中高年の哀しみただよう サラリーマン川柳傑作選10

11月23日(金)7時0分 NEWSポストセブン

サラリーマンはつらいよ(写真:アフロ)

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 毎年数々の名作が誕生する「サラリーマン川柳」。歴代の優秀作品を眺めていくと、そこには世代間のギャップが表れている。これぞ、という作品を一挙紹介する。

【括弧内は雅号。寸評はネットニュース編集者の中川淳一郎氏】


●どうなった? 「確認します」はやってません(2015年、受け流し丸)


「確認します」とか「了解しました」とか「承知しました」とか若者はやたらと丁寧なのだが、丁寧な言葉遣いだったらサボりが許される、と考える人への苛立ちが感じられる良い句です。


●気付いてよ 既読スルーも 返事なの(2014年、現代っ子)


 最近のオッサンはなまじっかスマホなんてもんを持ってしまったため、LINEの返事を1時間しないだけで「俺を低く見やがって!」と怒る。既読スルーにより「メッセージ伝わった」でいいじゃないですか。


●部下の言う 「課長やばい」は 褒め言葉(2015年、無粋上司)


「やばい」が褒め言葉っていうのはもしかしたらオッサンのセンスかもしれませんよ。2000年代前半に世間を騒がせた「スーパーフリー」の代表の決めゼリフは「アツい、ヤバい、間違いない」で、彼は現在44歳。


●ゆとりでしょ? そう言うあなたは バブルでしょ?(2016年、なおまる御前)


 いやはや、レッテルを貼られた者同士のいがみ合い。これは許してあげましょうよ。バブル入社組は「大量採用時代だったからバカでも入れた」と言われ、ゆとり世代も「お前らは勉強していない」と揶揄される。いっそのこと仲良くなれば?



●新人は ペンを取らずに 写メを撮る(2016年、実在主婦)


 これもそうですが、ITとか広告系の若者って会議中に皆PC立ち上げてますよね。別に議事録を書いているというわけではないけど、何やってるのかと見たら仕事のチャットしていました。優先順位、できてます。


●遅れても はっきり寝坊と 言う新人(2017年、バカまじめ)


 この新人は恐らく「嘘をついても仕方がない」という合理的な考えを持っているのではないでしょうか。彼を批判する人は、これまでに何人親戚を殺してきたか思い返してください。もう親ぐらいしか残ってないでしょ?


●オレのボス ヤフーでググれと 無理を言う(2016年、田舎出身自衛官)


「ググれ」もすでに死語のような気もしますが、かつて「コピー取って」を「ゼロックスして」と言ったのと同じようなにおいを感じ、懐かしさ100%です。


●空いている 上座に座る 新社員(2016年、はっぱ2323)


 上座・下座とか、名刺をどちらが先に出すかとか、エレベーターで先に降りるのは誰か? とか正直どうでもいいビジネスマナーがまかり通っているのが日本のビジネス世界です。最初に来た人間が奥に詰めればいいんですよ。



●休みます LINEの文字は 元気そう(2014年、すっとぼけ)


 オッサンの怒りが込められていますねぇ。「元気そう」ってお前の主観だろ!(笑) 元気そうなフォントでも使ってたのかよ。


●暗号と 思って良く見りゃ 課長の字(2016年、怪傑もぐり33世)


 かつて東大の駒場寮に住んでいたこともあり、学生運動の「ゲバ字」的な略し方を今でも私は書くことがあるのですが、その文字を見ると「何ですか、この略字? かっこいいっすね!」と若者からホメられることもあります。


※サラリーマン川柳/第一生命が主催し、毎年募集。今年で第32回を迎える。すでに募集は終了し、来年1月下旬に優秀100作品が発表される予定。


■なかがわ・じゅんいちろう/1973年福岡県生まれ。ライター、ネットニュース編集者。著書に『ネットは基本、クソメディア』(角川新書)、『電通と博報堂は何をしているのか』(星海社新書)などがある。


※SAPIO2018年11・12月号

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