ソフトバンクGと孫正義会長の天国と地獄 (1) 絶頂の記者会見と暗転の予兆

12月4日(水)18時53分 財経新聞

(c) 123rf

写真を拡大

 「驕(おご)る平家は久しからず」という警句は、日本人に自重した行動を促す教えだった。過去形になってしまうのは、既に死語になっているかも知れない、という筆者の思いのなせる業である。

【こちらも】ソフトバンクG、19年4〜9月期は155億円の営業赤字 投資事業で巨額損失

 ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が得意の絶頂を迎えたのは、5月9日の決算会見だったようだ。当日、孫会長兼社長は19年3月期の連結決算で売上高が対前期比5%増加、営業利益が同81%増加して初の2兆円超えとなる最高益を計上したこと、当期純利益が3期連続で1兆円を超えたことを発表した。

 自社株買いの効果を受けて、直前の4月16日には東京証券取引所でSBGが2000年3月以来の6000円超えとなる、年初来最高値の6045円の値を付けた勢いもあっただろう。ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)に対する熱い思いも語った。史上最高額を計上した営業利益のうちの53%はSVFが生み出した利益だという重みもあった。

 孫会長兼社長の高揚した想いは、会見の中で「2020年3月期も好調な決算となり、4年連続で純利益1兆円突破する」と、事業年度が始まったばかりなのに決算の見通しを披歴していたことでも明らかだ。背景に米配車大手ウーバー・テクノロジーズ(ウーバー)や、米シェアオフィスのウィーワークのIPO(新規株式上場)が計画され、含み益が拡大すると見込まれていた時期であったことから、高揚感は当然だったろう。

 暗転の予兆は翌日、5月10日に早くも公になった。ニューヨーク証券取引所にIPOとして上場されたウーバーの初値が、仮条件幅と設定されていた44〜50ドルの下限に近い45ドルに止まってしまったことだ。ウーバー株はその後も値下がりを続けたが、16.3%の株式を保有するSBGは上場から約6カ月は売却が出来ない「ロックアップ条項」の縛りがあるため、見守るしかなかった。

 IPO直前には820億ドル程度と期待されていた時価総額は期待外れの約700億ドルでスタートし、株価が30ドルほどに落ち着いた現在の時価総額は460億ドル前後となっている。

 大きな期待が想定外の失望に変わったウーバーのIPOだったが、その後に発生したウィーワークを巡る顛末を見ていると、IPOに漕ぎ着けたウーバーは”まだマシだった”と言えるのかも知れない。

 投資ファンドとしての存在感を高めているSBGの最大のセールスポイントは、孫会長兼社長が持つ(と言われる)「目利き力」にあると言って間違いない。起業家の資質を見極める眼力が評価されているから、10兆円もの資金を集めて自在に運用する現在の立場を得ている。

 もっとも、そんな孫会長兼社長の目利きでSVFが投資している88銘柄のうち、評価益を計上しているのが37銘柄で、評価損を計上しているのが22銘柄(残り29銘柄は著変なし)なのだから、スタートアップ段階の企業を見極めることが、如何に難しいことかということになる。(2)に続く

財経新聞

「ソフトバンク」をもっと詳しく

「ソフトバンク」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ