さりげない色気が漂う 最新レンジローバー・ヴェラールは賢い戦略

12月17日(日)12時0分 Forbes JAPAN

今、またジャガー・ランドロ−バーが熱い。今年の4月にジャガー・Fペースがワールド・カー・オブ・ザ・イヤー賞を獲得したばかりだけど、同社からまたアッと言わせるモデルが現れた。高級SUVのレンジローバー・ヴェラールだ。ラインナップで4つめの車種として登場したヴェラールは、Fペースと同じプラットフォームを採用している。

サイズとしては、ヴェラールはレンジローバー・イヴォークとレンジローバー・スポーツのちょうど中間。ロサンジェルス近郊で試乗したけど、実物は写真でみるよりずっとかっこいい。デザイナー、ジェリー・マクガヴァンのミニマリスト的なアプローチが冴えていて、新鮮で、清浄なスッキリとまとまった外観は、ますます拡大する高級SUVというセグメントに、大きな波を起こしている。表面がスムーズで、ボディが穏やかな角度で構成されているので、ヴェラールには落ち着いた雰囲気が漂っている。それでいながら、デザインはウルトラ・モダンだ。

レンジローバーのモデルを生産するランドローバー社(以下LR)は、この新しいデザイン言語を「リダクショニズム」、還元主義と呼んでいる。そして、その意味は車内に乗ってみると、すーっと腑に落ちる。横長のダッシュボードはシンプルでスタイリッシュ。LR社の新しいインフォテイメント・システム、タッチ・プロ・デュオを採用していて、高画質なグラフィックと機能性は共に、このセグメントでも真剣に先を行っていて感心させられる。2つある、10インチのタッチスクリーンは、美しくかつ賢い 。OFFの時、スクリーンはブラックでミニマリストらしい雰囲気だが、ONになると、パネルは生き返ったように解像度の高いディスプレーに、鮮明な映像を映し出す。



クリーム色の柔らかいレザーのシートに掛け、高級な素材に囲まれたミニマリスト的で、さりげない色気のある室内にいると、心が静まると同時に華やいで浮き立ってくる。そう、陰陽のバランスがとれた瞬間がやってくる気さえする。たとえるなら、禅の精神を理解した英国の貴族のようだ。

ボディのヒップラインが高く、シートが低く、ドライバーを第一に考えられているヴェラールは、これまでのどのレンジローバーよりも座位が低い。だから、これまでの見晴らしがいいポジションに慣れているドライバーは、眼の高さに差があって最初は奇異に感じられるかもしれない。そして、もしドライバーが僕のように188cm以上の身長の場合、後部席のスペースはちょっと狭く感じられて、特にヘッドルームが窮屈かもしれない。

ヴェラールのエンジンは2.0Lのディーゼルと3.0L V6が用意されている。でも、やっぱり試乗するなら、フラッグシップの「ファースト・エディション」380馬力を発揮する3.0L V6スーパーチャージに乗るしかない。8速オートマティックとの組み合わせで、このヴェラールは妥協を一切許さない走りを見せる。でも、丁寧に乗ろうと思えば、キャビンは他のどのレンジローバーのモデルよりも高い静粛性と、贅沢感、そして快適な乗り心地を供してくれる。

ステアリングもちょうどいい手応えで、車両の重さを感じさせない設定に驚く。今までのレンジローバーが好きな人なら、この最新ヴェラールのルックスや走りはたまらないだろう。



車重が2027kgと重いヴェラールだが、V6はわずか5.6秒で時速100キロまで加速する。ファースト・エディションが10Km/Lなので、燃費は気にしていられないって感じ。力のあるV6と8速ギアとのシンクロは完璧で、踏み込まなくてもスムースで軽やかに発進する。ここがこのエンジンの楽しいところだ。頑張って踏まなくても、十分に快適。

車高調整のできるエア・サスペンションを採用したおかげで、ヴェラールのコーナリングはSUVというより、むしろスポーツワゴンのようだ。そのため、ランドローバーがこれまでに作ったどのモデルよりも、オフロードというよりオンロード設定になっている。でも、だからオフロードはダメということではないよ。ヴェラールはオフロードでも有能だ。同社のテレイン・レスポンス2システムを採用しているので、どんな路面でもまるで居間にいるよう。低トラクション・ローンチや、オフロードでも一定の速度を維持できる設定もある。そして、エア・サスペンションの採用で、コーナリングは、ヴェラールがどのレンジローバーよりもフラットで、しかもこのクラスで最高級の乗り心地を実現している。

車高を調節するには、ダッシュボードのタッチスクリーンでアイコンにタッチすればいい。ヴェラールのエア・サスペンションが25cmまで車高を高くしてくれる。これで、深さ60cmの川も楽に渡れる。



レンジローバーにヴェラールが加わったということは、同社が競争が激化している高級SUVカテゴリーに、真剣に食い込もうとしていることだ。

ライバルとなるのは、BMW X4、ポルシェ・マカン、ボルボXC60など。でも、ヴェラールの落ち着いていてスタイリッシュな外観と、クラスで最高のインテリア、素晴らしい乗り心地、そしてパワー溢れるエンジンという組み合わせは、とても賢い戦略だと思う。他の欧州系のライバルとの差をつけられるからね。とすると、問題は価格だが、2.0Lディーゼル・エンジンが1000万円から、そしてフラッグシップの3.0L V6は1120万円からなので、競争力も充分だ。

Forbes JAPAN

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