お寺婚活発起人の僧侶「40代がいちばん選んでいる」と分析

1月3日(水)16時0分 NEWSポストセブン

「吉縁会」の発起人、龍雲寺の木宮行志さん

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 お寺で行う婚活「吉縁会」に、独身男女が殺到している。2010年の発足以来、静岡の本部に加え、東京、名古屋、岐阜、大分、仙台のお寺(臨済宗妙心寺派)で婚活の会が開催されてきた。発起人は、静岡県浜松市にある龍雲寺の副住職、木宮行志(きみや・こうし)さん。なぜ、結婚したくてもできない人が増えているのか。なぜ、お寺が婚活をするのか。「それでも一人より二人がいいと思います」と語る本宮さんインタビュー、【後編】をお届けする。


* * *

◆40代がいちばん選んでいる


──「吉縁会」には、25歳〜49歳までの男女が参加されています。年齢が上がるほど結婚は難しくなると一般には言いますが、吉縁会の婚活でもそれは感じられますか?


木宮:「若い女性がいい」と言う男性は多いですね。子供が欲しいから35歳までの女性がいいとかね。そういう人に対しては、「女性を数字で見るのはやめなさい」と説教します。まずは女性と出会うこと。その先に子供があるだろうと。もちろん子供のいる人生は楽しい。しかし、子供のいない幸せもある。養子をとってもいいんです。


 一方で、女性も、年齢を重ねれば重ねるほど、「ここまで待ったのだから」という気持ちが強くなるんでしょうね。私たちの会では、婚活の最後に、気になる人に自分の連絡先を書いたカードを渡す仕組みなのですが、最も連絡先を渡さないのが40代の女性です。20代、30代は、もう少し気楽に渡すんですよ。どうかなあ? と思うくらいの人にも、とりあえず渡しておこうというふうに。40代がいちばん選んでいるんですね。


──無理に結婚しなくてもいい、という考えもあります。


木宮:婚活やめました、諦めました、という手紙をいただくことも多いですね。とはいえ、結婚したいという気持ちがあったから、婚活に来たんでしょうからね。自分の心の持ちようを少し変えてみたらどうですか、とは思いますね。


 いまは、結婚のハードルがすごく高くなっているんです。結婚の入り口に多くのものを求めている。対して、離婚のハードルは下がっている。昔は逆でした。お見合いで結婚した私の祖父は、「嫁と入れ歯は慣れれば極楽」と言っていましたよ(笑)。


──どんな相手でも慣れれば上手くいくと。


木宮:貧乏だった祖父は歯を磨いたことがなく、30代で総入れ歯になったんですね。昔の入れ歯ですし、口の中にはたいへんな違和感があるわけです。けれど、受け入れて慣れてしまえば、歯は磨かなくていいし、こんなラクなことはない。奥さんも同じで、他人なのだから、異物ではあるけれど、異物だと思って過ごしていたら上手くいかない。受け入れてしまえば、寄りかかれるし、助け合えるし、一人より二人のほうがいいね、となるんです。


 もちろん、一度受け入れたところで、やっぱり腹は立ちます。入れ歯だって、今日はどうも調子が悪いなという日もある。そこはどうしても我慢が必要になります。


◆人間は一人で正しく生きられるほど立派じゃない


──どこまで我慢をすべきなのか。我慢してまで結婚をする必要はない、とも思いますし、ある程度の我慢は必要とも思う。その塩梅が難しいです。


木宮:吉縁会を始めた頃、わがまま人が多いな、と感じたんです。都会で開催するほど感じました。わがまま、という印象がどこから来るかと考えたとき、一人暮らしが多いからだと気付きました。一つ屋根の下で複数人で暮らしていると、どうしたって問題が起きるんです。便座を上げるとか下げるとかささいなことで揉める。でも、自分以外の誰かとぶつかることで、人間は“カド”が取れていくんですね。


 一人で自由気ままに生活していると、ぶつかる機会がなくなって、いつの間にか、カドがゴツゴツした鋭利な人間になっていく。そういう状態で、いざ他人と接すると、カドが出てるから、ぶつかるんです。やっぱり人間って、一人で立派に生きられるほどの能力はないんですね。ある人もいるかもしれないけど、それはほんの一握りの特別な人。社会や他人に生かされていないとだめなんです。


──【前編】で、結婚よりも、幸せに生きることが大事、というお話がありましたが、木宮さんご自身の考え方としては、結婚したほうがいいと思いますか?


木宮:私の思いとしては、とにかく幸せになってもらいたい。だから、結婚して幸せでもいいし、独身で幸せでもいいんです。ただ、一人よりは二人のほうがいいんじゃないかとは思いますね。先ほど言ったように、ほとんどの人間は一人で正しく生きられるほど立派じゃない。だからどんな相手だって、たとえタイプじゃなくても、稼ぎが悪くても、隣に誰かがいるだけで、支えになってくれるだろうし、衝突をすることでカドが取れて、やさしいお爺ちゃん、かわいいお婆ちゃんになっていけますからね。


 一緒にいるのは友人でもいいのかもしれませんが、とりあえず一回結婚してみたらどうですか、と思います。こんなこと言うと怒られちゃうかもしれませんが、もしもダメなら、いまは昔にくらべて、離婚もできるようになりましたしね。少なくとも婚活に来ているような、結婚したいと思う気持ちのある人には、シンプルに飛び込んでみたらいいと言いたいですね。


◆私らしさ、の呪縛を解く


──シンプルに結婚に飛び込む、は年齢を重ねるほど難しくなっていきます。


木宮:私らしさとはこうだ、とか、自分の理想はこう、と決めすぎると、人はどんどん複雑になっていくんです。でも、それは自分の思い込みにすぎません。そもそも仏教では「自分」なんてないんですよ。自分にあまりこだわらず、むしろ相手に喜んでもらいたい、幸せになってもらいたい、そういう気持ちが出てこないことには、結婚は難しいでしょうね。相手がどう思うか、の問題はありますが、まずは自分ができることがあるんです。


 結婚にも通ずる分かりやすい話に、地獄と極楽の生き方のたとえ話があります。


──地獄と極楽の生き方の違い、教えてください。


木宮:数十人が座る長テーブルに大変なご馳走が並び、皆が座っているんです。ただし、人々は椅子に縄でぐるぐるに縛られていて、手には、長いフォークを持たされているんですね。で、フォークが長すぎて、料理をさせても自分の口に運ぶことができなない。目の前にご馳走があるのに食べられない。これほどの地獄はありません。足元に幸せは落ちているのに、満たされない、飢えている状態です。


 極楽もほとんど同じ状況です。料理を前にして、椅子にぐるぐる巻きに縛られている。手には長すぎるフォーク。しかし何が違うかと言えば、まず、隣の人、向かいの席の人に、自分のフォークで料理を食べさせてあげるんです。そうすると相手が食べさせてくれる。


 まず、隣の人に与える。周囲の人の幸せを願う。自分の幸せを最初に願うか、他者の幸せを願うか、この違いが、地獄の生き方と極楽の生き方の違いです。ちょっとした差が大きな差になる。結婚や恋愛も、最初に相手の幸せを願う心を持つか持たないかで大きく変わってくるのです。

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