「能作式」 海外展開を成功させる 7つのコツ

12月7日(土)6時0分 ダイヤモンドオンライン

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9月12日の『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)で一躍話題となった、富山県高岡市にある「能作」は、北陸新幹線・新高岡駅からタクシーで15分前後、日中でも3000円以上かかる。失礼ながら、あたりは何もない「片田舎」だ。

だが、今、ここに年間「12万人」が殺到している!

鋳物(いもの)の産地・高岡市といえば、瑞龍寺(年間約17万人)や高岡大仏(年間約10万人)が有名だが、今や、小さな町工場「能作」が観光名所の第2位に浮上。直近では「月1万人」ペースで、ビジネスパーソンから親子まで見学者が殺到しているのだ。

能作克治社長(61)は大手新聞社のカメラマンから一転、能作家の一人娘と結婚し、婿(むこ)入り。長い間、「マスオさん生活」を送ってきた。カメラマン時代は入社2、3年目で年収500万円超。それが鋳物職人となったとたん、年収は150万円と「3分の1以下」に急落したという。

そんなある日、「工場見学をしたい」という電話があった。小学生高学年の息子とその母親だった。工場を案内すると、その母親は、信じられないひと言を放った。

「よく見なさい。ちゃんと勉強しないと、あのおじさんみたいになるわよ」

その瞬間、能作は凍りついた。全身から悔しさがこみ上げてきた。同時に、「鋳物職人の地位を絶対に取り戻す」と誓った。

閉鎖的な高岡の地で「旅の人(よそ者)」といわれながら、1200度以上の熱風と対峙し鋳物現場で18年、4リットルの下血も経験しながら必死に働いた。

そして2017年、13億円の売上のときに16億円をかけ新社屋を建てた。すると、なんということだろう。社長就任時と比較して、社員15倍、見学者300倍、さらに売上も10倍になったのだ。

しかも、地域と共存共栄して敵をつくらず、「営業なし」「社員教育なし」で!

工場見学にきたある小学生は「ディズニーランドより楽しかった」と言ったとか。

今や、能作の商品は、MoMA(ニューヨーク近代美術館)デザインストア、三越、パレスホテル東京、松屋銀座などでも大人気。世界初の錫100%の「曲がる食器」シリーズは世界中を魅了している。

そんな波乱万丈の能作克治社長の初の著書『社員15倍!見学者300倍! 踊る町工場——伝統産業とひとをつなぐ「能作」の秘密』が、話題となっている。創業103年の「踊る町工場」で、一体、何が起きているのか? 能作克治社長を直撃した。



なぜ、海外展開がうまくいったのか?


——どうしたら海外展開はうまくいくのでしょうか。


能作:能作は、2008年にオリジナルデザインのハンドベルがMoMA(ニューヨーク近代美術館)デザインストアの販売品に認定されて以降、海外展開を進めています。

 MoMA(ニューヨーク近代美術館)は、美術館として初めて1932年にデザインに特化したキュレーション部門を立ち上げ、以降20世紀中盤にわたり、「グッドデザイン」とは何かを追究し、牽引してきました。

 金属製品は、日本よりも海外市場に強い。なぜなら海外は「金属文化」だからです。

 農耕民族の日本人には、金属に対し「冷たい」「切れる」「金属臭がある」というイメージがあるため、食器でも木や陶器のあたたかさを好みます。家庭のキッチンでも、包丁は戸棚の中に隠していることが多いと思います。

 しかし欧米では、金属の食器は当たり前。包丁は壁に見えるように収納するなど、金属に対して「明るい」環境があります。だから僕は「海外には大きな市場があるのではないか」と考えたわけです。


——だから海外に出ようと思ったと。


能作:はい。「伝統産業で海外進出したい」と考える職人は以前からいましたが、どうすれば海外展開できるのか、そのノウハウがなかったため、「出たい」という思いはあっても、多くの職人が二の足を踏んでいました。

「だったら、能作が最初に海外に出て、轍を残そう」と思い立ち、海外に進出。

 現在もチャレンジを続けています。

 海外展開は、「地域貢献」の一環でもあります。

 高岡でも、多くの企業が海外に出ることを望みながら、実現できていないのが実情です。

 けれど、能作が他社に先がけ、先陣を切って道筋をつけることができれば、後に続く企業も増えてくるはずです。

 現在、能作の海外売上高は3%程度ですが、将来的には「15%」程度まで伸ばしたいと考えています。


——これまでどんな経緯をたどってきたのでしょうか。


能作:下記のとおりです。

2008年……ハンドベルがMoMA(ニューヨーク近代美術館)デザインストアの販売品に認定

2010年……フランス・パリの見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展

中国・上海の「インテリアホームデコ&デザイン展」に出展

2012年……ドイツ・フランクフルトの展示会「アンビエンテ」に出展

2013年……フランスのデザイナー、シルヴィ・アマールと提携し「シルヴィ・アマール・スタジオコレクション」シリーズとして発売

フランス・リヨンの「シラ国際外食産業見本市」に出展

2014年……イタリア・ミラノに能作ショップをオープン(現在はクローズ)

2017年……アメリカ・ニューヨークにアンテナショップを共同出店(日本企業6社と共同出店)

バンコクの伊勢丹、台北のマリオットホテルに店舗をオープン

「KAGO - スクエア - L」がMoMA(ニューヨーク近代美術館)デザインストアの販売品に認定


——怒涛の勢いですね。


能作:ありがとうございます。

 海外事業を軌道に乗せるコツは、次の「7つ」です。


——7つ、教えてください!


能作:下記です。

1.海外展示会に出展する

2.各国の文化に合わせた製品を開発する

3.「伝え方」を工夫する

4.店舗を持つ

5.“Think Global, Act Local”

6.法人ギフトの需要を販路開拓に結びつける

7.途中であきらめない


——すみません! 一つひとつ丁寧にお願いできますか。


能作:わかりました。次回、丁寧に説明したいと思います。

 年間12万人が訪れる富山の本社工場の雰囲気を知りたい方は、第1回連載もご覧いただけたらと思います。






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