薄利多売主義のアマゾンが復活

10月31日(木)12時0分 JBpress

米アマゾンの食料宅配事業「アマゾン・フレッシュ」(写真:ロイター/アフロ)

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 米アマゾン・ドット・コムは、米国で「Amazon Fresh」の会費を撤廃した。


全米2000地域で展開の生鮮食品ネット販売

 Amazon Freshは、プライム(Prime)会員向け生鮮食料品のネット販売。1回の最低注文金額(一部の地域を除いて35ドル)を満たせば、配送料がかからなくなる。

 米国でのプライムの年会費は119ドルだが、月額14.99ドルを追加で払うと同サービスを利用できる。しかし同社は10月29日に、これを廃止。今後はプライムの年会費だけで利用できるようにする。まだAmazon Freshを利用していないプライム会員に対しては、順次登録を受け付けるという。

 同社は現在、全米の約2000都市・地域でAmazon Freshを展開している。2017年に買収した高級スーパーチェーン「ホールフーズ・マーケット」の商品も取り扱っており、引き続き配達を迅速化していくとしている。

 こうしたアマゾンの動きは、食料品のネット販売市場の競争が激化しているためだと指摘されている。


競合のウォルマートなど、アマゾンに対抗

 例えば、競合の米ウォルマートは今年9月、生鮮食品配達の会員プログラムを拡大することを明らかにした。

 顧客は月額12.95ドル、または年額98ドルの会費を払うと追加料金なしの配達サービスを無制限で利用できる。ウォルマートは今年初めに4都市で試験提供していたが、200都市に拡大。年末までに1600店舗以上でサービスを提供し、アマゾンに対抗する。

 また、米メディアのザ・バージによると、小売り大手の米ターゲットにも年額99ドルの会員プログラムがある。1回の注文金額が35ドル以上であれば、配達料が無料になるというサービスだ。


コスト増で9四半期ぶりの減益

 その一方で、配送コストは増大している。アマゾンが先ごろ発表した今年7〜9月期の決算は、売上高が699億8100万ドルとなり、1年前から24%増加した。しかし純利益は同26%減の21億3400万ドルで、2017年4〜6月期以来、9四半期ぶりの減益となった。

 アマゾンの最終利益は、今年1〜3月期まで過去最高が続いていた。しかし翌4〜6月期は前年同期比3.6%の増益にとどまり、5四半期連続の最高益更新にはならなかった。(ドイツ・スタティスタのインフォグラフィックス)。

 その要因はコストの増大だ。7〜9月期の配送コストは前年同比46%増の96億800万ドルに膨らんだ。同社は今年4月、プライム会員向け急ぎ便の標準サービスを、それまでの「翌々日配達」から「翌日配達」に短縮すると発表。6月には翌日配達の対象商品が約1000万点になったと報じられた。

 こうして迅速配達サービスの対象商品や対象地域を増やすためには、物流拠点を拡大する必要がある。同社は4〜6月期に8億ドル(約870億円)を投じ、物流施設や配送ネットワークの拡充、強化を図るとしていた。

 今回のAmazon Freshの会費撤廃は、おそらく売上高の増大につながるだろう。しかしコストも増大の一途をたどることが予想される。どうやら、薄利多売主義のアマゾンが復活したようだ。

 (参考・関連記事)「米国で激化、小売り大手の「翌日便」競争」

筆者:小久保 重信

JBpress

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