レトロで行くしかない。創業58年の老舗温浴宿泊施設がコロナ禍中に大規模リニューアル。真面目に取り組んだ「レトロ商店」誕生まで

2023年12月22日(金)11時42分 PR TIMES STORY

高砂温泉は北海道旭川駅から車で10分。高砂台という高台にある日帰り入浴も可能な温泉旅館です。1965年(昭和40年)創業、今年で創業58年となります。いわゆるスーパー銭湯の先駆けとして、また伝統的な和風旅館として多種多様なお風呂を用意。「お風呂のデパート」として長らく近隣住民のみならず、道内外の多くの方々にご愛顧いただいています。

今回は、高砂温泉の歴史を振り返り、コロナ禍においてチャレンジしたリニューアルの内容、そして、最後は、家族連れに大人気の「レトロ商店」誕生までをお伝えします。

【1965年創業〜2000年前後】周辺経済含めて好調だった。

元号で言えば、昭和40年から平成10年くらいまで。スーパー銭湯も少なく、駅前のビジネスホテルもまだ少なく、競争環境は良好。団体旅行のスタイルも残っており、和室大部屋も有する当館は重宝されていた時代。新館を増築、その一番奥のスペースに卓球台を6台設置し「旅館といえば卓球でしょ」を絵に描いたような光景が広がっていました。※その卓球場が現在の「レトロ商店」になります。

【2000年〜2020年初頭】コロナ禍前ですでに業績は悪化の兆し。

大体、想像されると思うのですが、業績が苦しくなります。スーパー銭湯の広がり、駅前を中心としたビジネスホテルやシティホテルの建設、団体旅行から個人旅行への変化、電話予約からネット予約、口コミ等にて比較される環境となり、当館の競争優位性は薄れていきました。手をこまねいていたわけではないのですが、いつの間にか、レトロな雰囲気をまとう「昔から変わっていない高砂温泉」という位置付けになっていました。

現館長の髙崎重幸氏の祖父が創業したのですが、2代目となる父親が骨董品の趣味があり、館内のあちらこちらに「意味不明=価値不明」な置物が散在。昔は違和感なかったものの、施設の老朽化とともに、味わい深い趣きに変化していきました。

一方で「昔から変わっていない高砂温泉」の財産が実はたくさんありました。ロビーに散在していた昔のアーケードゲーム、ジュークボックス、チャンスマシーンなどなど(※)。10円玉や100円玉に両替して、ヨコに積み上げて、なくなるまで腕を磨いた「あの時代のゲームの数々」が残っていました。※ あとで紹介します。

【2020年前半〜2021年前後】コロナ禍に突入し最大の苦境も、ピンチをチャンスに。

当館のみならず、多くの宿泊温浴施設にて同じ苦境を味わったことと思います。当館は半年間休館、その後も宿泊客は少なく、日帰り入浴客もパラパラとした入込みが続きました。政府が打ち出した固定資産税の免除、雇用調整助成金、その他の助成金を申請するも、大幅な赤字は続き、現預金は減り続けました。

現館長の髙崎重幸氏は「このままでは終わってしまう。何とかしないと。でも待てよ。コロナ禍前から業績は苦しかった。だから、戻るだけではダメだ」と気付きました。金融機関等からの支援と補助金を最大限活用して、コロナ禍後を見据えたリニューアルをしよう、と決めました。

コロナ禍から経済も心も回復の兆しが見え出した頃、リニューアルへ本格的に着手。

まだまだ油断はできないものの、何となく、少しづつ、日常を取り戻してきた頃。政府自治体から宿泊業への支援策が打ち出され、人々のマインドも変化し、リベンジ消費などと言われる中、高砂温泉は大きなリニューアル工事を手がけました。

まず、ロビーを大改装。昔のロビーは「昔の高砂温泉の味わい」そのもの。価値不明な置物などが売店で販売され、ゲームやジュークボックスが散在し、玄関開けて30秒でエアホッケーゲームができる空間。コアなファンはいてくれましたが、多くの方々に愛される施設の顔ではなく、少し暗い印象もありました。※ 下記の写真は、昔のロビーと売店。

自慢のお風呂を多くの方々に楽しんでもらいたい。であれば、コアなファン向けの「味わい」を失うのは寂しいが、明るく綺麗なロビーにすべきと考えました。また、食事提供スペースが限定的であったため、本格的なレストランを併設。売店もリニューアルし、キッズコーナーやマンガもたくさん置いて、滞在を楽しんでもらう施設に転換しました。※ 下記の写真は、現在のロビーとキッズコーナー。

名物の温水プールもリニューアル。

こちらも名物だった温水プール。滑り台もあり、子供に大人気でした。また、屋上に露天風呂があり、こちらも人気の場所だったのですが、老朽化も進んだため、閉鎖を決意(※)。少子高齢化が進む中でプールの利用客が減少、そして屋上露天風呂の閉鎖を掛け合わせると、プールを露天風呂に変えるのがベストと考えたもの。

※ 現在はお客様の要望を受け、安全面を考慮した上で、夏季のみ開放中。

旧温水プールの場所を2分割し、男女の露天風呂に変化。皆さまからご愛顧いただいています。当館は高台にあり、旭川市内の街並みが一望できます。

ついにレトロ商店へ着手。

旧ロビーにあった昔のゲーム機などは、ひとまず、卓球場に避難させていました。その光景をみて、髙崎重幸氏は思います。「旅館で卓球の文化は残したいけど、この昔のゲームは価値が高いのではないか。ここに老若男女が楽しめるスペースを作ってみよう」。

社内で検討が開始されました。まずコンセプトをどうするか。ロビーなどはモダンで綺麗になったものの、卓球場までの全面リニューアルの予算はなく、昔の高砂温泉の雰囲気が残存。所有するゲームも1980年代に活躍したゲームが多い。レトロで行くしかない。レトロ商店と名付けました。

現役稼働する主なゲームは以下の通りです。

・アウトラン(体感型)

・パックマン(バトルロイヤル)

・パワードリフト・ハングオン・ファイナルラップ3・コズモギャング

・ダンスダンスレボリューション(小室哲哉TKD)

・インベーダーゲーム

・その他マージャンゲームやチャンスマシーンなど

レトロ商店なら駄菓子だろう、ということで、札幌市内の駄菓子問屋に出向き、仕入れを開始。予算がなく、ビール瓶ケースを裏返し販売スペースを作成。人手不足もあり、お客様への信頼をベースとした無人販売をしています。100種類以上の駄菓子を用意しており、うまい棒は10円で販売しています。

レトロ商店に続く廊下には、従業員が持ち寄った懐かしグッズや新聞記事を展示。その他、70台以上のガチャガチャ、プラレールの展示、卓球台は1台残し、昔のイチローパネルがお出迎えしてくれます。

これからの高砂温泉

皆様の支援により大規模リニューアルとレトロ商店の整備が叶い、コロナ禍前と比較しても、家族連れが増えました。週末や夏休み期間など、元気な子供達がご両親や祖父母に見守られながら、キッズコーナーやレトロ商店に駆け出す姿をみると、胸が熱くなります。

コロナ禍も5類となり、2023年夏季は非常に多くのお客様にお越しいただきました。一方で、円安基調によるエネルギー高、食材や資材の高騰など、経営環境の厳しさは続いています。一日でも長く、旭川の地で営業を続け、従業員の生活を守りながら、一人でも多くの笑顔に触れたいと思っています。守るべきおもてなしの文化と変化を恐れない勇気を持ち合わせ、不易流行の精神で頑張って参ります。


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