トヨタ・カローラ、60点から80点主義 目立たぬハイテクはサスペンション

12月2日(月)5時43分 財経新聞

トヨタ・カローラ(画像: トヨタ自動車の発表資料より)

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 トヨタの2019年4〜9月期決算は、売上高過去最高を更新、営業利益11.3%の増加(前年同期比)、売上高営業利益率は9.2%に達した。これはトヨタほどの量産企業ではなかなか達成できない数字だ。世界規模のマーケットリサーチの威力であろう。

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 それだけでなく、マーケットリサーチからビジネスモデル戦略、製品企画、サプライヤーを含めた量産体制を前提とした設計、混流生産・スウィング生産・順序生産、メンテナンス体制、材料計画、再生・廃棄計画などまで信じられないほどの企業の管理能力だ。ユーザーの囲い込みは、「ゆりかごから墓場まで」に達しているのであろう。

 多くのトヨタの商品群の中で、「カローラ」は代表格である。ヒトラーの国民車構想から発したVW・ビートルを抜いて世界最高販売台数を誇る、「世界戦略車」の様相である。

 1966年の初代モデルに乗っていた筆者にとって、カローラはエポックメイキングなクルマでもある。日本にモータリゼイションをもたらした代表格だからだ。当時の「隣のクルマが小さく見えま〜す」としたコマーシャルも、日本で初めて「競合車(日産サニー)と比較した」広告となって話題を呼んだ。

 しかし、当時の大衆車であるカローラは、決して「上出来」とは言い切れないものだった。夏に渋滞すると「オーバーヒート」してしまうラジエター容量不足、これはコストダウンのためラジエターファンが2枚羽であったので風量不足であったから。サスペンションはヤワヤワでとても高速道路を走れる代物ではなかった。

 それでも売れに売れた。それは、トヨタの「60点主義」と言われた商品開発のコンセプトにあった。つまり、これと言って特徴はないのだが、全てにおいてそこそこの性能を持っていたのだ。

 さて、2019年の最新型カローラを見ると、これと言って特徴的な高性能は見当たらない。しかし、これと言って欠点も見当たらない。ここまでは初代の「60点主義」に近いものを感じる。しかし新型カローラは、すっかり「グローバル戦略車」となって成長した姿を見せている。

 特段の欠点を見つけることはもちろん出来ないだけでなく、新型サスペンションの出来の良さと、そのメカニズムの巧みさがある。さらに、購入者の6割以上を占めると言うHVの、全体メカニズムの設定の巧みさを感じることが出来る。

 サスペンションにおいては、「微動を吸収し、大きなストロークを確実に受け止める」と言ったダブルショックアブソーバーでしか実現できていなかった技を、油の材質で実現して見せるという技術的方向性の巧みさ、それをTNGAによって全体で統一した方向性で開発できる管理力の巧みさに脱帽する。

 これは「60点主義」ではなく、「80点主義」と言えるものだ。いや「90点主義」なのであろうか?グローバル生産体制やマテリアルコントロール、再生システムまで含めないと評価は難しい。問題は、これから新ビジネスモデルに革新し続けていけるのか?トヨタの経営戦略を半世紀以上必死に追いかけてきたが、追いつけずともいつまでも見ていたい経営戦略だ。

財経新聞

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