人生100年時代「50代からの新たな逆転キャリア」を見つけるための8つの質問とは

10月18日(日)8時15分 プレジデント社

※写真はイメージです(写真=iStock.com/metamorworks)

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今、自分の思うような働き方ができているでしょうか。本当はやりたいことがあるのに、何らかの外的要因にしばられて足踏みしていないでしょうか。人生の後半を迎える前にちょっと立ち止まって、あらためてこれからの人生を考えてみましょう!


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■日本型雇用のあり方が激変。アフターコロナを見据えて


リクルート時代から30年以上「働く」を探求してきた私は、今、日本人の仕事観やキャリア観について、大きなパラダイムシフトが起きていると感じています。経団連の中西宏明会長やトヨタ自動車の豊田章男社長が、相次いで「終身雇用を守っていくのは難しい」と発言したように、高度成長を導いた「終身雇用」と「年功賃金」という日本型雇用制度が崩壊しつつあるからです。


さらに追い打ちをかけたのが、コロナショックでした。

働き方改革では一向に普及しなかったテレワークが、外出自粛要請によって一挙に進展。結果で評価される「成果主義」は、ますます加速しそうです。


人生後半戦の職業人生を豊かなものにするため、これを機に、自らのキャリア戦略を考えてみましょう。



■自分のキャリアは、自分の価値観に沿って選ぶ


いきなりですが、あなたにとって仕事とは何ですか。自己の成長のため? 経済的自立のため?




イラスト=市村 譲、以下すべて同じ

私は仕事がら、キャリア相談をよく受けるのですが、大企業に勤める女性はキャリアアップ志向はあっても、男性に比べて出世や肩書にはこだわらない人が多いと感じます。


理由はシンプルで、今の日本企業の働き方の仕組み、つまり、社員の会社への帰属意識を高めて会社都合で仕事をさせる仕掛けは、すべて男性がつくってきたからです。


年功賃金と引き換えに、辞令1つで配属を転々とするジョブローテーションや転勤、長時間労働や過酷な出張を強要。そのルールの中で突然「女性活躍」などと言われて出世の道を歩まされようとしても、魅力を感じなかったのではないでしょうか。


しかし終身雇用の崩壊によって、組織の論理が優先され、個人が犠牲になる日本的サラリーマン像は、もはや過去のものとなりました。


そんな中で人生100年時代の後半戦のキャリアをつくろうとなると、社内の出世にこだわりがない分、男性より女性のほうが有利だと思います。男性がつくった仕組みにおもねらず、自分自身の価値観に沿った働き方に、素直にシフトできる。これまで自分が抑え込んでいたものを解放してあげればいいのです。


大企業でも40代、50代前後の管理職の女性が増えてきました。苦労して必要以上に男性社会に自分を合わせることに、悔しさを感じてきた人も少なくないでしょう。


しかし男性がつくってきた仕組みで平成の30年間、日本企業や経済は発展しましたか? 答えはノーです。画一的な終身雇用から「多様な働き方」に変化する今後は、女性が生き生きと活躍するチャンスです。


■自分に問いかけながら、やりたいことを探ろう


では、これからのキャリアや生き方、働き方についてどう考えればいいのか。まずキャリアチェンジに成功した40代後半の女性Aさんの例をご紹介しましょう。



Aさんはダイバーシティ推進プロジェクトのリーダーに抜てきされ、まさにロールモデルとして働いていました。自分の活躍が会社のため、後輩女性たちのためになればと、一生懸命にトップを走ってきたのです。


ある日、役員会議で女性の働き方に関するプレゼンテーションをしたところ、1人の役員から「それはいいんだけど、それでいくらもうかるの?」と問われたそう。もちろん企業は利益を追求するものだと理解している。しかし「結局、利益のことだけしか考えていないのか」と、仕事に対するモチベーションを一気に喪失。心が折れたAさんは「本当にやりたいことは何だろう」と自問自答。その結果、「後輩女性たちを応援したい」という気持ちを再確認し、コーチングや心理学を学び、現在はカウンセラーとして独立して生き生きと働いています。



人生後半戦を構想するにあたり、後悔のない選択をするには、自分自身との対話を重ね、自分を知ること。とはいっても、やりたいことがわからないという人も多いでしょう。そんな人は、8つの質問に答えてみてください。これからの職業人生を見通し、1回しかない自分の人生をどう使いたいか、あらためて考えるきっかけになるはずです。



重要なキーワードは「キャリア自律」。他者から管理・支配されず、自分のキャリアのハンドルは自ら握る、自律型人間をめざしましょう。


■「強み」を増やすため、情報収集に出かけよう


やりたいことがないからといっても諦めることはありません。やりたいことがないのは、単純にこれまで、それについて考えたことがなかったからです。次ページの、人生後半のミッションを考える「キャリアプランニングシート」と、これから30年働く「未来シミュレーション年表」を埋めてみてください。具体的な目標を書き出していくと、今の自分に何が足りないのか、何をやればいいのか、はっきりと見えてきます。



書き出してみて、もし「不安が自信を上回る」なら、安易に今の職場を辞めてはいけません。実は会社は学びの宝庫。視点を切り替えて、自分から情報収集に動きましょう。大きなジャンプをするには助走が必要。今の仕事をしている間に、できる準備をするのです。


おすすめしたいのは「はみ出せ」をキーワードに、いろいろな部署の仕事を学ぶこと。他のチームやメンバーと積極的にコミュニケーションをとり、サポートし合うような関係づくりを実践してください。マインドとスキルの両面で必要なものを習得するために、今の環境を活用させてもらおうというのが私の提案です。まじめに取り組むことで、あなたの「強み」が1つ増えるはず。


目標がないと「定年までは、まだ長い」と感じるのに、やるべきことが見えてくると、今からの一年一年がとても大切なものになります。


■上司との関係も、ビジネスだと考えて予行演習


会社を辞めたい理由として「上司と性格や考え方が合わない」など、人間関係を挙げる人は多いですよね。まずは冷静に分析してください。上司が自分のことが嫌いで、コミュニケーションがうまくいかないのか、自分の仕事のアウトプットに対して上司が満足していないために厳しい評価になるのか。


あなたは上司から仕事を任され評価されているわけです。嫌いな上司が「自分に仕事をくれるお客さま」であればどうでしょう。顧客の期待値を超えられなければ、会社から離れたときにプロとして通用しません。


上司を顧客と見なして働いてみる。ストレスをため込むより、ずっと建設的です。顧客である上司に自分を認めさせる努力をしてみましょう。


起業を考えているような人なら、独立後に備えた格好の予行演習となります。自律的な人間とは、自分が主体となって相手との関係をもコントロールできる人だと思います。



■【書き込み式】手を動かすことで明確に! 2つのワークで頭の中を整理しよう


やりたいことを見つけるには、それについてじっくり考える時間を持つことが大事。今、頭の中にあることを書き出してみれば、おのずと目標が見えてきます。





■「複業」にチャレンジして、経験値の幅を広げる


目的を持って始める副業は、とても有効です。しかも今、働き方改革で副業にはフォローの風が吹いています。10年ほど前までは会社に在籍しながら副業なんて、就業規則でNGというのがスタンダードでした。ところが最近は、大企業でも副業の解禁が進んできました。


ただし、副業には3段階あって、キャリアを考えるなら、私はアフィリエイトなどで稼ぐサイドビジネスという意味での「副業」はおすすめしません。サイドビジネスの「副業」が第1段階だとすれば、自分の強みを生かして経験値をアップさせるのが第2段階の「複業」です。勤めている会社以外、複数の会社から稼ぎを得ることです。それを超えると、自分が本当に幸せを感じられる複業ということで、幸福の福を書いて「福業」に。自分を充実させることができて、かつ他人に喜んでもらえる仕事を会社の外で見つけることは、大きなステップアップになります。


■「年収=フロー思考」から「資産=ストック思考」へ


現在、大企業に勤める管理職クラスだと、年収は800万円を超えるという人も少なくないでしょう。



今の収入に満足しているなら、落としたくないというのは誰もが思うことです。もし収入を重視するのであれば、社内で新たなキャリアを築いていくという方法もありです。転職、独立を選ぶにしても、自分の市場価値を客観視し、労働市場で今と同じような収入で評価をされるまで自分の価値を高めるべきです。


ただ、収入より働きがいを大切にしたいなら、今の収入が本当に必要かどうかを考えてみてください。


日本は中小企業で働く人が7割を占め、年収300万円未満で働いている人が4割です。それでもやりくりができるのです。しかし、人生100年時代、老後に2000万円が必要などと言われると不安ですね。でも、ここでも発想の転換が必要です。毎年入ってくる世帯年収を基準に考える「フロー思考」を持っている人が多いと思いますが、これを、両親の資産を含めた「ストック思考」に切り替えてみてください。


親の資産をアテにするなんて……と思うかもしれませんが、親の世代とは生活コストが違います。教育費をみても、昭和50年度の国立大学の授業料は3万6000円、今は標準額で約54万円ですから15倍です。税金や社会保険料も重くなっています。日本の人口に占める65歳以上比率は3割弱ですが、個人金融資産約1900兆円の約7割を高齢者が保有。もちろん親世代の努力もありますが、それを可能にする社会システムが機能していたからなのです。


親が亡くなれば相続税の名のもと、多くを国に持っていかれる可能性もあるのですから、今のうちにそのお金を頼りにしても心苦しくないはず。この安心感が希望年収のラインを下げることにもつながり、結果的に仕事の自由度がアップします。



■収入から働きがいへ、ライフスタイルも含めて考えよう


これから人生後半戦のキャリアを考えるとき、高収入にはこだわらず、お金には代えられない幸福を大切に考えたほうがいいのではないか、というのが私の持論です。



政府は高年齢者雇用安定法を改正し、70歳まで定年延長とともに独立支援することも企業に求め始めました。公的年金も、受給開始年齢を最大75歳までに拡大する方向です。50代、60代になっても、職業人生はまだまだこれからという時代をすでに私たちは迎えているのです。


それなら、人生後半戦はやりたい仕事のために自分の人生を使ったほうが幸せなのではないか。


心理学の科学的研究も進んできました。それによると、出世やお金のために仕事をし、必死に頑張って目標を達成する。こういうときはスポーツなどでも得られるドーパミンという脳内物質が分泌されるそうです。勝ち負けの世界ですね。一方、他人のために働いて喜ばれることによって自分自身が幸せを感じると、オキシトシンという“幸せホルモン”が出るのだそう。どちらが正しいかではなく、キャリア後半では、後者が重要になってくるのではないでしょうか。


さらに特筆したいのは、SNSやクラウドファンディングの登場です。自分の損得よりも世のため、人のために働いていると、共感が集まりやすい環境が整ってきました。実はお金は後からついてくるのです。幸せとは、自分が働くことが誰かの役に立っていると感じられる喜び、つまり「働きがい」を感じられる仕事をすること。


今、豊かさの定義は経済的にリッチになる成功ではなく、心が満たされ精神的に豊かになる「成幸」に変わってきています。ぜひ成幸する仕事や働き方を見つけてください。



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前川 孝雄(まえかわ・たかお)

FeelWorks代表/青山学院大学兼任講師

1966年、兵庫県生まれ。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒業。リクルートで「リクナビ」などの編集長を務めたのち、2008年に人材育成の専門家集団FeelWorks設立。「上司力研修」などで400社以上を支援。17年に働きがい創造研究所設立。ウーマンエンパワー賛同企業審査員なども兼職。著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)など30冊。

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(FeelWorks代表/青山学院大学兼任講師 前川 孝雄 構成=八村晃代 イラスト=市村 譲 写真=iStock.com)

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