イマドキ女子が男子より高い給料を望むワケ

11月29日(金)6時15分 プレジデント社

将来、年収1000万円を超えたいと語る塩田くん(左)と手取り月給25万円は欲しいという長谷川さん(右)。

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今の大学生が望む年収や初任給はどのぐらいなのか、それをかなえるためにどんな会社を選ぼうとしているのか、バブルを知らない世代にとって「お金の価値」はどこにあるのか──。原田曜平さんの司会と解説でお届けします。

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座談会メンバー

井上 雄仁くん/法政大学3年生。バイト収入約7万円。支出は食費、交通費、生活費等で約5万5000円。男性

山田 修平くん/法政大学3年生。バイト収入約7万円。サブスク、交際費、サークル費用等でほぼ全額を使う。男性

丹羽 明日香さん/早稲田大学3年生。仕送り収入のうち小遣い約7万円。外食費、交際費、化粧品等でほぼ全額を使う。女性

塩田 亜多夢くん/慶応義塾大学3年生。バイト収入約10万円。映画鑑賞や飲み会代などの交際費でほぼ全額を使う。男性

長谷川 優真さん/早稲田大学3年生。バイト収入約8万円。支出は生活費、交通費等で約5万円。奨学金返済用に月1万円を貯金。女性

浅見 悦子さん/青山学院大学4年生。バイト収入約8万円。外食や飲み会代などの交際費、交通費でほぼ全額を使う。女性

※収入・支出額は1カ月平均。

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■両親が与えてくれた生活水準を守りたい


【原田】今日は、皆が将来いくらぐらい稼ぎたいのかを聞きたいと思う。希望する年収と、その理由を教えてくれるかな。


【塩田くん】僕は1000万は越えたいと思っています。それだけ稼ぐとかっこいいとかじゃなくて、今の生活水準のまま暮らそうと思ったら、それぐらい必要かなと思うから。両親が与えてくれている今の生活を、そのまま自分の稼ぎでつくれるようになりたいです。




将来、年収1000万円を超えたいと語る塩田くん(左)と手取り月給25万円は欲しいという長谷川さん(右)。

【山田くん】僕も1000万が目標です。僕は今の生活環境にすごく満足しているんですが、それは両親が頑張ってくれているおかげ。自分も頑張って働いて、家族に同じ環境を用意してあげたいんです。それには1000万円ぐらい必要なんじゃないかな。奥さんになる人が働き続けるかどうかは関係なく、自分個人でこれくらい稼ぎたいと考えています。


【井上くん】僕も、将来的には両親と同じ生活水準を目指したいです。1人で稼ぐのは難しいかもしれないけど、共働きで1000万ぐらい収入があったらいいのかなと思います。


【丹羽さん】確かに、希望年収って自分の育ってきた環境を基準に考えるかもしれない。今、私がほとんどバイトせずに済んでいるのは両親のおかげなので、それに必要な年収って……と考えると、やっぱり1000万ぐらいなのかな。


【原田】年収1000万円以上の人って、日本では人口の5%未満なんだよ(国税庁「平成29年分民間給与実態統計調査)。だから皆の希望を聞いて「理想が高いな」と思ってしまったけど、単に憧れから言っているわけじゃないんだね。1000万は、今の生活水準を守るための必要額だと考えている。その意味では、額はともかく動機は堅実と言えるかもしれないな。



■若者の「初任給希望額」は?


【原田】次はもう少し近い将来の話で、初任給の希望額はどのぐらいかな? 僕が入社した頃の初任給は額面で17万円ぐらいが普通だったけど、最近は段々と上がってきているよね。


【丹羽さん】えーっ、17万じゃ全然暮らせないですよ。東京で働くとしたら家賃も高いし。生活費を引いても、少し好きなものが買えるぐらいのお給料はほしいですね。まだ働いたことがないので具体的にはわからないけど、23万〜24万ぐらいなのかな。


【長谷川さん】東京で1人暮らしなら、月収25万はないとキツイと思います。私は奨学金の返済もあるので、節約するとしてもそれぐらいはないと厳しいかな。やっぱり手取り25万円ぐらいもらえる会社に就職したいですね。


【原田】今、大卒の初任給は平均20万円ぐらいだよ。と言っても、ここから税金や社会保険料が引かれるから、実際にもらえる額はもうちょっと少ないんだ。長谷川さんの「手取り月収25万」を実現するには、かなり給料のいい会社に入る必要があるね。


■「初任給30万円」を条件に就活したワケ


【浅見さん】私は今4年生で、もう内定をもらっているんですが、初任給は30万円の予定です。私は結構お金を使っちゃうほうなので、就活の時から自分の1カ月の出費に合った額がもらえる会社に行こうと決めていました。




自分の出費に合った給料をもらえる会社に行こうと決めて就活した浅見さん。

【原田】初めから給料に重点を置いて就活したんだね。初任給30万円はかなりの高収入だけど、なぜその額が必要だと考えるようになったの?


【浅見さん】あらかじめ、今自分が使っている家賃や生活費、ショッピング代、交際費なんかを全部計算したんです。それと結婚資金も貯めたかったので、毎月の貯金額も考えて。その合計額を基準にして会社を探しました。


【原田】それはすごいな。1カ月に必要な額をきっちり算出した上で就活したわけだ。月収が高いとかっこいいとか、お金持ちになりたいとかじゃなくて、自分の生活スタイルに合った収入を自分で稼ごうと考えた結果なんだね。丹羽さんや長谷川さんも、自分に必要な額を考えた上で希望額を答えている。年収に関してもそうだったけど、皆、動機は意外と堅実なんだね。



■「給料と働きがい」どちらが大切か


【原田】年収や初任給について聞いてきたけど、それをかなえるにはまず働かなければならないよね。浅見さん以外は3年生で、もう就活を始めた人もいると思うんだけど、やっぱり初任給重視で会社を選んでいるのかな。数字で表すとしたら、給料と働きがいは何対何になると思う?


【井上くん】僕は1対9です。その会社が自分に合っているかどうか、やりたい仕事や働きたいと思える環境があるかどうかが大事ですね。給料を重視しすぎると会社も絞られちゃうし、面接を受けていても気持ちが入らないんです。




給料と働きがいの優先順位は1:9で、初任給を意識せず就職活動をしている井上くん(左)。

【原田】でも、何となく大きめの会社を選んだりしていない? 大企業はいろんな部署があるからやりたい仕事に出会える可能性も高いし、会社自体の稼ぎがいいから初任給も高い傾向にある。給料が低い零細企業は避けて、そうした企業を選んでいるんだとしたら、「働きがいが9」っていうのは少し大げさなんじゃないかな。


【井上くん】今は初任給をよく知らないまま就活していますが、確かに大きめの会社を選んでいる気がします。ただ、イメージとしては、まず働きたい職場があって、そこにある程度の収入がついてくるっていう感じ。そう考えると、働きがいが最優先なのは変わらないかなと思います。


【塩田くん】感覚的に言えば、僕は給料0、働きがい10になるのかなと思いますが、さっきの原田さんの話を聞いて、僕も大企業しか見てこなかったので無意識に選別している部分はあるかもしれない。ただ、給料のことはまったく考えずに就活していて、初任給も知らないまま面接を受けています。


【山田くん】僕は5対5です。給料は自分の努力への評価だと思うし、仕事にはやりがいも感じたいから、どっちも同じぐらい大切です。どんなに給料が高くても、やりたくない仕事だったら続かないはず。逆でも同じことが言えると思うので、このバランスは絶対大事にしたいです。


■女子にとって給料はとても大事!


【丹羽さん】給料と働きがいは6対4です。私はプライベートを豊かにするために働きたいので、仕事は「楽しかったらありがたい」ぐらいの感覚です。




「プライベートを豊かにするために働きたい」と語る丹羽さん(中央)

【長谷川さん】私も6対4です。奨学金の返済を考えたらお給料は大事。大企業ほどお給料も高いようなので、就活もそちらが中心になると思います。でも、働きがいがまったくなかったら、仕事自体続けられないですよね。


【浅見さん】私はお給料8、働きがい2で就活しました。やりがいを感じたいという気持ちももちろんありますが、自分はお給料という評価をもらわないと満足できないタイプだと思ったんです。それと、私は「これはやりたくない」って思う仕事があまりないんですよ。だから仕事内容は限定せずに探して、いろんなことに挑戦させてもらえる会社を選びました。


【原田】男子3人は働きがい優先か同等、女子3人は給料優先という結果になったね。これは男性にとってはありがたい話なんじゃないかな。昔は一家の大黒柱は男性で、収入1000万を目指そうと思ったら1人で稼がなきゃいけなかったけど、今は共働きで500万ずつ稼げば同じ収入が得られるわけだからね。


希望年収は1000万、希望初任給は25万〜30万。一見すると理想が高すぎるようにも思えますが、話を聞いてみると、その動機は「今と同じ生活水準を守りたい」というかなり堅実なものでした。リッチになりたい、高所得者への憧れといった動機はゼロ。特に女子は、自分が必要とする額をよく把握していて、しかもそれを自分で稼ぎ出すのが当然と考えているのが印象的でした。今の若者は、お金を富の象徴とは捉えず、生活手段や仕事ぶりへの評価という面に価値を見出しているようです。



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原田 曜平(はらだ・ようへい)

マーケティングアナリスト

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。

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(マーケティングアナリスト 原田 曜平 写真=iStock.com 構成=辻村 洋子)

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