TikTok売却命令、トランプ政権が期限さらに延長

11月27日(金)12時0分 JBpress

 中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業について、トランプ米政権が11月27日までとしていた売却期限を再度延長することを認めたと、ロイターなどが報じた。

 親会社の中国・北京字節跳動科技(バイトダンス)が新たな提案書を提出しており、これを精査するための措置だと財務省高官が話しているという。


2度目の期限延長

 トランプ米大統領は今年8月14日に署名した大統領令で、ティックトックの米事業を90日以内にバイトダンスから切り離すように命じていた。その期限は11月12日だった。

 しかし、この問題を審査している対米外国投資委員会(CFIUS)が同日までに、条件などを調整するための期間が必要だとして、15日間延ばすことを認めた。この時点で期限は11月27日に延ばされた。そして今回、これを7日間延長し、新たな期限を12月4日とした。

 ティックトックの米事業を巡っては、トランプ政権が、米国人利用者の個人情報が中国政府に渡っており、国家安全保障上の懸念があると主張。「米国事業を閉鎖するか、米国企業に売却するかのどちらかだ」と迫っていた。

 これを受け、ソフトウエア大手の米オラクルや小売大手の米ウォルマートなどが名乗りを挙げたと伝えられている。

 今年9月中旬には、米政府とバイトダンスが、米企業との提携案の一部に合意したと報じられた。内容は、TikTokの米事業会社「TikTokグローバル」を設立し、米オラクルや米ウォルマートなどの米企業が計60%以上の株式を保有するというもの。

 また、この米事業会社の取締役会は過半を米国人で構成し、米国人のCEO(最高経営責任者)を選任するといった条件も定められ、バイトダンスは新会社を米国内で新規株式公開(IPO)する計画だとも報じられた。

 ただ、CFIUSとティックトック、米企業の3者間では、株式所有構造やバイトダンスの関与を巡る問題で調整が難航している。その後の大統領選の混乱もあり、協議が長引いているとされる。


連邦地裁、アプリ配信禁止と取引禁止を一時差し止め

 一方で、ティックトック陣営は法的手段で米政権に対抗している。商務省は、米アップルと米グーグルのアプリストアにおけるアプリのダウンロード禁止措置を9月27日に発動するとしていたが、ティックトックは連邦地裁にこの措置の差し止めを求めた。首都ワシントンの連邦地裁は同日、米政権によるアプリの配信禁止措置は「行き過ぎの可能性がある」として、一時的に差し止める命令を下した。

 また、商務省はインターネット・ホスティング・サービスやコンテンツ配信サービスを提供する米企業に対し、ティックトックとの取引を禁じる措置を11月12日に発動するとしていた。しかし、ティックトックの人気投稿者が一時差し止めを求めてペンシルベニア州の連邦地裁に提訴。同連邦地裁は10月末、投稿者側の主張を受け入れる判断を下した(米ウォール・ストリート・ジャーナル)。

 11月10日にはティックトックが首都ワシントンの連邦控訴裁に売却命令の差し止めを求める申し立てを行ったとも伝えられている。

報道によると、大統領令では売却期限の30日間延長を認めており、その最終期限は12月12日となる。この日までにティックトック側と、売却先の米企業、米政府の交渉がまとまるかが焦点になると伝えられている。


利用者、米国で1億人・世界で7億人

 バイトダンスは2012年に創業し、2016年にティックトックの前身となったアプリ「抖音(Douyin)」を立ち上げた。これは、米カリフォルニア州にも拠点を置き、当時米国でも多くの利用者を抱えていた中国の動画投稿アプリ「ミュージカリー(Musical.ly)」を模倣したものだと言われている。

 バイトダンスは2017年9月、抖音の国際版であるティックトックを立ち上げた。その後の同11月に、約10億ドル(約1050億円)でミュージカリーを買収。2018年8月にティックトックとミュージカリーを統合し、利用者アカウントやデータを引き継いだ。これにより利用者数が急拡大したと言われている。

 同社は今年8月、米裁判所に提出した訴状で利用者数の詳細を初めて公表した。それによると、米国の月間利用者数は1億人以上で、2018年1月時点から約9倍に増加。世界の月間利用者数は約7億人で同12倍以上に増加した。ダウンロード件数は累計で20億件に上るという。

 (参考・関連記事)「TikTok合意案、トランプ大統領が近く「審判」」

筆者:小久保 重信

JBpress

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