出版流通で“中抜き”を実現、京都にある「街の小さな書店」の挑戦

11月1日(金)6時0分 ダイヤモンドオンライン

1階を店舗にし、2階を住居に。基本的に妻と2人で店を切りまわしているので、人件費も発生しない。そこに直取引による粗利率アップが加われば、本を売るだけで書店経営が成り立つという Photo by Masuo Yokota(以下同)

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取次(卸)を介さずに出版社と直取引をする——。京都の小さな書店「誠光社」の挑戦に注目が集まっている。大手書店ならいざ知らず、街の小さな書店の取り組みとしては極めて異例。成功の背景には、店主のどんな戦略があるのだろうか。(ジャーナリスト 横田増生)


京都の街中にひっそりと佇む

「版元と直取引」する異端の書店


 目指す書店は、京都の河原町通りと鴨川の間にある裏通りにあった。


 一介の街の書店が取次を通さずに出版社と直取引をしている、というので話を聞きにきた。京阪本線の神宮丸太町駅から徒歩5分で着く距離にあるのだが、地元の地理に疎い人にはGoogle Mapなしにたどり着くのは難しいかもしれない。


 誠光社(せいこうしゃ)は、2階建ての民家の1階部分を書店にし、2階部分を住居にしている。職住近接型の個人経営の書店だ。店の前に出してある、白く塗った折り畳み式の木製の看板に「誠光社」と書いてあるのが目印。ひっそりとした佇まいなのだ。


 取材の約束をした午前11時より早めに到着した私はカウンターに座り、店主である堀部篤史(42)を待っていると、レジ業務をしていた堀部の妻が、ドリップ式のコーヒーを入れてくれた。


 20坪足らずの店内には、約5000冊の本が整然と陳列されている。


 入り口近くの棚には、『犬であるとはどういうことか—その鼻が教える匂いの世界』(白揚社)、『鏡の中の物理学』(講談社学術文庫)、『ロボットは東大に入れるか』(新曜社)、『蜂と蟻に刺されてみた—「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ 』(白揚社)、『ボタニカル・ライフ 植物生活』(新潮文庫)などが面出しで並んでいる。選ぶ人の個性が強烈に出た棚であることは一目瞭然だ。


 待っている間に、いろんな人々が店に入ってきた。リクルートスーツを着た短髪の女性と、白と黒のチェックの帽子をかぶりメガネをかけた男性は、本を物色していた。ヤマト運輸の配達員は、商品となる本を詰めた箱を運んできた。郵便配達員は、誠光社でやるイベントのチラシを持ってきた。


 外出から帰ってきた堀部は、妻に代わってレジカウンターに入ると、仕事をしながら、私にこう話してくれた。


「この書店を立ち上げたのは2015年11月のことです。初めから版元と直取引をすることを目指していました。版元からは3万円以上仕入れ、送料は版元負担、返品なしの買い切りという条件です。本だけを売って、利益を出すことを目標にしています。現在の月商は300万円前後です。常連のお客さんが次に来てくれたとき、違う本があるように、仕入れは毎日行っています」





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