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日本のラノベのネット小説化に戸惑う中国のオタク

ダ・ヴィンチニュース1月3日(日)9時0分
画像:第18回は中国のオタク界隈における日本のライトノベルの立ち位置、日本のネット小説に対するイメージなどに関して紹介
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第18回は中国のオタク界隈における日本のライトノベルの立ち位置、日本のネット小説に対するイメージなどに関して紹介
 中国オタク事情を連載している百元です。第18回は中国のオタク界隈における日本のライトノベルの立ち位置、日本のネット小説に対するイメージなどに関して紹介させていただきます。
「軽小説」(ラノベ)とは、ネット小説とは違うオタク向けの娯楽のブランドだった

 中国にはオタク向けの日本のコンテンツに関して「ACG」(アニメ、コミック、ゲーム)という言葉がありますが、近年はライトノベル(中国語で「軽小説」)の存在感が増してきて、ゲームの代わりにライトノベルが入ってきている感もあります。

 中国でオタク層が形成される原動力になったアニメには『涼宮ハルヒの憂鬱』『灼眼のシャナ』『ゼロの使い魔』といったライトノベル原作の作品が多く、それに加えて文学青年層や日本のミステリ小説のファンがラノベ読みと重なることもあり、日本のライトノベルはある種のオタク的なブランドとして認識されているような所もあります。

 またライトノベルは読み応えがあり、設定などの「語れる要素」も多く比較的コストパフォーマンスが高いものであったことも、中国のオタク界隈における強さに繋がっているようです。このような背景もあってか、ライトノベル原作のアニメは放映開始前から一定のファンや「作品について語れる」層が形成されているケースも多く、他の原作系アニメに比べて手堅い人気となる傾向も見受けられます。

 しかし、日本のライトノベルにネット小説出身の作品が増加している近年の流れに関しては、戸惑いの声をあげる中国のオタクの人が少なくありません。

中国のネット小説と「違うはずだった」日本のライトノベル

 実はオリジナル系のネット小説に関しては、日本よりも中国の方が進んでいる点が数多く存在します。中国のネット小説は00年代の前半頃から急速な発展を続けている、中国における数少ない「海賊版に潰されず独自に発展したコンテンツ」と言うこともできます。

 中国のネット小説は「コピーされる以上に安く大量に提供すればいい」といったような勢いで非常に多く提供されており、映画やドラマ、ゲームの原作としても重宝されていますし、最近増加している若者、オタク向けの国産アニメの原作として活用されています。

 また「起点」をはじめとする中国のネット小説サイトは文字数ベースの従量課金や月額課金などによるサービス提供が確立しており、課金の一部がネット小説の作者に入るので、人気作品を連載できればネット小説の稼ぎで食っていける、更には商業出版やドラマ化、ゲーム化といった「夢」もある……とされているそうです。

 中国ではネット小説が独自の強力な娯楽ジャンルとなっていることもあってか、これまで中国のオタク界隈では日本のライトノベルは日本文化枠やオタク枠、一般向けのネット小説とはちょっと違う存在のようにも扱われていました。

 そんなわけで「ネット小説とは別物」と認識されていた日本のライトノベルがどんどん「ネット小説化」していくように見える最近の動向に関して、戸惑ってしまう中国のオタクの人も少なくないようです。

ネット小説作品が原作のアニメはOK?

 もっとも、日本のネット小説を原作としたアニメが人気になっているケースも少なくありませんし、ネット小説出身のライトノベルを受け入れられないわけではない……という見方もできそうです。

 例えば以前のコラムでも書いたように、『ソードアート・オンライン』は近年の中国における代表的な人気作品になっていますし、最近では『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』や『オーバーロード』といった作品も人気を獲得しているようで、特に『オーバーロード』はトリップ、ネトゲ転生系の亜種としての側面が評価されたりもしているという話です。

 ネット小説に関して日本と中国ではその環境や背景、人気となっている要素など異なる部分が数多くありますが、それと同時に話の内容や展開、特にいわゆる「テンプレ的な要素」に関しては、共通している部分も少なくありません。ネット小説出身の作品に限らず、ライトノベル原作のアニメに関して、中国のオタク界隈ではそういった「テンプレ的な要素」のアニメによる映像化を楽しんでいるような反応を見かけることもあります。

「トリップ」や「俺TUEEEE」はネット小説における日中共通のお約束

 最後に、日本のネット小説と中国のネット小説の内容で共通する「テンプレ的な要素」に関して紹介させていただこうかと思います。

 中国のネット小説だろうと日本のネット小説だろうと、「よくある話」「テンプレ的な展開」というのがイロイロとあるかと思いますが、中でも「トリップ」(中国語では「穿越」)系の作品は、日中どちらでもよくある話です。

 トリップ(穿越)系の作品は中国のネット小説でも一大ジャンルとなっていて、異世界や過去にトリップしたり転生したりして、やはりその際にはチートな能力を得たり現代の知識やアイテムを持ち込んで大活躍、無双するというのもお約束となっています(そしてそんな「俺TUEEEE」な主人公やその活躍を指す「龍傲天」という言葉も存在します)。

 もちろんトリップの方法や、チート能力を得る展開などに違いもあるようですが、大まかな流れとしては似たようなものに見えるのも確かだとか。ちなみに中国の「穿越」は、日本の作品からの影響もあるそうで、マンガでは『王家の紋章』や『龍狼伝』、ライトノベルでは『ゼロの使い魔』といった作品の与えた影響も無視できないという話です。

 このようにトリップ(穿越)に限らず、ネット小説にはお約束、テンプレ的な展開に共通する所が少なくないのもあってか、中国のオタク界隈では日本のネット小説系ライトノベル原作のアニメに「ネット小説でお約束の展開、よくある妄想ネタがアニメで映像化された!」という方向から歓迎されることもあるとのことです。

文=百元籠羊

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