巨艦イオンに忍び寄るアマゾンの脅威 売上高10兆円の高い壁

12月17日(日)7時0分 NEWSポストセブン

店舗からデジタル投資のウエイトを高めて成長見込むイオン

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 スーパーやショッピングモール、コンビニ、ドラッグストアと多岐にわたる事業領域で拡大を続ける巨大流通グループのイオンが、いま経営戦略の大転換を迫られている。


 12月12日に発表した中期経営計画によると、グループ売上高は現在(2017年2月期)の8兆2102億円から2020年度に2割増の10兆円まで伸ばすと宣言。だが、内情をみると、決して楽な目標ではない。


「イオンリテールを中心とする総合スーパー(GMS)や傘下に収めたダイエーが入る食品スーパーが不振続きで、金融事業や不動産など小売り以外のビジネスで何とか利益を確保している状況」(経済誌記者)だからだ。


 そこで、イオンがグループの総力を挙げて取り組もうとしているのが、業界の中でも遅れを取っていると度々指摘されてきた「デジタルシフト」だ。先の中期経営計画でも、今後3年間でこれまでの2.5倍もの5000億円を投資する計画をぶち上げた。


 流通アナリストでプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏がいう。


「小売業における設備投資の行き先といえば、普通は物理的な店舗が中心となりますが、食品をはじめとするネット通販の台頭によって、もはやリアル店舗だけに投資するのは賢明ではない時代。


 特にイオンは以前からネット事業の強化が課題でしたので、ここで一気にIT分野やネット通販に絡む物流・配送センターなどを整備して巻き返しを図ろうと考えているのです。


 すでにイオンはグループ内に多くのネット通販サイトを持ち、EC事業のベースはありますが、今後は独自の巨大ネットモールを築き、地方で繋がりのある農業生産法人の産直商品を扱ったり、全国のスタートアップ企業が提供するサービスをネットビジネスに結び付けたりするなど、さまざまな展開を考えているようです」


 イオンが巨額のデジタル投資を決断したのには、もうひとつ大きな理由がある。米・アマゾン・ドット・コムによるネット販売に本業を奪われないための防御策である。岡田元也社長もアマゾンを名指しし、〈小売業が気付いていないことを教えてくれた。彼らのやっていることに追い付かなければ〉とコメントしている。


 前述の鈴木氏は「アマゾンは日本のすべての小売業の脅威になりつつある」と指摘し、こう語る。


「最初は書籍のネット通販から始まったアマゾンも、気付けばおもちゃや家電などいろいろな分野に進出し、そのたびに既存の関連企業の経営を脅かしてきました。現にアメリカではアマゾンの影響で大手家電量販店が衰退したり、トイザらスを倒産に追い込んだりといった“流通破壊”が起こっています。


 そして、今年は米食品スーパーのホールフーズ・マーケットを買収し、日本では一部で野菜や肉、魚、果物など生鮮食品のネット販売(アマゾンフレッシュ)も始めています。イオンだけでなく、日本の流通業全体が、急いで対抗策を打ちださなければアマゾン旋風になぎ倒されてしまうという危機感を抱いているのです」


 巨艦イオンが売上高10兆円の大台に乗せられるかどうかは、デジタル化の成否にかかっているといえる。ライバルのセブン&アイ・ホールディングスもアスクルと共同で生鮮食品を売る新業態EC「IYフレッシュ」をスタートさせている。


 次代を牽引する小売業の“脱店舗戦略”は加速度を増している。

NEWSポストセブン

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