地政学って何だろう?に応える『サクッとわかる ビジネス教養 新地政学』。わかりやすさにこだわったベストセラーシリーズの新刊について編集者が語る

2024年11月14日(木)11時0分 PR TIMES STORY

累計82万部(2024年10月時点)のベストセラーシリーズ『サクッとわかる ビジネス教養』シリーズ。シリーズの中でもベストセラーとなっている「地政学」のテーマが、なぜ多くの読者から支持をえられているのか、『地政学』が多くの読者に興味を持たれているのかを掘り下げます。

本記事では、2024年7月に刊行され、3か月で2万5000部に達している『サクッとわかる ビジネス教養 新地政学』が生まれた背景やこだわりなどの制作秘話について、担当編集者である編集部の富永雅弘に話してもらいました。

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担当編集者


企画提案するも当初はボツに。3年を経てオリジナル版『サクッとわかる ビジネス教養 地政学』を刊行

●本書の企画が考えられたいきさつを教えてください。

『サクッとわかる ビジネス教養 新地政学』は、じつは改訂版です。オリジナルである「新」の文字がついていない『サクッとわかる ビジネス教養 地政学』は4年前の2020年に刊行されています。

おかげさまで『地政学』は20万部の大ベストセラーとなりました。

まずは、4年前に刊行した『地政学』(以下、元本)が企画された背景についてお話しします。

私が元本を企画したのは2019年のことですが、じつはさらに前、具体的には2017年に企画を提案していました。

2016〜17年頃に「地政学」という言葉が、一般的なニュースに登場しはじめ、その後、地政学についての書籍が何冊か刊行されていました。私もそれらの書籍を読み「面白い!」と思ったため、別の切り口の地政学本について、企画を提案したのです。

図1 2017年時点に提案した企画書の一部

しかし、2017年当時は、その企画は残念ながらボツになってしまいました。

今、思い返せば、そのとき通らなくてよかったですね(笑)。

その後、知り合いの外部の編集者から「教養」シリーズの企画提案がありました。

当時、出版業界では「教養」と名の付く書籍の売れ行きがよく、一種のブームになっていたため、そのような企画提案があったのです。

そして、その企画を社内で検討した結果、シリーズとして6冊を刊行することになりました。

もちろん、どのような本のシリーズにするかや、どのテーマを出版するかについても検討しました。

そのとき、外部の編集者から「地政学」を最初のテーマにしたいという提案があったのです。

先ほども言いましたが、私は「教養」シリーズが提案された数年前に、自分自身で地政学をテーマにした企画を提案していたため、地政学テーマを提案されたとき、私自身も大いに乗り気でした。

6冊刊行のうち、最初に2冊を同時刊行することになっていたのですが、最初の2冊のテーマに「地政学」と、当時、アメリカと覇権争いを始めていた中国をテーマにした「中国近現代史」を推したのです。

図2 テーマ選定のために提出した企画書の一部

上記の企画書を作り上げるとき、じつは営業部門の人間が関わっています。

編集と営業がチームになり、これも何度も打ち合わせを重ねた結果、「見るだけで会話ができる!」というコンセプトにたどり着きました

結果的に私達、チームの提案が採用され、『地政学』と『中国近現代史』が、シリーズの最初の2冊として選定されました。

『地政学』は、刊行後、すぐに爆発的に売れ、数カ月で10万部まで売れていきました。

「中国近現代史」も重版できるほどまで売れていたのですが、「地政学」ほど爆発的な売れ行きではありませんでした。

「地政学」という旬のテーマとわかりやすいレイアウトが読者から評価された

●なぜ『地政学』が発売の数カ月で10万部まで売れたのでしょうか?

それについては、私なりに仮説を立ててみました。

一番は「地政学」というテーマが、2020年当時に「旬」のテーマだったことです。

2016年〜2019年くらいまでは、専門家と、一部の先進的な読者のみが、詳しく知っている言葉であり、書籍を購読された方だったと思います。

それが、ニュースなどで取り上げられることが増え、そこにアメリカ大統領選挙があったため、「地政学」という言葉がニュースに頻繁に出てきたのです。

それらのことから、「地政学って何だろう?」という読者が増えていったのでしょう。

それが、ちょうど2020年の頃です。

図3 2020年の大統領選挙にて戦ったバイデンとトランプ

2つめは、実用書の編集者として一番強く言いたいことなのですが、「レイアウト」です。

先ほども説明しましたが、本シリーズのコンセプトは、

「見るだけで会話ができる!」

です。

これを実現するために、さまざまなことを考えました。

これまで刊行されていた本(ここでは「地政学」と「中国近現代史」)は、「文字をベースとした読み物」や「マンガと図版を少し使った実用書」です。

しかし、これらの本は、テキスト量が多く、読むのに時間がかかります。

現代人は「忙しい人がほとんど」ですから、「もっと短い時間で理解できるようにしたい!」と思ったのです。

もちろん、お金を出してまで読んでいただく書籍ですから、簡単にネットで検索できるような内容ではいけません。

それでは、ご購入いただけません。

私共は、書籍という商品を作っているのですから、無料で得られるネット情報と同程度や少し深い程度ではダメ。「お金を出す」という高いハードルを、読者に越えていただかなければならないのです。

それらを考えに考えて、できあがったのが、以下です。

図4 『地政学』の1枚目の見開き

図5 『地政学』の2枚目の見開き

「1項目 = 4ページ展開」が基本で、「最初の見開きでポイントがわかり、次の見開きで詳細がわかる」というレイアウトを考えました。

これがシリーズタイトルにある「サクッとわかる」につながっています。

そして、「見るだけで会話ができる!」のシリーズコンセプトにマッチするように、最初の見開きを見るだけで、その項目のポイントを理解できるようなレイアウトにしたのです。

多くのヒントを得た奥山先生への取材。ホワイトボードに描かれた地図がイラストのベースに

●監修者の奥山先生は、どのように関わられたのでしょうか?

『地政学』の監修者である奥山先生には、大変なご協力をいただきました。

本書は、奥山先生を何度も取材し、それを本にするという形をとっているのですが、それぞれの国を、具体的な地図の形ではなく、丸や四角のような大まかな形で表現したのは、奥山先生のお力も大きいです。

取材時に、ホワイトボードに大まかな地図をササッとお描きいただきながら、解説いただいたのですが、そのときに「関係性が重要」とおっしゃっていました。

そこで、外部の編集者と相談し、先ほどの紙面のようなレイアウトになったのです。

先ほどのページは、ロシアと、日本、アメリカ、中国、欧州、中東の関係性を示した紙面ですが、このイラストのベースなったのが、奥山先生が描かれたホワイトボードの地図なのです。

その地図を、さらに擬人化し表情を付けたのが先ほどの紙面です。

もちろん、イラストレーターさんにも大きく助けられました。

編集者が描くラフを、生き生きとしたイラストにしていただきました。

監修者の奥山先生も、何度も「イラストがいい」と、おっしゃっていただいています。

この「それぞれの国の表情付け」が本書を際立たせていると考えています。

「見るだけで会話ができる!」「サクッとわかる」を見事に表現。デザイナーと作り上げたカバーデザイン

●ベストセラーになった要因として、その他のものはありますか?

カバーデザインも、売れた大きな要因だと考えています。

本シリーズは、ビジネスパーソンにご購読いただきたいと考えています。

そのため、タイトルに「ビジネス教養」を謳っています。

「教養」の前に「ビジネス」という言葉を加えているのです。

そして、書店のビジネス書コーナーは、マジメな印象のカバーデザインがほとんどです。

内容もしっかりと詳しく解説している本が並んでいます。

その売り場に、「見るだけで会話ができる!」というコンセプトの「サクッとわかる」というタイトルの本を並べていただくのですから、そういった印象を与えなければなりません。

以下が、そのカバーです。

図6 2020年に刊行した『地政学』(元本)

このカバーでしたら、コンセプトにピッタリです。

こちらは、デザイナー(装丁家)さんの力をお借りしました。

シリーズ全体のカバーになりますので、通常のカバーデザインより、何倍も時間をかけました。

何度も何度も打ち合わせを行い、その都度、何案もご提案いただき、もちろん、何度もご修正いただきました

デザイナーさんの献身的なご協力なくして、このカバーはできあがりません

これらの状況が重なった結果、発売から数カ月で10万部となり、最終的には20万部を突破しました。

大ベストセラーにつなげた営業力と、監修者・奥山先生のお力添え

●本づくり以外の要因はありますか?

もちろん、販売の力は忘れてはなりません。

弊社の営業やPRの努力なくして、このような大ベストセラーにはなりません

本書の内容について、書店さんにていねいに説明することで、販売の現場である、書店さんのご協力を得られたわけです。

刊行直後に売れた後の、営業の動きはすさまじかったです。

さまざまな書店さんで、何十冊、百数十冊という展開をしてくれたのです。

1000冊展開というのもありました。

監修者の奥山先生のお力もお借りしました。

奥山先生には、本の販促・PRでも多大なご協力をいただいています

発売当初に、ネット書店でもたくさんの読者にご購入いただいたのですが、その多くは、奥山先生のニコニコ動画の番組を視聴されている方とSNSを見られた方です。

奥山先生が番組やSNSにてお知らせくださったおかげで、多くの方にご購入いただけました。

「ニュース性のある内容」をアップデートするため新刊を刊行

●新刊の『新地政学』について教えてください。なぜ、新しくしたのでしょうか?

オリジナルである『地政学』(元本)は、地政学の「普遍的な内容」と、「ニュース性のある内容」の両方が入っている構成になっています。

地政学の基本的な考え方は時代が変わっても同じですが、「ニュース性のある内容」は時間と共に古くなっていきますし、新しい内容も組み込めていません。

元本の刊行は2020年ですから、4年前です。

それ以降の事柄については、触れられていないのです。

たとえば、ウクライナ侵攻は2022年ですし、ハマスとイスラエルの戦闘は2023年です。

これらのような事柄に触れていないため、「ニュース性のある内容」が弱くなっていると感じました。

そのため、「ニュース性のある内容」を最新情報に更新した改訂版を作ることを決めたのです。

今回、新しくページを増やしたのは「ウクライナ侵攻」「ハマスとイスラエルの戦闘」「台湾有事」、そして「アメリカの分断」です。

「アメリカの分断」は、今回の大統領選挙にも如実に現れています。

図7 2024年の大統領選挙にて戦ったハリスとトランプ

そのベースとなる民主党と共和党の分断について新たにページを割いたのです。

図7 『新地政学』の「アメリカの内戦」ページ

もちろん、新規ページ以外も「ニュース性のある内容」を解説したページは、4年前から大きく変わっています。

ロシアのウクライナ侵攻により、EUを中心としたヨーロッパの国々とロシアとの関係は大きく変わりましたし、中国は、より力をつけ、アメリカとの覇権争いが活発になっています。ハマスとイスラエルの戦闘により、中東の情勢も著しく変化しました。

新規ページ以外のところにも、これらは大きく関わっていますので、それらの部分も最新の情報に書き直しています

同時に、紙面に掲載しているGDTや輸出消費量などの数値データも最新のものに更新しています。

提案と検討を重ねたカバーデザイン。シリーズ感を残しつつ”新刊”をひと目で伝えるためのこだわり

●カバーが変わりましたが、どのような経緯でしょうか?

じつは、カバーデザインに、とても苦労しました。

『サクッとわかる ビジネス教養』シリーズとして展開しているため、「シリーズ感を残す」ことが必要です。

同時に、「ひと目で違う本とわかる」デザインにすることも求められました。

今回もデザイナーさんのお力をお借りしました。

最初に何案もご提案いただき、それを営業やPR部門の人間を含めて検討しました。

これを何度も繰り返した結果、以下ができあがりました。

図9 新刊『新地政学』のカバーデザイン

個人的に「シリーズ感を残す」と「ひと目で違う本とわかる」の両方を実現できたと考えています。

新刊も累計2万5000部、重版されて好評販売中。今なお多くの読者から求められている「地政学」

●新刊の『新地政学』の売れ行きはどのようになっているのでしょうか?

おかげさまで、売れ行き好調です。

4年前に刊行した元本の大ベストセラーには届いていませんが、重版を重ね、現在(2024年10月時点)2万5000部になっています。

三省堂書店さん(グループ全体)やAmazonさんではジャンル1位にもなっていますので、これからさらに伸びることを期待しています。

4年前に刊行し20万部となり、その後、他の出版社さんからも多数の地政学本が刊行されています。

そのような中でも、改訂版である『新地政学』の売れ行きがよいということは、いまだ多くの読者に求められているということです。

つまり、地政学について、まだ本を読まれていない方が、少なからずいらっしゃることの証であると実感しています。


【書誌情報】

『サクッとわかる ビジネス教養 新地政学』

出版社:株式会社新星出版社

監修者:奥山 真司

定価:本体1,400円+税

仕様:四六判・オールカラー・176ページ

【Amazon】 https://www.amazon.co.jp/gp/product/4405120366

【楽天ブックス】 https://books.rakuten.co.jp/rb/17874987/

【目次】

Chapter 1 基本的な6つの概念

 →「シーパワー」と「ランドパワー」など地政学の下敷きとなる重要な基礎知識を紹介

chapter 2 日本の地政学

 →「北方領土」や「北朝鮮」のミサイルなど日本に関係するトピックスを解説

chapter 3 アメリカ・ロシア・中国の地政学

 →世界に大きな影響力をもつ3つの大国について、それぞれの重要なトピックスを解説

chapter 4 アジア・中東・ヨーロッパの地政学

 →大国に左右されがちな3つの地域におけるトピックスを解説


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