「クイズは、私にとっての“回り道”です」 美しすぎるクイズプレーヤーが明かした東大生活

1月2日(火)11時0分 文春オンライン

人気クイズ番組『東大王』で “スタンフォード大学が認めた才媛”として注目を集める東大生・鈴木光さん。98年生まれの彼女が初めて語る学生生活のこと、そして「回り道の大切さ」とは——。( 前編 から続く)



鈴木光さん



水上颯さんは難問になればなるほど、強い


——東大ではクイズ研究会に入っているわけではないんですね?


鈴木 在籍はしています。でも、なかなか参加する時間がとれていないのが実情です。


——番組では4人一緒に「東大王チーム」として連携することもあると思いますが、事前に作戦会議したりはしないんですか?


鈴木 ないですね。収録中に自然と、それぞれの役割が見えてくるというか……。安定感抜群なのが、知識の幅が広くて、押すべきところは押す伊沢さん。世界地図をズームしていく映像を見ながら、最終的にそれが何という世界遺産に行き当たるかを当てる問題があるんですが、伊沢さんは地球の映像が映った段階で「モヘンジョダロ」って正解したことがあるんです。あれは、ちょっとすごかったですね。「画面の中心にパキスタンのあたりがあったから」って言うんですけど、これはもう練度の差だなって思うしかありませんでした。





——割とイケメンっぽくてクールな水上さんはどんな感じですか?


鈴木 難問になればなるほど、強いなって思います。単独正解する確率が非常に高くて、凄いです。鶴崎さんはひらめき系。頭が柔らかいのかな、パズル系も強くて、誰もはじき出せない正解にたどり着ける人だなあって思っています。


——鈴木さんはクイズプレイヤーとしての自分自身をどんなタイプだと思いますか?


鈴木 どうなんでしょう、いつも賭け半分で答えているところがあるから……(笑)。この前も、「50回忌の映像を見て、誰のものかを答えなさい」って問題があったんですけど、「お寺で幼少期を過ごした」っていうヒントがあったところで「石川啄木」って答えたんです。他にもそういう有名人はたくさんいますけど、メジャーなところを答えとけって感じで、取りに行きました。



企業の業績予想、株価予想をする自主ゼミに入ってます


——鈴木さんは現在1年生ですが、サークルには入っているんですか?


鈴木 クイズ研究会に籍を置いていて、あと、瀧本哲史さんが主催していらっしゃる、瀧本ゼミという団体に参加しています。企業分析をするゼミで、自分の気になる株の銘柄を探してきて、その業績予想をしたりとか、株価を予想したりとか、そんなゼミです。





——なんでまた、そうしたゼミに入ったんですか?


鈴木 将来は企業法務に関する弁護士になりたいと思っていて、企業の活動の仕方や経済の仕組みに関心があったんです。プレゼンをしては、意見を出し合い、叩くところは叩いてって感じでやっています。20人くらい同期がいたんですけど、途中で「起業したい」っていなくなっちゃう子もいました。たしか、仮想通貨の記事を専門的に配信するメディアを作るとか言っていましたけど。


今、推している銘柄は……


——ちなみに鈴木さんが今、推している銘柄は何ですか?


鈴木 お医者さんや病院に提供する「医療情報」を扱う企業に注目しています。製薬、医療器具含め、医療の世界にはいろんな市場がありますが、中でも情報を扱う分野は成長株じゃないかと。まだまだ勉強中ですが、そういうことを知っていくと、いろんな世界があるんだなって面白いです。





——情報はどうやって集めているんですか?


鈴木 英語力を落とさないようにということもあるのですが『ブルームバーグ』や『ニューズウィーク』に目を通したりしています。最近気になっているニュースは、北朝鮮ミサイルをめぐる国際関係です。ミサイルが発射された日は、日経、すごく落としますよね。


——株価への影響にも注意を払ってるんですね。


鈴木 ホットな話題は経済に影響するし、経済は社会に影響を及ぼすということが分かり始めた感じがしています。






松本清張の「手形詐欺」の話で読書感想文コンンクール入賞


——興味の幅が広い……。弁護士になるために司法試験の勉強を一直線にしているわけでもないんですね。


鈴木 昔から興味があっちこっちいくタイプなんです(笑)。バンドでギターやってるときも、学校の音楽室にある金管楽器に触ってみたくなって、昼休みにトロンボーンに挑戦してみたりとか。高1のときに、松本清張記念館主催の読書感想文コンクールに力を入れたこともありました。





——もしかして最優秀賞ですか?


鈴木 いえいえ(笑)。松本清張の「眼の壁」という手形詐欺の話がきっかけになる推理小説の感想を書いて、入賞しました。でも最近は小説を読んでいないんですよね。本を手に取るのは好きなんです。紙媒体には紙媒体の良さがあると思っていて。短いニュースを読むならスマホとか端末で十分だし便利だと思いますけど、勉強したり精読するにはやっぱり書き込みができる紙媒体が必要なんじゃないかなあって思ってます。だから私は、紙で買いたい派。『ブルームバーグ』も紙で読んでます。



感想文が入賞したときの「清張記念館」ニュースです


——鈴木さんのような世代から紙媒体支持の声が聞けるとは、ありがたいというか、新鮮です。


鈴木 大学で斎藤茂吉の短歌を読む講義を取っているんですが、先生が茂吉の歌集『赤光』の初版を持ってきてくださって、教室で目にする機会があったんです。純粋に、きれいな本だなって思いました。斎藤茂吉という歌人の作品それ自体に価値があることはもちろんなんですが、歌集という「本」そのものの貴重さ、価値みたいなものを感じました。これからの出版物にも、物としての価値がきっと求められるような気がします。



知らなくてもいいことを知っていると世界の見え方は変わる


——斎藤茂吉論などはまさに人文学の王道だと思うんですが、今、文学部廃止論だとか、人文系の学問は必要なのかみたいな議論もあります。現役東大生であり、クイズプレーヤーであり、様々な分野に関心を持っている鈴木さんは、そのあたり、どんなふうに考えていますか?





鈴木 「理系が重要で、文系は実学に結びつかない」っていう論調は私もよく耳にします。たしかに、人文系学問が生み出すものって金銭的な価値で見出しにくい部分もあると思いますし、あえて極端な言い方をすれば、別に知らなくても生きていけるよね、っていう世界でもあると思うんです。クイズだって同じで、知らなくていいことを答えて競う世界ですよね。たとえば「炭酸飲料のペットボトルの、花のような形をした底の部分のことを何という?」みたいな。でも、知らなくてもいいことを知っていると世界の見え方は変わると思うし、世界は広がると思うんです。


——知ること自体に意味があると。


鈴木 そうですね。もちろん斎藤茂吉には会ったこともないけれど、研究者による最新の茂吉研究の成果を知ることで自分の世界が広がっていく感覚があって、私はそこに喜びを見出します。わりと結果ばかりが追い求められる時代で、一見ムダな知識を得ることや、回り道をしながら歩いていくって、大切なことだと思うんです。





私にとってクイズに出会ったことは回り道です


——あえて意地悪な質問をしますが、進学校の「筑附」から法学部推薦入試で東大に進まれたこと自体は「回り道」と言えるもんでしょうか? それでも、鈴木さんは回り道が大事だと思いますか?


鈴木 私にとってクイズに出会ったことは回り道です(笑)。高校時代3年間を予備校通いに費やして、東大受験のためにひたすら勉強をする道もあったかもしれませんけど、私は高校生クイズに挑戦したり、バンドやったり、国際交流プログラムに参加したり、私が選べる、私なりの回り道を歩いてきて、今の私があると思っています。





——今も司法試験に集中する道だってあるかもしれないけど、クイズやって自主ゼミで銘柄研究して、鈴木さんの選んだ大学生活を過ごされてるわけですもんね。


鈴木 そうですね。回り道する最大のいいところは人と出会えることだと思います。『東大王』に出演させていただいているから、普通だったら出会えない、たくさんの番組作りに携わっている様々な職種の方々とお話することができる。私のようなものが言うのはおこがましいですが、いろんな人と付き合っていくのが人生だし、社会なのだと思います。だから、大学生の今のうちに、もっと回り道しておきたいです。


——ところで、さっきのペットボトルの問題の答えが気になっているんですけど。


鈴木 あ。えーとですね、あれは……「ペタロイド」です!





写真=佐藤亘/文藝春秋



(「文春オンライン」編集部)

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