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安倍外交で米隷従化 中曽根政権以前に戻ったと大前研一氏

NEWSポストセブン1月5日(木)7時0分
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大前研一氏の安倍外交の評価は?

 歴代首相の在任日数ランキングをみると、安倍晋三首相の通算在職日数が戦後歴代4位、戦前をあわせても7位になった。このまま新年度を迎えると、戦後歴代3位になる。経営コンサルタントの大前研一氏が、ロシア・プーチン大統領との会談、真珠湾訪問と外交手腕を評価されつつある現在の安倍外交について分析する。


 * * *

 安倍晋三首相の通算在職日数は1830日を超え、すでに中曽根康弘元首相の1806日を抜いて戦後歴代4位となっている。このまま今年3月の自民党大会で総裁任期が延長されれば、5月末には小泉純一郎元首相の1980日を超えて3位になる。


 さらに次の衆議院選挙にも勝てば、再来年の2019年8月に戦後歴代1位の大叔父・佐藤栄作元首相の2798日を抜き、同年11月には明治期の桂太郎元首相の2886日を上回って歴代最長を更新する可能性もあり、長期政権として歴史に名が刻まれることになる。


 しかし、改めて問うてみたい。安倍首相はその栄誉に値する政治家なのだろうか、と。


 安倍首相は昨年からしきりに「戦後政治の総決算」を強調し、アメリカ・オバマ大統領の広島訪問、ロシア・プーチン大統領との平和条約交渉、さらに年末のハワイ真珠湾訪問と、それを目指した外交を矢継ぎ早に展開している。


 だが、もともと「戦後政治の総決算」というスローガンを使ったのは30年前の中曽根元首相である。安倍首相はその中曽根元首相の通算在職日数を超えたわけだが、政治家としての評価は別だ。今のところ、安倍首相は中曽根元首相の足元にも及ばないと思う。


 今さら説明するまでもないが、首相としての中曽根氏の功績は、まず外交では、当時のアメリカ・レーガン大統領との間で「ロン・ヤス」と呼び合う信頼関係を構築して日米が「イコールパートナー」になることを目指し、それを可能な限り達成したことである。


 国内でも、レーガン大統領やイギリスのサッチャー首相に倣い、規制撤廃と3公社(日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本専売公社)の民営化などを、臨時行政改革推進審議会(行革審)会長を務めた土光敏夫氏や国鉄再建監理委員会委員長に起用した亀井正夫氏らと共に、文字通り命がけで成し遂げた。まさに「戦後政治の総決算」である。


 それに対して安倍首相はどうか? 私に語っていた憲法改正への決意は、2014年の衆議院選挙と昨年の参議院選挙で「改憲勢力」が3分の2以上の議席を獲得したことで一気に前進するかと思われた。参院選後の新聞各紙も「改憲勢力が3分の2議席を獲得し、国会で改憲を発議する要件が整った」などと伝えたが、細かく比較してみると、微妙に表現が違っていた。


 現実には安倍流の改憲(自民党の改憲草案)に対する国民の本能的な反感を察知して時期尚早と判断したのか、改憲論議については参院選から半年過ぎても、事実上“放置”している。


 その一方では「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「投資を喚起する成長戦略」というアベノミクス「3本の矢」についてきちんと総括しないまま、「1億総活躍社会」なるものを実現するための「強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」という「新3本の矢」を発表した。その時の相手関係や世論の空気を読みながら、昨日までのことは忘れて今日求められたことを厚顔無恥に言ってのけ、結果については頓着しない。


 だから、その主張には一貫性がなく、まるでカジノのルーレットのように、投げた玉が止まるまで、当たりと外れのどちらに転ぶかわからないのである。


 たとえば、当初、安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を標榜し、アメリカを慌てさせた。アメリカが作った戦後秩序を見直し、第二次世界大戦の戦犯を裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)についても「勝者の判断によって断罪された」との見解を披瀝したのである。


 ところが、それで警戒したアメリカに冷たくされて二進も三進もいかなくなったら、結局、アメリカ議会で「日本にとって、アメリカとの出会いとは、すなわち民主主義との遭遇でした」「戦後世界の平和と安全は、アメリカのリーダーシップなくして、あり得ませんでした」などと歯の浮くような演説を行ない、戦後レジームからの脱却どころかアメリカべったりの土下座外交、朝貢外交に転じてしまった。


 その延長線上に出てきたのがハワイ真珠湾訪問であり、今や日米関係はイコールパートナーではなく、日本がアメリカに隷従する中曽根政権以前の時代に戻ったのである。


 しかも安倍首相は、アメリカの力を背景に強硬姿勢で中国に対峙していくという新しいパワーバランスのかたちを作ろうとしている。これは、いくら反日・嫌日であっても中国とはまろやかに付き合っていく、という従来の田中角栄的なアプローチとは正反対のやり方であり、対中関係がいっそう悪化するのは火を見るより明らかだ。


 たしかに今の中国におもねる必要はないと思うが、次期アメリカ大統領のトランプ氏がこれまでの対中政策をひっくり返そうとしている中では、火に油を注ぐ展開にもなりかねない。


※週刊ポスト2017年1月13・20日号

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