始まりは「知らない人が家にいる」という子供の言葉だった。ある新築一戸建て物件でおきたこと

1月1日(水)17時0分 文春オンライン

京都・蓮久寺の三木住職のもとには、助けを求める人が絶えない。ポルターガイストに悩まされる人、人形をお祓いしてほしい、さまよう霊を供養成仏させてほしい……。そんな実話や自身の体験など、現代の怪談、奇譚の数々を収めた 『怪談和尚の京都怪奇譚』 (文春文庫)より背筋の凍る「知らない人」を特別公開。見えない世界に触れることで、あなたの人生も変わる……のかもしれない。


◆◆◆


ある新築一戸建て物件で


「不動産会社を長年していますが、ここまでひどいのは初めてです」と、怯える声で、そう語られたのは、不動産会社社長の仲谷さんでした。


 その横には若い夫婦と3歳のお子さんがおられ、この方がある新築一戸建て物件を買われたことから、事件は起こったというのです。



©iStock.com


 そのご夫婦の話を聞けば、仲谷さんが怯えるのは当然だと納得がいきました。


 目の下に隈ができ、ここ数日寝ていないといった感じの奥さんは、まるで怪談師が語りかけるような口調で話しはじめました。


誰もいない方を向いて話しかける子供


 きっかけは、「知らない人が家にいる」という子供の言葉からでした。最初は、まだ幼い息子の言うことなのであまり気にも留めませんでした。しかし、この日から不思議な事が始まったのです。


 子供部屋で息子が1人で遊んでいた時に、突然、子供の大きな泣き声がしました。私は驚いて駆けつけ、子供を抱きかかえて聞きました。「どうしたの。大丈夫」すると子供は泣きながらこう答えました。「おじさんが来て僕をつねったの」と。


 またある時は、テレビを見ている時でした。「これおもしろいね」と誰もいない方を向いて話しかけているのです。「誰と話しているの」と尋ねると、「おにいちゃん」と答えました。



 さすがに気になり、夜遅く帰宅する夫にこのことを相談しました。


 夫は、「小さな子供にはよくあることだろう」そう言うので、しばらく様子を見ることにしたのです。しかし、放っておけない事件が起こりました。



首を絞められて青ざめた息子!


 その夜も夫の帰宅は12時をまわっていました。帰宅した夫は、子供の寝顔を見るのが習慣となっていましたので、子供部屋に行きました。


 その時「おい、どうした。大丈夫か」と夫が叫ぶので、見に行くと、布団に横たわったままの息子は、顔が青ざめ、手足を苦しそうにばたつかせていたんです。


 夫は子供を抱きかかえ、落ち着かせて話を聞きました。すると、「おばあちゃんが、僕の上に乗ってきて、首を絞めたの」そう言う息子の声は、明らかに恐怖に震えていました。



「僕が首を絞められていた時、おねえちゃんが止めに来てくれたの。でもおばあちゃんはやめなかった」そこまで話すとまた泣いてしまいました。


「おじさんもおばあちゃんもやめてー」


 しばらくして泣き疲れた息子は、夫の腕の中で、ようやく寝息を立てはじめました。「明日になったら病院へ連れて行こう」と、夫婦で話をしていたその時です。「バタン」と突然、子供部屋の扉が音を立ててひとりでに閉まったんです。


 その直後、「ガシャン」という音と共に、キッチンの食器が勝手に落ちて砕けました。


 音に驚いた息子が目を覚まし、また泣き出しました。そしてパニックを起こしながら色々な所を指さしてこう言ったんです。


「おじさんもおばあちゃんもやめてー」


「おねえちゃん逃げてー」


「おにいちゃん助けてー」



「バタン、ガシャン、ドンドンッ」タンスや戸棚の扉、椅子や机が勝手に動いていました。私たち夫婦には、何が起きているのか理解できない状況でした。


 夫と目があった瞬間、夫が叫んだんです。「外に出よう」と。



買ったばかりの我が家で物が飛び交う音


 話し終えた奥さんは、その時の様子を思い出してか、手が小刻みに震えておられました。ご主人がおっしゃいました。


「外はいつもと変わらない静かな夜でした。その静かな夜に、買ったばかりの我が家では、まだ何者かによって、物が飛び交う音が続いていたんです。その日から私たちは、今も両親の実家で生活しているんです」



 次の日、仲谷さんと、私の2人は、その家の中にいました。もちろんお祓いをするためです。お経を読もうと、私が用意をしていると、仲谷さんは少しためらうように、小声で話しはじめました。


絞殺、放火、そして…


「今回の事件があって、以前何かなかったか調べたんですよ。すると、こんな話が出てきましてね。この家を建てる前なんですけどね」


 ここには以前、おばあさんが1人で住んでおられたそうです。そこへ奥さんと離婚して、子供2人を連れた息子が帰って来たんだそうです。ところが、この息子が、お酒を飲んでは暴れたらしく、見かねたおばあさんは、寝ている息子の首を絞めて殺し、家に火を点けたらしいんです。その火事で、孫の男の子と、女の子も亡くなり、自分も後追い自殺をされたということでした。


 ひょっとすると、死んだ今でも、生前と同じく苦しんでおられるのかもしれません。私はこの話を聞いて、数日の間、以前おられたという家族の供養を続けました。 



 それから1年ほどしたとき、新たな家族が、引っ越してこられたのを見ました。





“鉄道マニア”が教えてくれた「何度も列車に轢かれているリュックを背負ったおばあさん」の話 へ続く



(三木 大雲)

文春オンライン

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