廃材に、新しい命を吹き込む『めぐる、手漉紙。』誕生の裏側。手漉き紙を通して地域資源の循環と、障がいのある方々の賃金格差解消を目指すコトブキ印刷(広島)のストーリー

2023年11月20日(月)11時0分 PR TIMES STORY

有限会社コトブキ印刷は1982年に広島県府中市で創業した印刷会社です。創業から40年以上、印刷とデザインを通してお客様の困りごとや課題解決のお手伝いをさせていただいております。

これからは次世代に向けてより良い社会を残していきたい。そんな想いから捨てられる廃材に命を吹き込み、障がいのある方々の手によって再生紙に生まれ変わらせるプロジェクト『めぐる、手漉紙。』を始めました。

地域の企業や工場で日々生じる廃材を新しい紙にアップサイクルすることで環境にやさしい循環型社会に貢献するとともに、福祉作業所に紙漉きの仕事をお願いして利用者さんたちの工賃アップにつなげることで、障がいのある方々を苦しめる工賃格差問題の解決を目指しています。

今回は『めぐる、手漉紙。』立ち上げの経緯やプロジェクトに込める想いについて、弊社常務取締役の宗藤利英、専務取締役の宗藤正典からお伝えします。

印刷とデザインを通してお客さまの課題解決をサポートする会社です

コトブキ印刷のスタッフ(写真右から専務・宗藤正典、常務・宗藤利英)

有限会社コトブキ印刷は「印刷とデザインを通してお客さまの課題解決をサポートする」をモットーに掲げ、印刷物に限らず看板やウェブサイトの制作などを幅広く手掛けています。またシルクスクリーン体験ができるワークスペースを社内に設けたり、地域のイベントで印刷や紙にまつわるワークショップを開いたりと、印刷をもっと身近に感じてもらうための取り組みも積極的に行っています。

地元企業の共感を得て立ち上がった『めぐる、手漉き紙。』プロジェクト

2022年に工場などで生じる廃材を使ってオリジナルの紙を作るプロジェクト『めぐる、手漉紙。』を本格的に開始しました。当社は日頃からお客さまの課題や表現に対するこだわりに応えるため、一つひとつの案件に寄り添ったデザインや印刷方法をご提案しています。しかし紙だけは既存の製品からお客様のイメージや意図に合うものを選ぶしかないのが現状です。もし紙まで自分たちで作ることができたら、さらに表現の幅が広がるとかねてから考えていました。

当社の創業地・広島県府中市はデニムや味噌、家具など、ものづくりが盛んなまち。このまちで事業を営んでいると「自社で発生する廃材を何かに活用したい」と考えている地元企業さんにも多く出会います。「オリジナルの紙を開発して、より細やかなニーズにお応えしたい」という私たちの想いと、地元企業の廃材に対する課題意識を掛け合わせて生まれたのが『めぐる、手漉紙。』なのです。

デニム、家具、味噌。地域産業のメーカーとともに3種類の紙を開発

「限りある地域資源の有効活用と、障がいのある方々の賃金格差問題の解消に貢献したい」。そんな私たちの考えに共感してくださった地元メーカーさんたちと一緒に、これまで3つのオリジナル・ペーパーを開発しました。

1つ目は、デニムの製造工程で不要になった糸や綿を使った「インディゴデニムペーパー」。2つ目は、府中家具の工場で発生する木くずを使った「府中家具の木くずペーパー」。3つ目は、府中味噌の製造過程で生じる炒り大豆の皮を使った「みそペーパー」です。どの素材もこれまでは廃棄されていたものです。

障がいのある方々の働きがいと賃金格差解消にも繋がる紙漉き事業

地元のデニム工場、家具工場、味噌工場からご提供いただいたこれらの廃材を、紙漉き事業を行っている福祉作業所に送り、利用者の方々に一枚ずつ手作業で手漉き紙を生産していただいています。福祉作業所に発注する理由は、工賃格差の問題解消に少しでも貢献するためです。

手漉き紙は廃材を手で細かくちぎる、水に溶いた紙の原料を木枠で漉く、漉いた紙を板に定着させて乾燥させるなど作業工程が多く、利用者さんの「関わりしろ」が広い点も特徴です。一人ひとりの特性を考慮して、その人に向いている作業やご本人が「楽しい」と思える作業を担当してもらうことができるのです。『めぐる、手漉紙。』を障がいのある方々の工賃と働きがいの向上に繋げ、ゆくゆくは地域の障がい者施設に紙漉き業務をお願いできればと考えています。

デニムの深い藍色を表現するのは「過去いちばん難しかった」

もっとも開発に苦労したものは、デニムの製造工程で不要になった糸や綿を使った「インディゴデニムペーパー」です。府中市とその近隣市町を含む「備後(びんご)地域」は、デニムの生産量日本一を誇るデニムのまち。その歴史は江戸時代まで遡ります。だからこそ私たちはデニム本来の藍色や木綿の風合いを本格的に表現した紙を作りたいと考えていました。

地元デニムメーカーからご提供いただいた廃材を手漉き紙に生まれ変わらせてくれたのは、大阪にある就労継続支援B型『紙好き交流センター ひかり』。同施設でもデニムの廃材を使うのは初めてだったそうです。

デニムの「色付き糸」を利用したインディゴデニムペーパーは〈インディゴ/ミドルインディゴ/ライトインディゴ/ベージュインディゴ〉の4色展開。いちばんはじめに作ったのが、もっとも色の濃い紙〈インディゴ〉です。

〈インディゴ〉の深く鮮やかな藍色を表現することは、長年さまざまな企業のさまざまな廃材で手漉き紙を作り続けている同施設をもってしても「これまで手掛けた紙の中でいちばん難しかった」といいます。

廃材の配合を増やせばフェルトのようにボソボソになり、割れやすくなってしまう。漉いたばかりの状態では理想の色になっていても、乾燥させると色が浅くなってしまう。薬品を使って色を定着させる方法は、作業する人たちの安全性や環境配慮の点からも望ましくない……。廃材の配合や漉き方を何度も変え、試作する日々が続きました。そして度重なる試行錯誤の結果、デニムらしい藍色と紙としての品質を両立するとともに、紙漉きをしてくださる方々も安全に作業できるレシピが完成。環境にも人にも優しいデニムの手漉き紙が出来上がりました。

府中家具の木くずペーパー

家具を加工する際に生じる木くずを混ぜ込んだ「府中家具ペーパー」や、炒った大豆の皮を混ぜ込んだ「府中味噌ペーパー」に関しても、廃材をパルプに混ぜ込む際にあまり細かく砕きすぎず、木の質感や大豆の皮の焦げ目などが分かるようにしています。手に取ってくださった方々に、地域産業で使用される素材や製造風景を想像していただきたいからです。

廃材は物語の種。廃材から生まれた手漉き紙が「地域の誇り」を伝える

活版印刷例

『めぐる、手漉紙。』の製品は、使用する廃材ごとに風合いや色味が異なるところと、手漉きならではのあたたかみが魅力です。厚みを持たせているので、印刷部分が凹む活版印刷と特に相性が良い紙となっています。もちろんオンデマンド印刷にも対応可能です。『めぐる、手漉紙。』の製品を使った名刺やDM、パンフレットなどの印刷物の注文を承るほか、紙だけの販売もおこなっています。

私たちは「廃材は物語の種」だと考えます。府中・備後地域で作られる製品には作り手の想いや、まちと企業の歴史が込められています。地域産業の廃材を手漉き紙にアップサイクルすることで、この地で紡がれてきた物語をより多くの人に伝えることができると考えています。

実際に『めぐる、手漉紙。』のオリジナル・ペーパーで名刺を作ったお客様からも、名刺交換の際に「おしゃれな名刺ですね」「これは何の紙ですか」と相手から高確率で反応があり、備後がデニムの生産量日本一であることや府中が家具のまちとして栄えてきたことなど、「地元の誇り」を伝えるきっかけになると喜びの声を多くいただいています。

企業理念やSDGsへの取り組みを発信するツールにも

布や木くず、紙パック、食品など、細かく粉砕できるものはほとんど手漉き紙に再利用が可能です。「うちの会社の廃材で紙を作れないか」などのご相談も承っております。サイズや厚みの変更も協力施設と相談の上、できる限りご対応します。自社で発生する廃材から生まれたオリジナルの紙を従業員の名刺やDM、パンフレットなどに採用することで、企業理念やSDGsへの取り組みを発信するツールとしてお役立ていただけます。

『めぐる、手漉紙。』を通して世の中に喜びの量と質を増やしたい

今後は『めぐる、手漉紙。』のプロジェクトを全国に広げ、世の中に喜びの量と質を増やしたい。そして今まで以上に顧客や地域の課題を解決できる会社でありたい。これからも「日本一喜びあふれる印刷会社」を目指し、お客様と世の中に喜んでいただける事業を展開していきます。

【めぐる、手漉紙。オフィシャルサイト】

https://meguru-tesukigami.com/

【めぐる、手漉紙。名刺金額】

・活版印刷片面1色名刺 100枚 15,500円+税

・オンデマンド印刷片面カラー名刺 100枚 6,500円+税

【会社概要】

有限会社コトブキ印刷

〒726-0013 広島県府中市高木町840-2

代表取締役:宗藤 勝美

https://co-tobuki.co.jp/


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