お寺婚活「吉縁会」 恋愛未経験男子に「まずフラれよ」と説教

1月2日(火)16時0分 NEWSポストセブン

「吉縁会」の発起人、龍雲寺の木宮行志さん。書家・金澤翔子さんの筆による一円相の前で

写真を拡大

 お寺で行う婚活「吉縁会」に、独身男女が殺到している。2010年の発足以来、静岡の本部に加え、東京、名古屋、岐阜、大分、仙台のお寺(臨済宗妙心寺派)で婚活の会が開催されてきた。発起人は、静岡県浜松市にある龍雲寺の副住職、木宮行志(きみや・こうし)さん。なぜ、結婚したくてもできない人が増えているのか。なぜ、お寺が婚活をするのか。「普通の僧侶より、独身者にまみれています」と話す木宮さんに、“結婚”をめぐる困難な現状と、結婚と幸せについて伺った。(【前編】【後編】2回に分けてお届けします)


* * *

◆私たちは試されている


──「吉縁会」を始めて7年。婚活をめぐる状況を、どう感じていらっしゃいますか?


木宮:まず、私たちの婚活の会に集まった人にお話するのは、「今日は相手を選ばないでください」ということです。婚活に集まる人たちは、相手を「選ぼう」という意識でやってくる。そうすると、必然的に、人を条件で見るようになるんですね。外見や年齢、会社名や年収、そういった目に見える表面的なものばかりを見ようとする。だから、まずは選ぶのをやめてくださいと言うのです。


 ではどうするのか。選ぶのではなく、「出会った人と幸せになる」のです。結婚には、そういう心のあり方が大事だということを、伝えています。


──とはいえ、「出会いがない」という声が多く聞かれます。


木宮:みなさん、そう仰る。不思議なのは、出会いの場と、そうでない場を、くっきり分けている人がいることですね。婚活は出会いの場だけど、職場は違う、とか。極端な話、コンビニでだって、出会おうと思えば、出会えるんです。そのためには、店員と客ではなく、「人と人」として出会う気持ちが大事ですね。出会うの「出」には、家から出るとか、合コンへ出るという意味だけでなく、自分の心から出ていく、相手に近づいていくという意味があります。整った出会いを待っていては、いつまでたっても出会いはありません。


──そもそも、出会いの縁というのは、ある人もいれば、ない人もいるのでしょうか?


木宮:仏教では「縁起」というように、縁は自ら起こしていくものです。そして、その起こした縁を、よりよいものにしていくことが何より大切ですね。最初からいい縁と悪い縁があるのではありません。これは、「この人と結婚したら絶対に幸せになれる」という人がいないのと同じです。誰と結婚したって幸せになれるし、誰と結婚したって不幸になれるんです。



──すべては自分次第、これはある意味で、とてもしんどいことだと思います。


木宮:そうですね。私はそもそも、自由に恋愛して結婚できる人って、限られていると思うんですよ。ゆえに昔は、それなりの年齢まで独身でいたら、親戚のおばさんやご近所さんが、あの子と結婚しなさいと、無理やりくっつけたりしていた。ある面では、おせっかいで息苦しい社会だったでしょう。けれど、「好きでもない人と結婚して、結果的に幸せだった」という幸せの形がありました。


 いまは自由になり、好き勝手に生きられる社会になった反面、そういう幸せの形はなくなりました。すべては自分のこころ次第、自分がどう思うか次第の中で、本当の幸せを見つけていくのは難しいことです。私たちは試されているんでしょうね。


◆33歳恋愛未経験男子に、「まず5人にフラれよ」


──恋愛経験のない人も増えています。そういう人たちにはどうアドバイスされますか?


木宮:「吉縁会」にも、恋愛経験のない方がやってきます。昨年、33歳で一度も付き合ったことのない男性がいたんです。彼に、これまでに何人に告白したのかと聞いたら、3人だと言う。11年に1回しかチャレンジしてないじゃないか! と、私は怒りました(笑)。アイドルとか、すごい資産家とかだったら、一発必中で上手くいくかもしれない。けれど、ほとんどの人はそうではないんです。


 彼と話して、結婚云々の前に、まずは、年内に5人にフラれようと、目標を立てました。恋愛にはやはり経験値が必要なんです。相手を思いやる想像力も必要。告白までいかなくても、食事に誘って断られたのを「1フラれ」にカウントしていいから、とにかく5人フラれるよう、アドバイスしました。


──成功しろではなく、失敗しろと。でも、当たり前ですが、フラれるとつらいですよね。恋愛がいやにならないでしょうか?


木宮:お釈迦様も仰っているとおり、人生は苦しみです。真面目に生きていても、つらいことは起きるし、その時は苦しむしかない。フラれたら、当然つらい。泣けばいいんです。


 ただし、起きてないうちから苦しむ必要はありません。それは無駄な苦しみです。人は「いま、この瞬間」しか生きられません。それなのに、フラれてもいないうちから、どうしよう、怖いなと心配してチャレンジをせず、チャンスを逃している人が多いんですね。フラれるのはつらいけど、必ず得るものはある。その時は苦しいけど、それは永遠の苦しみではありません。結婚に限らず、もちろん女性でも、人生はチャレンジしていくしかないんです。


 ちなみに33歳の彼は、初めての彼女ができました。手を繋いで楽しそうにデートしていますよ。



◆大切なのは、結婚することではなく、幸せに生きること


──木宮さんはなぜ婚活を始めたのですか?


「困っている人がいたら救う」、これは僧侶としての基本だからです。出家をして僧侶になるというのは、職業ではなく、生き方なんですね。そういう生き方をしているわけですから、結婚したくてもできない人がいて、私にできることがあるならば、手を差し伸べるのは自然なことでした。


 とはいえ、婚活をしたからといってお寺が賑うわけでもないし、婚活を全国に広げたいわけでもない。勝手に広がってしまってちょっとたいへん(笑)。もちろん、やる以上は一生懸命、クオリティのいいものをと思ってやっています。


 このように商売でやっているわけではないですから、私たちの吉縁会で出会っていただかなくてもいいんです。他で出会ってくれればそれでいい。ただ少しでも、来てくれた方たちのマインドが変わってくれたらと思いますね。


──どのようにマインドが変わっていけばいいでしょうか?


木宮:本当に大切なのは結婚することではなく、幸せに生きることです。一人で幸せに生きていない人に、他人は魅力を感じない。また、こういう人と結婚したら幸せになる、なんてことは一つも決まっていない。仏教には「空」と教えがありますが、この世の中に決まっていることなんて一つもないんです。そういう中で、なぜ自分は結婚をしたいのか、自分にとって幸せな生き方とは何かを考えるようになってもらいたいと願っています。

NEWSポストセブン

この記事が気に入ったらいいね!しよう

婚活をもっと詳しく

BIGLOBE
トップへ