窮地に追い込まれた三菱スペースジェット (2) 契約解除が先行、新たな契約は進まず!

11月8日(金)21時28分 財経新聞

「スペースジェット」(画像: 三菱航空機の発表資料より)

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 6月にMRJを「三菱スペースジェット(MSJ)」へと改称して、心機一転の攻勢へと舵を切ったものの、10月31日には、米地域航空会社のトランス・ステーツ・ホールディングス(TSH)との間で締結されていた100機の受注契約の解消が発表された。TSHが契約解消を決意した理由は、90席級のスペースジェットM90では「スコープ・クローズ」をクリアできないことである。

【前回は】窮地に追い込まれた三菱スペースジェット(1) 名称変更でイメージアップ狙ったが!

 米国の大手航空会社とパイロット組合の間の労使協定であるスコープ・クローズ(上限値:最大離陸重量39トン、76座席)は、MRJの開発が始まった頃には既に存在していた。つまり旧MRJは計画通りに機体が完成しても座席数が超過するため、中小都市間のリージョナル路線を運航する米国の航空会社には、買ってもらえない宿命を背負っていた。たまたま、開発に支障が生じて5度に渡る納入延期を繰り返していたのであまり目立たなかったが、実は当初から潜在していた大きな障害だった。

 米国航空業界の労使協定に疎かったという理由は成り立たない。労使協定の見直し時期が近いという判断を三菱航空機が抱き、航空会社には労使協定の見直しが前提条件となる契約だったかも知れないが、長い間三菱重工の頭痛の種となっていたことは間違いない。

 6月にMRJをMSJへと呼称変更した際に、70席級のM100の開発を航空機事業の柱の1つに据えた理由も「スコープ・クローズ」への対応にある。ところが既に6000億円を超える資金をスペースジェットの開発に注ぎ込んでいる三菱重工に、スペースジェットM90と同M100を並行して開発するような経営体力はない。とにかく先にM90を完成させてその後に、M100の開発に移ることが現実的な選択だった。

 TSHが「スコープ・クローズ」を盾に契約解消を求めてきたことの最大の懸念は、他の航空会社に波及する可能性が高いことだ。M90が計画通り20年の中旬に納入開始となっても、「スコープ・クローズ」が緩和されない限り、受注残の過半を占める米国航空会社が素直に購入するとは考えにくい。

 三菱航空機はTSHとの間で発生した90席級のM90のキャンセルを、70席級のM100受注に切り替えて交渉を進めるようだが、TSHが、M90で6度目の納入延期を検討している航空機メーカーと建設的な交渉に臨む気があるかどうかが鍵だろう。

 しかも、M100にはまだ「ローンチカスタマー」が決まっていないという泣き所が・・・(3)に続く

財経新聞

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