お酌写真で炎上、日本の酒席のオッサンガハハ文化はまだ健在

1月4日(金)16時0分 NEWSポストセブン

滅びゆく文化か

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 日本では、宴席に参加している女性が、男性にお酌をするように求められることが今もある。だが、給仕として働いているわけでもない女性が、ただ同席しているというだけでお酌を求められることそのものが、現在では非難されるようになっている。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、ジェンダー関連の話題に広がりやすい酒席の写真のSNS投稿について、考えた。


 * * *

 とある将棋団体が女流棋士の有段者を「囲んでの懇親会」を開催し、その写真をツイッターに公開したところ炎上し、ツイートは削除された。そこに写っていたのは、座敷のような場所での集合写真に加え、女流棋士がオッサンにビールをお酌している写真2枚だった。参加者は写っている範囲では棋士以外は男性で、「先生」として招いているのにコンパニオンのような扱いをした、オッサンが接待を強要したのでは、と炎上したのだ。


 ネットに公開する情報や画像には細心の注意が必要だが、オッサンが女流棋士にお酌をしている様子もあっただろうに、なぜそちらを公開しないのか。ここら辺のセンスの無さは致命的である。


 しかし、こうしたオッサンだらけの会合というものは時に存在し、そこに参加する女性はあからさまな「女」としての見られ方をされる現実もある。私も時々地方の商工会の懇親会や業界団体の集いに講師として参加する。すると、男女比は9:1なんてこともザラであり、しかも100名ほどの参加者全員が男性ということさえある。


 女性が少人数ながら参加している場合の懇親会では必ず幹事風の人が女性を呼び、「ほら、中川先生の隣に行きなさい。きちんとお酌もするのですよ」なんてことを言う。



 別に私自身、お酌はされたくないし、周囲が男性だらけでも構わないのだが、古い体質の組織だとゲストの周囲には女性を配置することが通例となっている。「紅一点」なんて言葉が出るのは当たり前だし、「むさくるしいオッサンばかりでなくかわいい女のコがいた方がいいでしょう、ガハハハ」なんてことを言われることもある。


 そこで当の女性がどう思っているのか聞いてみたところ、「いつもこんな感じなので慣れています」と言っていた。これが本心なのかは知らないが、宴席における女性の扱いが「賑やかし」「目の保養」「お酌要員」という場所も日本には案外多いのでは。


 参加者全員が男性の会合では、近くのクラブからホステスが20人ほどやってきて宴会場の大パーティーでは酌をして回る。二次会はその店に繰り出し大フィーバーとなるのだ。これを当たり前だと思っている人物が普通にネットに写真を公開すると、炎上する可能性はある。


 酌関連のネットの騒動といえば、2016年7月、伊勢志摩サミットの際、とある英文サイトにこんな見出しの記事が出た。


「アンゲラ・メルケルはG7の男性首脳にビールをお酌するよう言われた」


 これは日本社会を英語でおちょくる偽ニュースだらけのサイトだが、これを安倍晋三首相が言ったことになっていた。そこで釣られて激怒する人が相次いだが、ジェンダー関連の話題は偽ニュースであろうとも一瞬で怒りを誘発し、偽ニュースと見抜く判断力を鈍らせるほどの破壊力があるのだ。


 何はともあれ、真面目な組織であればあるほど、酒席の写真はネットに公開しないが吉だろう。昨年は西日本豪雨前日に安倍晋三首相も含めた「赤坂自民亭」なる酒宴を西村康稔官房副長官らがツイッターに公開し非難された例もある。


●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など


※週刊ポスト2019年1月11日号

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