東方の聖地巡礼を契機に知った本物の聖地に初詣──今年も洩矢神社で年を越してみた

1月5日(火)17時0分 おたぽる

洩矢神社

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 集う「聖地巡礼」ファンたちによって、神社の御神徳は一段と増している気がした。

 大みそか、コミックマーケットの取材を終えた筆者は新宿駅西口バスターミナルから、上諏訪行きの高速バスに乗った。昨年に引き続き、向かったのは長野県岡谷市の洩矢神社である。

 いわゆる「聖地」の中には大勢のファンで賑わう神社も珍しくなくなった。そうした中で「東方Project」の聖地である洩矢神社は決して、大勢のファンが押し寄せる場所ではない。ゆえに情報は極めて少ない。地元の人たちによって管理されている神社は、ホームページがあるわけでもなく、情報は主に幾度も神社を訪れるファンがTwitterなどで発信するものに限られている。

 この神社を、筆者が再び訪れた理由。それは第一に、作品を通じて神社を知り、何度も訪れるようになったファンと地元民との距離の近さである。前回、10月の例大祭を訪れた筆者は、Twitterで例大祭の日時などを告知してくれているファンの一人に出会った。年に何度も埼玉県から神社を訪れているという彼は、地元民と共に法被を着て祭りの行事に参加していたのである。

 地元の人々が、そこまで東方民を信頼して、歓迎してくれている。その様子をもっと見たいと思った。

 新宿を出発した高速バスは、すでに帰省ラッシュのピークも過ぎ、乗客も少ない。加えて渋滞もなかったため、バスは予定よりも30分あまり早く岡谷駅前に到着した。すでに人通りも少なく開いている店もないので、そのまま神社へ向かうことに。

 10時半頃に到着した神社では、まだ準備の真っ最中。早々とやってきた珍客である筆者に、準備していた人たちは「わざわざ、お越し頂いて」と、さっそく御神酒を振る舞ってくれる。それも紙コップになみなみと一杯。さらに、もう一杯とすすめてくれる。

 そうこうしているうちに、神社には地元の人や東方のファンたちも集まってくる。そして、縁起物を販売するテントには巫女さんも。販売されている縁起物は、とにかく安い。熊手の大サイズでも2,000円。破魔矢は300円だし、絵馬は本日限り無料配布である。2015年の例大祭から始まったお守りは、御柱を切り出して地元の人たちが手分けして作成したというものだが、これも300円。この儲けを度外視した価格設定にも、洩矢神社の有り難さを感じること、この上ない。

 そうして、12時前のカウントダウンと花火。

 新年を迎え、多くの人が集まった境内で、地元の人たちは東方ファンたちに「どこから来たの?」と親切に声をかけ「もう一杯」と、さらに御神酒を振る舞ってくれる。

 参拝客が引けた後、巫女さんとの花火大会も行われたが、その間にも痛車で乗り付けて、さらに守屋神社へと回るというファン。さらには東京からやってきて、とんぼ返りするという10人あまりのグループなど、様々な参拝客が訪れたのであった。

「最初の頃は、少し怪訝な目で見られることもありましたけれど、今はとても歓迎してくれています」

 聖地巡礼をきっかけに、すでに4年以上神社に通い詰め、祭りの時は法被を着て手伝うようにもなった常連のTさんは話す。聖地巡礼で訪れるファンが、作品を契機に洩矢神社、さらには洩矢神の御神徳に触れていく中で、地元との信頼関係も築かれていったようだ。

 作品の聖地巡礼で訪れたファンが、本当の聖地だと知り、篤い信仰心を胸に何度も訪れる姿。おそらく、これは全国に無数ある作品の聖地の中でも極めて希な現象だと思う。今年は、御柱祭の年とあって「すごいこと」も予定されているという洩矢神社。作品の聖地巡礼から始まった、新たな信仰の姿を体感するために訪れてみてはいかがだろうか。

 実は筆者も、洩矢神の御利益の篤さに確信を持って信仰心を高めている。
(文=ルポライター/昼間たかし http://t-hiruma.jp/)

おたぽる

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