政治家、経営者らにも影響力を持つゴルゴ13のプロ意識とは

11月25日(日)16時0分 NEWSポストセブン

ゴルゴ13のプロ意識とは?(C)さいとう・たかを/さいとう・プロダクション/小学館

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 元外務省主任分析官の佐藤優氏は『ゴルゴ13』を“ビジネス書”としても読んでいるという。作者さいとう・たかを氏と佐藤氏が、「ゴルゴ(通称G)のインテリジェンス」を読み解く短期集中連載。第4回は、仕事で成功するためにいちばん大切なことについて語る。


 * * *

佐藤:『ゴルゴ13』は官僚や政治家、経営者にも読まれています。


さいとう:それは嬉しいね。麻生太郎さんだけじゃなかった(笑)。


佐藤:なぜ読まれているかというと、ひとつは情報を得るためです。その時の世界情勢が見事にまとめられていますから。もうひとつは、自分の知っている世界がどう描かれるのか知りたいということでしょうね。外務官僚はよく、政治家へのブリーフィングに『ゴルゴ13』を使っていました。政治家のすべてが、理解力が高いわけではありませんので、うまく説明できないと伝わりません。そこで、「ゴルゴのこの回でもこう描かれているのですが……」と話の枕で振ると、食いついてくれる。きっと政治家にアンケートを採ったら、『ゴルゴ13』を読んでいない人は、1%未満だと思いますよ。


さいとう:エラいことになってもうたなあ。


佐藤:個人的に『ゴルゴ13』を愛読しているのは、この作品がある意味、「仕事論」としても面白いからです。もしビジネスパーソンが、『ゴルゴ13』をビジネス書のひとつだと思って目を通したら、非常に多くのことを得るでしょう。


さいとう:そこはあまり意識してなかったけど、ゴルゴ自身が一流の仕事人であることは間違いない。私から見ても「仕事ができるやつだなあ」と。なにせ休まない(笑)。50年間、第一線で依頼に応え続けている。



佐藤:言い方を変えれば、先生も50年間、まったく休んでいない。


さいとう:私らの世界は、締め切りに間に合わず、原稿を落とす漫画家がたくさんいて、漫画家も編集者もそれが当然だと思っていた。でも私からするとそれは甘え。この職業に就く前に、化粧クリームの販売、ガラス屋、ペンキ屋、映画の看板描き、キャバレーのボーイ、理髪店……といろいろやってきました。しかし、どれも仕事はいい加減にやっては務まらなかった。漫画家だって、いい加減で務まるもんじゃない。この世界に入って63年になりますが、『ゴルゴ13』に限らず、一度も原稿を落としたことはありません。それが基本でしょう。


◆病院に机を持ち込んで描き続けた


佐藤:いたく同感します。私も物書きになってから、原稿を落とさない、ということを肝に銘じています。というのも、一度落としたら落とし癖が付くと考えたからです。最近は月間90本の締め切りがありますが、1本でも落としてしまうと歯止めが利かなくなり、そのうち40とか50とか平気で落としてしまうようになるかもしれない。だから、死守しています。


 しかし、先生の場合、この状況が60年以上も続いているわけですから、また凄い。短期間だけ耐えるのと、継続的に耐えるのとでは、違う難しさがある。この間、入院なさったこともありましたよね?


さいとう:病院に机を持ち込んでやりましたよ。医者は怪訝な顔をしてましたけど(笑)。


佐藤:まさにゴルゴに通ずる“プロ意識”ですね。プロを定義するなら、「自分の仕事に最後まで責任を持つ」ということかもしれません。たとえば、私は大学生時代に喫茶店でアルバイトをした経験があるのですが、その時はシンクをピカピカに磨き上げましたし、年末の大掃除では油でベタベタの換気扇も隅々まできれいにしました。それが仕事だからです。でも、いま自分の家を掃除しろと言われても、そこまではできない。そこにプロ意識があるかないかは大きな違いです。



さいとう:それから、これだけ長くやっていると、「飽きないですか」と聞かれることがある。プロが「飽きた」と口にしてどうするんだと言ってやるけどね。農家が「米を作るの、飽きた」と言いますか?


佐藤:少しでも手抜きしたら、作物が台無しになってしまいます。


さいとう:その通り。私は、老婆心ながら、いまの日本人に “プロ意識”が欠ける人が多いように思えて、それが心配でたまりません。政治家も官僚も“プロ意識”のない連中ばかりに見える。


佐藤:逆の見方をすれば、“プロ意識”のある人間は、生き残れる時代かもしれませんね。ユーチューバーやブロガーもそうですが、端から見ているとラクそうですが、毎日のように新しいコンテンツを生み出すのは並大抵ではありません。続けられるのはやはり“プロ意識”のある人。ない人間はすぐに淘汰されます。


※佐藤優、さいとう・たかを・著/『ゴルゴ13×佐藤優 Gのインテリジェンス』より

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