真矢ミキ リアルな男性を研究し「男って愉しい」と実感

1月4日(水)7時0分 NEWSポストセブン

男役の愉しさを語る真矢ミキ

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 元・宝塚歌劇団花組トップスターで、1998年に同劇団を退団後は、女優として活躍している真矢ミキさん(52才)。今回は、ちょい足しする“個性”と“男役”について語った。


 * * *

 10代後半から30代半ばまでの間、舞台上で“男”として過ごしてきた私が“男”を磨くためにさまざまな研究をした…。


 宝塚の男役というのは長い歴史のなかの様式美というものがあって、歌舞伎の形のような男役像を日々学び習得していた。それはそれで魅力的なんだけど、小、中と男女共学で育った私はいつも、もうちょっとリアルな男性をやりたいなぁと思いを募らせていました。


 そんなある日、西麻布で夜な夜な外国人ダンサーの粋な仕草にインスパイアされた私は、早速、舞台で実践していた。他の男役が美しいマントをひるがえし、両手を広げて愛を伝えているさなか、私は舞台上で微動だにせず、片方の眉のあげさげあげさげ、続いて2階席の後ろまで大きなフライでウインクを飛ばし、暇さえあればピストル回す回す(笑い)。


 …愉しかった。とにかく、毎日が「あぁ、男ってなんて愉しい!」って心から思えた。


 だが、当然のようにいろんな問題が後から波のように押し寄せてきて、私のもとには否定的な言葉がいくつも届いた。


「それは宝塚ではないんじゃないの?」

「宝塚には変わらなくていい、変えてはいけない伝統がある」


 …悔しかった。だって、私なりの、宝塚を愛してやまないからこその挑戦だから。新しいことをまずはやってみたかった。…たった1人の革命であった。


 宝塚、見ず嫌いとか、見て嫌いとか言わせない。見て見て、見てください!! と叫びたかった。そして喜びは、それから随分後のこと、私が宝塚に入団して14年目にあたる頃にやって来ました。



 ありがたいことに、私が演じた、ちょっと伝統から外れたリアルテイストの男役をおもしろいと感じてくださるお客さまは日々劇場に増え、客席を埋めた。なかには「これまで宝塚を見たことがない」というかたがたも多かった。この言葉は、どれだけ肯定というハグで私を包んでくれたことでしょう。


 でも、これだけは忘れてはいけない。宝塚には5つの組がある。だからこそできたことなのだと。


 伝統を守ったオーソドックスな二枚目。時代に敏感な男役。圧倒的なダンスや歌で魅了するエンターテイナー。和物を大切にする人。それぞれの組に、それぞれの男役がいるから、お客さまは好きな男役を選んで見ることができる。


 伝統的なものを自分という道具で咀嚼する。そして個性をちょい足しする。これは、男役に限らず、すごく大切なことだと思う。


 たとえば、ファッション。今では当たり前になった、ドレッシーなものとハードなものを組み合わせるというコーディネートですが、最初にこれが登場したのは私が20才くらいのときではなかったでしょうか。ちょうどマドンナが『ライク・ア・バージン』を歌っていたころ。


 あ、好きなように組み合わせればいいんだ! と目からウロコがボロボロ落ちました。 それからトレンドが何周かして、今はハイブランドとプチプラを融合させる時代に突入したのではないかと。そして、それが個性という色になる。


 そう、個性! 私はこの言葉が好きだ。男役でなくなった今も、私は常にこの言葉に魅了されている。うん。しみじみそう思う。


撮影■渡辺達生


※女性セブン2016年1月12日号

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