コンビニvsファストフードの熱きコーヒー戦争 各社徹底比較

12月21日(土)7時0分 NEWSポストセブン

「高級キリマンジャロブレンド」が加わったセブンカフェ

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 2013年から本格販売が始まり、いまやコンビニチェーンの“稼ぎ頭”になっているカウンターコーヒー。トップの売り上げを誇るセブン-イレブンの「セブンカフェ」は、1日1店あたり約130杯、年間約11億杯も飲まれているというから驚きだ。だが、セブンの独壇場を阻止すべく、他のコンビニやファストフードチェーンでもコーヒーを刷新し、味や風味の改良が繰り返されている。フードジャーナリストの重盛高雄氏が、主要コンビニ・ファストフードチェーンの最新コーヒーを飲み比べた。


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 全日本コーヒー協会の調査(コーヒーの需要動向に関する基本調査)によると、日本人1人が1週間に飲むコーヒーの杯数は、1998年の11.02杯から2018年の10.62杯と数値的にはほぼ横ばいとなっている。


 飲用場所別の杯数を見ると、家庭が6.54杯ともっとも多く、喫茶店・コーヒーショップは直近の数値で0.33杯、レストラン・ファストフードが0.17杯と一番少ない結果となっている。近年、スターバックスやドトールなどコーヒーチェーンの台頭や、マクドナルドはじめファストフードの店舗数の多さを見ると、意外な数値といえる。


 家庭でのコーヒー飲用機会が変わらず多い背景には、間違いなくコンビニ持ち帰りコーヒーの存在があるだろう。


 2013年、最大手であるセブン-イレブンが店舗にコーヒーマシンを設置したことにより、コンビニコーヒーは一世を風靡し、知名度の高まりとともに一気に飲用チャネルの表舞台に躍り出た。それまであまりコーヒーを飲まなかった若年層や女性たちも、コンビニのレジ前に漂う挽き立てコーヒーの香りに誘われ、パンやスイーツなどと一緒に“ついで買い”する。購買意欲を掻き立てるコンビニ側の販売戦略が見事に当たった形だ。


 そんなコンビニコーヒーの勢いに完全に押されているのが、持ち帰り需要も多いファストフード業界だろう。


 これまでファストフードチェーンはハンバーガーやチキンといった主力商品ばかりが注目されがちだったが、中食市場の高まりとともにコンビニのレジ横総菜などにも顧客を奪われつつある。そこで、食料品とセットで販売する飲料、とりわけ差別化ができるコーヒーの存在感を高めることが至上命題となっている。


 折しも今年10月の消費税増税でテイクアウトメニューが軽減税率の対象となったため、コンビニ、ファストフード各チェーンとも再び持ち帰りコーヒーに磨きをかけようと、味のリニューアルや販促活動にも熱が入っている。


 そこで、コンビニ3社(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート)とファストフード3社(マクドナルド、モスバーガー、ケンタッキーフライドチキン)の最新コーヒーの特徴を紹介し、飲み比べてみた。※以下、価格は税込み


【セブンカフェ(セブン-イレブン)】


●主要コーヒー&価格/ホットコーヒーR(100円)・L(150円)、高級キリマンジャロブレンドR(110円)・L(160円)ほか


●特徴/2013年より販売を開始し、年間約11億杯を売るコンビニコーヒーの王者。万人に好まれる、よりスッキリした味わいを目指し、2014年、2016年にもリニューアルしているが、2018年3月のリニューアルでは深煎りでコクのある味わいに変更。コーヒー豆を約10%増量し、豆の焙煎方法もダブルからトリプルに変更した。2019年12月からは力強い香りとコクが特徴のスペシャルコーヒー「高級キリマンジャロブレンド」を追加。


●評価/ホットコーヒーは、どの顧客やどの商品との相性もよくするために、他チェーンのコーヒーより香りや味わいがやや薄い印象。2018年にリニューアルしたといっても、やはり個性が弱い分、コーヒー好きには物足りないかも。ただ、キリマンジャロブレンドは価格が若干高いものの、深い香りとコクを確かに感じることができる。気分によって飲み分けられるラインアップが増えたことは嬉しい。


【ローソン(マチカフェ)】


●主要コーヒー&価格/コーヒーS(100円)・M(150円)・L(180円)・メガサイズ(270円)、カフェインレスコーヒーS(150円)、マチカフェ ルワンダコーヒー(300円)ほか


●特徴/2019年10月22日より「ブレンドコーヒー」をリニューアル。豆の焙煎方法を見直し(アフターミックス製法)、より華やかで厚みのある味わいにした。また、コーヒーの香りを感じながら飲めるよう、鼻の位置にも穴の開いた“香りフタ”を採用するとともに、大容量(メガ)サイズも追加した。


●評価/エスプレッソタイプで、飲み進むと紙コップにクレマの跡が残る。コクや苦みは少ないが、飲み飽きない味に仕上がっている。また、食べ物に合わせやすく、個人的にはスイーツ系との相性がいいように感じる。特にモンブランの栗クリームとのコンビネーションは鉄板以上のオススメ。


【ファミリーマート(ファミマ カフェ)】


●主要コーヒー&価格/ブレンドS(100円)・M(150円)、スペシャルティコーヒー(モカブレンド120円)ほか


●特徴/熟練の鑑定士がコーヒー豆の品質を検査し、4回の選別をクリアした豆だけを使用。産地ごとに「単品焙煎」で焼き上げることで、それぞれの豆の特徴を最大限に引き出している。2018年秋から新型コーヒーマシンを導入。ペーパードリップ式を採用することで、コクがありつつスッキリした味わいを実現。また、嗜好に合わせて「濃いめ」にできたり、希少性が高いコーヒー豆を使用した「スペシャルティコーヒー」も加わった。


●評価/すっきりとした味わいは、飲み飽きず万人向けという印象を受けるが、新型マシンでは「濃いめ」ボタンを押すと、しっかりとコクを感じるコーヒーが抽出される。また、スペシャルティコーヒーというイチ押しコーヒーも楽しめ、カップが通常コーヒーとスペシャルティで色分けされている。購入者の優越感を倍増させる効果がありそう。


【マクドナルド】


●主要コーヒー&価格/プレミアムローストコーヒーS(100円)・M(150円)


●特徴/2019年10月11日にコーヒーをリニューアル。豆の焙煎度合を深くすることで「甘味・酸味・苦味」のバランスを調整。特に酸味を抑え、苦味を効果的に使うことで、食事とよく合う味に仕上げている。


●評価/ペーパードリップにてサーバーに落として保温しているため、淹れたてコーヒーは秀逸の香りを放つが、時間が経過すると香りが引き立たなくなる感じ。味はリニューアル前よりコクが増して濃くなった気がする。冷めやすくなるが、フタを外して飲んだほうが口いっぱいにコーヒーの味わいが広がる。


【モスバーガー】


●主要コーヒー&価格/ブレンドコーヒー(250円)


●特徴/2018年11月にコーヒーをリニューアル。幅広い消費者の味覚に合う味わいに仕上げるため、なじみ深くまろやかな酸味とコクが特徴のモカをベースに豆のブレンドを見直した。


●評価/すっきりとした切れ味の良い酸味が特徴。温められた陶製のカップで提供されるため、冷めにくく長い時間楽しむことができる。コーヒー単体はもちろん、食事との合わせにも妙味を発揮する。また、モスカフェでは大き目のカップで提供される。同日同店舗であるが、おかわりが100円なのはうれしい。


【KFC(ケンタッキーフライドチキン)】


●主要コーヒー&価格/挽きたてリッチコーヒー(240円)、挽きたてアメリカンコーヒー(240円)ほか


●特徴/2019年10月、コーヒーを約3年ぶりにリニューアル。「挽きたてリッチコーヒー」は、3段階の焙煎度の豆をミックスして香りや味わいにボリュームを持たせた。ほどよい酸味とコクが特徴で、すっきりした味わいはチキンにもぴったり。


●評価/個性的なコーヒーに仕上がっている。一口飲んだ瞬間にガツンと苦みが口の中に広がる。コーヒー単品で楽しむと多少口当たりが重い印象を受けるので、オリジナルチキンと合わせて飲むのが一番おいしく感じる。チキンを食べ終わった後の、スパイスとオイルをしっかりとリフレッシュしてくれる効果も併せ持っている。


 各社のリニューアルされたコーヒーを飲み比べてみた結果、総じて1杯ずつドリップして抽出するコンビニコーヒーのほうが、ファストフードで提供されるコーヒーよりも、コクと香りが豊かに感じた。


 コーヒー単体でもっとも美味しく感じられたコンビニコーヒーは、ローソンのマチカフェで、コーヒーらしい印象が一番薄かったのは、残念ながらセブンカフェのコーヒー(キリマンジャロブレンド除く)であった。


 一方、ファストフードの中で一段抜けていたコーヒーはモスバーガーだった。抽出後に熱を加えずに保温するシステムを使っている点が大きく作用したからだ。今回は比較対象に含めていないが、ミスタードーナツも同様の抽出保温方法を採用している。また、一番個性的だったのは、KFCの挽きたてリッチコーヒーだった。


 もっともコーヒーの嗜好は人それぞれ違うため、今回の評価には賛否両論もあるだろう。自分が好む味わいや飲むシーンを想像しながら、コーヒーを選ぶ際の一助となれば幸いである。


 いずれにせよ、コンビニ、ファストフードともにコーヒーのリニューアルを軸に、再び選ばれる“価値づくり”の熱き戦いが始まっている。

NEWSポストセブン

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