BTS(防弾少年団)の新曲は目を見張る完成度——近田春夫の考えるヒット

1月3日(水)17時0分 文春オンライン

『MIC Drop -Japanese ver.-』(BTS〈防弾少年団〉)/『J.S.B. HAPPINESS』(三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE)



絵=安斎肇



 2001年にミッシー・エリオットが放った大ヒット曲。「これからみんなでめちゃくちゃおどってさわごうさわごう」の日本語セリフで始まる『Get Ur Freak On』を初めて聴いた時の衝撃を、いまだ忘れられずにいる。


 ほぼ全編、恐らくはキーボードのプリセット音源かとも思われる、なんともちゃちな味わいの“三味線”が奏でる、♬チャンチャカチャカチャンの執拗な繰り返しのみというトラックが、馬鹿馬鹿しくも超新鮮! だったのである。


 ただそうした音響構造のあまりにも画期的であったがためか、着想を受け継いだとおぼしき(あっ、パクッたというべきかしらんね?)作品を耳にすることはなかった気がする。ま、単に俺のところに届くほどヒットした曲がなかっただけなのかもしれぬが。



MIC Drop -Japanese ver.-/BTS(防弾少年団)(ユニバーサル)2017年5月、Billboard music awardsにてトップ・ソーシャルアーティスト賞に。


 ……と、なんでこんな前フリになってしまったのかというと、BTS(防弾少年団)の新曲を聴いたからである。


 それにしてもこの曲の完成度たるや、眼を見張るものがあるといっても決して過言ではあるまい。イントロの始まった途端に繰り広げられる、まさに“スリルとサスペンスの応酬”と形容するに相応しい、刺激たっぷりなサウンドプロダクション。それに対するBTSの肉声によるパフォーマンスの、これまたなんともたまらぬキレのよさよ! 


 ヒップホップというメソッドのマナーをきちんと踏んまえた上、そこからこの時代ならではのポップミュージック(しかも日本語もので!)にまで、しなやかに昇華/変容させ、聴かせてしまうプロデュースの手腕といったら、こいつはやはり只者ではない。


 今回それを物語るひとつの証しがいわゆる“換骨奪胎”の見事さなのであるが、この曲で繰り返されるリフは、どう聴こうと『Get Ur Freak On』なのである。いや、少し組み替えたりはあるにせよ、その組み替え方も含め、これは誰の目にも多分、確信犯的な作業/行為と映るであろう。


 してその結果なのだが、元となる楽曲と比べたときこの音、キチンと別の地平で鳴り響いてみせているのである。


 そこいら辺の確認にはミッシー曲の検索を一番に薦めるが、俺としてもなんとかそのニュアンスをコトバにて説明が出来ないものか。あれこれ考えていくうち、アタマに浮かんだのが“編み込む”といういいまわしなのであった。つまりすなわち、この曲では、件のリフがトラック——というものの構造を編み物に見立てたとき——のなかに実にさりげなく要素として自然に編み込まれているといったぐらいのニュアンスなのだが……。


 ただまぁ、それはあくまで俺の抱いた感想に過ぎぬ。元の曲の作者がこれを聴き、このセンスにニンマリとするのかどうか? そこは度量の問題(笑)なので、俺にはなんともいえませんですけどもね。



J.S.B. HAPPINESS/三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE(エイベックス)15年のDREAM、17年3月のLOVEに続く、L.D.H.三部作。


 三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE。


 なんか“ソウルブラザー”的じゃない世界に傾向をシフトしてる感じだよね(笑)。




(近田 春夫)

文春オンライン

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