてCIO(最高情報責任者)、IT推進本部長、CVSシステム部長、次世代プロジェクト室長の重要4ポストも兼務。同氏はもともとサークルKサンクス出身でファミマに転じた人物だが、高柳社長は「年内には新しい金融サービスも発表したい」としていたことから、ファミマの金融面での新戦略も近く、明らかになりそうだ。


 とはいえ、コンビニ事業の本筋である物販面が、より太い幹になってこそ、金融サービスなどの非物販事業も活きてくる。そう考えれば、今後の商品力が注目点の3つ目といえる。



 今年4月の決算説明会時、高柳社長は、「中食の品質向上に加え、1年半かけてコーヒーの什器を入れ替えるなど、昨年比で倍増の店舗投資を考えている」と述べていた。


 ファミマ(事業会社)の澤田貴司社長も、「新店の数を多く出すよりも、お店の駐車場やイートインスペースを拡大し、トイレもきれいにしていくなど既存店の投資を重視したい」としていた。だがこれらの施策は、セブン‐イレブンがすでに実施してきたことを遅れてトレースしているようにも映る。


 また、今年3月に上期の商品説明会を行った際は、ファミマの常務執行役員で商品・物流・品質管理本部長の佐藤英成氏が、


「トップチェーン(=セブン‐イレブン)との差は、内食や外食に比べて年々伸びている“中食”にあると、以前からよく言ってきました。当社も中食改革はもう4年やってきています」


 と一定の自己評価をしつつ、「(「ファミチキ」などの)カウンターフーズといえばファミマでしたが最近は特徴が薄れ、デザート分野も強かったがローソンさんに抜かれた。おにぎり、弁当、パンなどは従来からセブンさんが強い」と反省の弁も述べていた


 ファミマも「焼きとり」や「お母さん食堂」の品揃え強化、あるいは全粒粉使用商品等、打ち手は繰り出してはいるが、セブン‐イレブンが2007年から始めたPB(プライベートブランドの)セブンプレミアムは、今年度で売り上げが約1兆5000億円、アイテム数は約4200もあり、その前ではどうしても霞んでしまう。


 果たしてファミマは3つの難題に挑んで巻き返すことができるか——。

NEWSポストセブン

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