街の「米屋」「本屋」「豆腐屋」が消えていく理由

11月20日(月)10時30分 まいじつ


ピカ / PIXTA(ピクスタ)



テレビ番組では街や“商店街”を探訪する番組が人気だ。そんな商店街の“三種の神器”とも言える米屋、本屋、豆腐屋が消えつつあるといい、それが商店街衰退の象徴ともなっている。


米屋の経営不振に影響を与えているのは、政府の方針に沿って、補助金が多い『飼料米』にシフトする農家が増えていることが挙げられる。


「飼料米とは、輸入のトウモロコシに代えて家畜のエサにする米のことです。食用より品質が問われない分、作るのに手間が掛からず、作付け前に価格が保障されていることもあって、飼料米農家が増えたのです。従って主食用の安い米を作る農家が減ったあおりで、比較的安い米が市場から消え、それにつれて米屋さんも消えるという構図になってしまっているのです」(農政ジャーナリスト)


書店が地域に1店舗もない“書店ゼロ自治体”も増えている。その数は、出版取次大手によると、香川を除く全国46都道府県の自治体・行政区(1896)のうちで420に上り、2割強を占める。“文化拠点の衰退”だと危惧する声も強い。


「人口減や活字離れがあるほか、書店の売り上げの6〜7割を占める雑誌の市場規模が、10年前の6割に縮小しています。紙の本の市場の1割はインターネット通販大手のAmazonが占めており、ネット書店にも強く押されている状況です。書店経営者の高齢化やコンビニの雑誌販売なども影響しています」(出版関係者)


日本出版インフラセンターの調査では、過去10年で299坪以下の中小書店は減少したものの300坪以上の大型店は868店から1166店に増加し、書店の大型化が進んでいる。街の書店は大型店に駆逐されているのだ。


そして、豆腐屋はどうか。豆腐は近年、海外での日本食ブームもあって、健康志向の高いセレブからも人気だ。しかし現在、大手豆腐メーカーの独占などによって“街の豆腐屋さん”が次々と消え、豆腐本来の製法技術が絶滅の危機に瀕している。


「スーパーは“粗利の高い豆腐“しか仕入れなくなりました。そうなると、零細企業の豆腐製造業者は、スーパーの言い値で納入するしかありません。1丁100円の豆腐の場合、以前までスーパーの粗利は15〜18円程度でしたが、いまでは50〜60円。業者の手取りは1丁30円以下です。大手メーカーも実情は同じですから、数量でカバーしようとして大量生産しては安売りしてしまう悪循環に陥っています」(食品ライター)



豆腐屋の豆腐と大量生産の豆腐は「別物」


日本政府は『食料・農業・農村基本計画』で、国内大豆の生産努力目標を32万トンと設定している。コメの減反政策や日本の食料自給率が低いなどの理由から大豆の収穫量を増やそうとしているのだ。


日本で食品に使用される大豆は、国内外のものを合わせると年間約95万トンに上り、そのうち約45万トンが豆腐向けだ。この数字から見ても、国産大豆の生産目標値である32万トンのほとんどが、豆腐の原料として使われるのは間違いない。それにもかかわらず、国は大豆農家にのみ交付金を出し、実需者である豆腐業者には一切支援をしてこなかった。


「豆腐というのは、同じ機械、同じ大豆を使っていても、作る人によって味や固さに差が出ます。そういったばらつきを避けるため、例えば凝固剤を大量に添加したり、木綿豆腐と言いながら絹ごしの表面に布目をつけるだけのもの、一口目のインパクトを求めるあまり食塩を入れ過ぎているものもあります。こうした豆腐は、一丁丸々食べきれない粗悪品と言えるでしょう」(同・ライター)


つまり、街の豆腐屋さんの作る豆腐と大量生産される豆腐はまったくの別物と言っていいくらいに違う。もちろん豆腐から作る油揚げもだ。


街の豆腐屋さんの衰退は、豆腐製造技術の衰退を意味している。現況の豆腐は、日本の伝統文化である豆腐を単なるタンパク質の塊にしてしまったといえるのではないだろうか。



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