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大前氏、在日米軍の経費全額を払って駐留継続を提案すべき

NEWSポストセブン1月2日(月)7時0分
画像:米国内では激しい抗議運動も発生 Reuters/AFLO
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米国内では激しい抗議運動も発生 Reuters/AFLO

 ドナルド・トランプ政権でアメリカの外交政策が大きく方針転換すれば、日本もそれに対応しなければならなくなる。大前研一氏が「新たなアメリカ」との向き合い方を指摘する。


 * * *

 ドナルド・トランプ次期大統領の外交に関する基本的な考え方を一言で言えば「目には目を、歯には歯を」だ。たとえば「日本がアメリカ産牛肉に38.5%の関税をかけ続けるなら、我々も日本車に同率の関税をかけるつもりだ」と主張している。要するに、トランプ氏が考えているスタンスは「ハンディキャップなし」ということだ。これはアメリカの外交政策の大転換となる。


 従来のアメリカ外交は“ゴルフのルール”だった。つまり、第2次世界大戦後のアメリカはあまりにも強大なパワーを持っていたため、日本などの救済・復興のためにガリオア・エロア資金(*)を供与したように、必ず相手国にハンディキャップを与えていた。様々な関税を容認していたのもそうだ。


【*ガリオア資金は占領地域救済政府資金、エロア資金は占領地域経済復興資金と訳される。アメリカの軍事費から拠出された。】


 しかし、経営者のトランプ氏にそういう政治的・外交的な発想は微塵もない。今やアメリカにそんな余裕はないし、そもそも外交はビジネスのディールと同様に対等な関係でやるべきだという前提に立っている。だから彼の頭の中にある外交ルールは、野球やサッカーの試合のようにハンディキャップがないのである。そう考えれば、これまでに彼が外交に関して発言したことは、すべて説明できる。


 となると、これから日本は対米外交を「ハンディキャップなし」、つまり「甘えなし」という前提で組み立て直さなければならない。


 たとえばトランプ氏は、在日米軍の駐留経費を日本が全額負担しろと言っている。では、それに応じた場合、いくらかかるのか?


 アメリカの2016年度の予算教書では、人件費を含む在日米軍への支出は55億ドル(約6000億円)とされる。一方、日本政府が支払っている在日米軍駐留経費負担は年間約7600億円なので、それを足しても1兆4000億円弱だ。日本の防衛費は年間約5兆円だから、在日米軍の軍事力が現状プラス6000億円の1兆4000億円程度で保持できるのであれば、トランプ氏の要求に乗っかってしまったほうがよいと思う。


 なぜなら「専守防衛」という基本理念で防衛政策をやってきた日本は攻撃型の戦力を持っていないので、在日米軍と同等の抑止力を自前で確保するとなったら、莫大なカネが必要になるからだ。


 したがって、トランプ氏との交渉では日本が先手を打って「予算教書の中にある在日米軍への支出分55億ドルを払うから、このまま駐留してください」と提案すべきだと思う。


 そうすれば、日本は経費を払う以上、尖閣諸島など「守るものは守ってもらう」「日本が求める防衛以外の余計な口出しは無用」という立場を取れる。さらに、アメリカが敵視してきたロシアや(かつての)ミャンマー、キューバ、イランなどとの付き合い方も、日本独自の政策で行うことができるようになるのだ。


※SAPIO2017年1月号

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