活気づく自律走行型ロボットの開発・実用化

11月29日(木)6時13分 JBpress

 ロボットが自ら動き回りながら、人間に代わって日常業務を遂行する。そんな自律走行型ロボットを活用しようとする動きが目立っている。

 商業施設やオフィスビルの清掃や警備、小売店での商品棚卸など、自律走行型ロボットの応用領域は広い。生産年齢人口の減少に伴う労働力不足への対策の切り札として、ホワイトカラーの生産性向上を目的に爆発的な勢いで普及しつつある「RPA(Robotic Process Automation、ソフトウェアロボットによる業務自動化)」と並ぶ大きな潮流に発展しそうだ。


導入が相次ぐ自律走行型清掃ロボット

 この秋、清掃ロボットの発表が相次いだ。ソフトバンクロボティクスは2018年11月、オフィスや業務フロア向けのバキューム掃除ロボット「Whiz(ウィズ)」の提供を2019年3月以降に開始すると発表した(写真1)。最初に人がロボットを手押ししながら清掃エリア内を移動することで清掃ルートの地図データを作成し、Whizに記憶させる。その後はロボットのスタートボタンを押すだけで、Whizが記憶したルートにしたがって障害物を回避しながら自走してエリア内を掃除していく。

 Whizはソフトバンクロボティクスが2018年8月に開始した自動運転清掃・洗浄機向けサービス「AI清掃PRO」に対応したロボットの第二弾である。第一弾として同社は同月、商業施設などでの利用を想定した自動運転床洗浄ロボット「RS26 powered by BrainOS」を発売している。いったんRS26に乗ってフロア内を運転すると、Whizと同じように清掃ルートを記憶させることができる。あとはスタートボタンひとつでRS26が自ら床を洗浄して回る。

 こうした自律走行型清掃ロボットを導入する企業も次々に登場している。例えば、JR西日本の駅や車両の清掃を手掛けるJR西日本メンテックは、作業の省力化や安全性を確認する試行を経て、2018年8月に本格運用を開始した。具体的には、JR大阪駅の商業ビル大阪ステーションシティにRS26(写真2)と、中西金属工業の「ロボクリーパー」を導入。中央コンコースやバス乗り場など有人で行ってきた洗浄機による清掃をロボットに置き換えていく。

 これに先立つ5月には、中国エリアや九州エリアで総合スーパー「ゆめタウン」を展開するイズミのグループ会社で、ビルメンテナンスや清掃業務を担うイズミテクノがRS26を採用。広島県廿日市市のゆめタウンを皮切りに順次導入店舗を拡大していく計画である。

 東武鉄道グループの東武ビルマネジメントは、東武スカイツリーラインの北千住駅と東武百貨店池袋店で自律走行型掃除ロボットを試験稼働させる。ロボットは、信号機や交通管制システム、駅の自動改札機を手掛ける日本信号が11月に発表した「CLINABO(クリナボ)」を利用する。


自動巡回する警備ロボットの実用化加速へ

 東京オリンピック・パラリンピックの開幕をひかえ、警備ロボットの実用化を目指す動きも加速している。

 東京都立産業技術研究センター、西武鉄道、日本ユニシス、アースアイズは2018年11月、共同開発した自律走行型の警備ロボット「Perseusbot(ペルセウスボット)」の実証実験に乗り出した(写真3)。西武新宿線西武新宿駅改札外の構内コンコースにペルセウスボットを配備し、自律走行時の安全性を確認するほか、ロボットに搭載したAI(人工知能)監視カメラを使った不審者・不審物の検知精度などを確かめる。

 実証実験後は2020年をめどに、訪日客の増加に伴って乗降客の急増が見込まれる公共交通機関の駅や空港へ展開。公共交通機関利用客の安全性向上や、駅係員の警備・監視業務の負荷軽減に役立てる。

 また、セコムは警備ロボットの実証実験をスタートさせる。利用するのは、機能強化した自社開発の自律走行型警備ロボット「セコムロボットX2」(写真4)。セコムロボットX2は炎検知センサーや不審者を威嚇するランプなどに加え、熱画像センターや金属探知機を備えるアームを実装しており、自律走行による巡回警備中に発見した不審物を点検できる。

 実証実験は2019年1月中旬と2月中旬の2回、都営地下鉄新宿線の馬喰横山駅コンコースで実施する。構内に放置されたカバンを発見して内部に危険物がないか金属探知機で点検したり、ごみ箱に不審物がないか熱画像センサーで点検したりする。

 清掃や警備のほか面白いところでは、日本ユニシスが、関東でスーパーマーケットを500店舗以上展開するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)と共同で、小売店の業務を支援する自律走行型ロボットを開発。11月に東京・墨田区にあるU.S.M.Hの店舗、フードスクエアカスミ オリナス錦糸町店で本格運用を開始した(写真5)。

 閉店後の店内をロボットが巡回して商品陳列棚を撮影し、棚に取り付けたPOPの有効期限を確認。表示期間が終わったPOPを見つけると店舗スタッフへ差し替えをうながす。日本ユニシスは表示価格や陳列棚の品切れなどをチェックする機能を追加し、2019年春にロボットを商品化する。

筆者:栗原 雅

JBpress

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