意外に大きい「年令」という相性

11月15日(水)15時38分 財経新聞

 かつてのような年功序列制度はほとんどなくなり、仕事ぶりは年令ではなく能力、実績、成果で評価されるようになってきています。確かに年令が上だからと言って、その人が役職や立場も同じように上ではないことが増え、「年下上司」や「年上部下」の話は、どこの会社でも普通に聞くようになりました。

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 一般的な企業の人事制度やその他の仕組みの中で、年令による区別や有利不利というのは、少なくとも表向きのルールの中ではほとんどなくなっていますし、実際にもそれなりの運用がされるようになっています。
 しかし、差別やえこひいきといったことも一切抜きにした、人間の純粋な本音の気持ちの部分で見ていると、これは私自身も含めてですが、「年令」を気にしていることは実は結構多いと感じています。

 例えば、私自身のコンサルタントとしての仕事で言えば、お付き合いをしていく企業の経営者や管理者、懇意にしている関係者の年令層は、自分と同年令周辺の方々が確実に多いです。これは決してこちらからそういう選び方や営業の仕方をしている訳ではなく、顧客からの選ばれ方がそうだということです。

 多くの企業で中核を担う人材は、だいたい30代後半から50代前半くらいまでが多いですが、顧客からしても、やはり自分と年令の近い相手の方が話しやすい、相談しやすい、コミュニケーションが取りやすいと思うようで、例えば私と世代が違う同業者のコンサルタントに聞いても、自分の年令とプラスマイナス5、6才の間の顧客からの仕事が一番多く、実際に仕事をしていてもいろいろとスムーズに進められることが多いと言っていました。

 これは仕事以外でも同じで、もしも会社で全社員が参加するパーティーその他の集まりがあったとして、特に席次でも指定されない限りは、たぶん同じ部署でなおかつ同世代でかたまる人が多いです。

 これは完全に実力主義のプロスポーツのような世界であっても、例えば同じチーム内でも行動を共にするのは比較的同世代が多いとか、代表チームなどに選抜された合宿のような場所でも、食事中や余暇などの場面では、何となく同い年くらいの人たちでつるんでいるとか、そんな話は多々あります。

 もちろん、どんな場所にも世代に関係なく交流する人はいますが、これもあくまで組織上の役割を意識してのことか、もしくは日頃交流が少ない人と意識的に話そうと考えたか、いずれにしても無意識ということではないはずです。何か特に意識をしていなければ、たぶん知っている者同士、なおかつ年令が近い人同士で行動していることが多くなると思います。

 こうやって見ていくと、年令の近しさというのはそれが誰にとっても気楽で落ち着いて安心できるということですから、これはもう一部の人の偏った心理ということではありません。このような「年令の相性」というのは、わりと人間の本能の近くにあるのではないでしょうか。

 少し前にシニア世代の活躍について書いたことがありますが、私が現場を見ていてネックと感じるのは、自分よりも年上を受け入れる経営者や管理者が意外に少ないということです。表向きには仕事能力のことを言いますが、やはり「年令」という要素は大きく、初めは年令は関係ないなどと言う人でも、突っ込んで聞いていくとやはり年令的な縛りの意識があったりします。シニアが多く活躍している職場は、実は経営者や監督者が結構高齢で、その人にとってはみんな年下ということがあります。

 もし「年令」の感じ方に、人間が持っている本能的なものが関係しているのだとすれば、これは理屈や制度だけでどうにかできることではありません。組織に属する人にとって居心地が良く、それを効率的に運営しようと考えると、この「年令」はとても重要なファクターということになります。「年令」を十分に意識して、人の組み合わせをよく考えて、それをうまく利用するということが必要になります。

 「年令ではない」けれども「年令はある」というのはある種の矛盾ですが、これを意識せずに組織をまとめていくのは意外に大変だと思います。

※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら

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