居住地の大気汚染と骨粗しょう症に関連性、PM2.5中の重金属が影響か

11月15日(水)10時0分 Forbes JAPAN

長期間にわたって大気が汚染された環境で暮らすことが、骨粗しょう症と関連していると見られることが分かった。骨粗しょう症は骨が弱くなり、骨折しやすくなる疾患だ。

英医学誌ランセットの「ランセット・プラネタリー・ヘルス」に先ごろ掲載された研究結果によれば、大気汚染の影響は私たちの骨の中にまで及んでいると考えられる。ハーバードT.H.チャン公衆衛生大学院やノースウェスタン大学、コロンビア大学メールマン公衆衛生大学院その他の研究機関が個別に実施された2つの調査結果を分析したところ、明らかになった。

一つ目の調査は、米北東部と中部大西洋岸に住むメディケア(高齢者向け公的医療保険)に加入する65歳以上の約920万人について、2003年1月〜2010年12月までの8年間にわたって追跡調査を行ったもの。

大気中に浮遊する粒子状物質のうち、特に粒径の小さい微小粒子状物質(PM2.5)の大気中濃度が高い地域の住民たちは、骨粗しょう症による骨折で入院する可能性が4.1%高かった。さらに、そのうち低所得者層が多く住む地区の住民は、7.6%高くなっていた。

もう一つの調査結果では、大気中の粒子状物質や黒色炭素(ブラック・カーボン)が高い傾向があるボストン周辺地域に住む低所得者層の中年男性692人を対象に血液検査を行った。その結果、血液中の副甲状腺ホルモン(血液中のカルシウム濃度を調整し、骨の再形成を助けるホルモン)の濃度が低い人が多いことが分かった。長期的に見た場合の(太腿の)大腿骨、(前腕の親指側にある)橈骨の骨量の減少も確認された。

これら2種類の調査は、大気汚染と骨粗しょう症の直接的な因果関係を証明するものではなく、関連性を示すものだ。だが、過去のその他の科学的な研究結果と同じように、私たちの体は自分たちで思う以上に複雑であり、吸い込む汚染物質からどのような影響を受けているかについては、いまだよく理解されていないということを強く警告する結果と受け止めるべきだろう。

見過ごしがちな骨の役割

私たちの骨には、体全体を一つにまとめている以外にそれほど大きな役割はないと考えている人が多いかもしれない。だが、実際には骨は、代謝にも大きな影響力を持つ複雑な組織だ。空気中の汚染物質は、私たちの体の複雑なプロセスを妨げる可能性がある。例えば、大気中の重金属(鉛、カドミウム、水銀など)は、実際に骨に沈着する。

骨粗しょう症になった骨は弱くて脆く、非常に折れやすい。転倒する、ぶつかる、あるいはくしゃみをするだけでも、骨折する可能性がある。また、背部痛や身長が縮むこと、かがんだ姿勢の原因でもある。重度の骨折の場合には、入院治療が必要になることや、場合によっては死亡につながることもある。

米骨代謝学会誌ジャーナル・オブ・ボーン・アンド・ミネラル・リサーチに発表された米国の50歳以上を対象に行った調査によると、骨粗しょう症と診断される人は調査対象者の10.3%に当たる1020万人以上だった。

一方、世界保健機関(WHO)の世界都市大気汚染データベースによれば、米紙ワシントン・ポストが昨年報じたとおり、米国では2005〜2014年の間に一部地域で大気環境が改善した。だが、米国では今年に入り、オバマ前政権が火力発電所からの温室効果ガスの排出を制限するために導入した規則を撤廃するなど、公害防止に向けた対策が逆行し始めている。

こうした規則撤廃の問題の一つは、大気中に排出される汚染物質のうちある程度の量を、私たち全員が「吸い込まなければならない」ということだ。

Forbes JAPAN

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