TVアニメ『宇宙よりも遠い場所』水瀬いのり×花澤香菜が語る作品の魅力的なポイント/インタビュー

1月6日(土)18時30分 アニメイトタイムズ

2017年1月からスタートしたオリジナルTVアニメ『宇宙(そら)よりも遠い場所』。いしづかあつこさん[監督]×花田十輝さん[シリーズ構成・脚本]×MADHOUSE[アニメーション制作]という『ノーゲーム・ノーライフ』のチームによる完全オリジナル作品として注目される本作。1話からワクワクするようなストーリーと、繊細な演出とお芝居で楽しませてくれましたが、メインキャラクター演じる声優・水瀬いのりさん(玉木マリ役)と花澤香菜(小淵沢報瀬役)に本作の魅力を伺いました。 
お二人が思っていた南極のイメージ
——今作では“南極に行く”というのが、ひとつの目的になっていますが、そもそも南極に対するイメージってありましたか?

玉木マリ(キマリ)役・水瀬いのりさん(以下、水瀬):南極……どこだろう?って。聞いたことはあるけど、どのあたりにあって、どのくらいの広さなんだろうって、そのくらい漠然としたイメージしかなくて。寒いのかなぁ?とかも憶測でしかないですし。明確なイメージが思い浮かばないくらい、自分の生活に「南極」というものがなかったんです。小淵沢報瀬(シラセ)役・花澤香菜さん(以下、花澤):北極と南極って、そう言えばどういう違いがあるんだろう?って思いました。ホッキョクグマは知っているけど、南極だとペンギンなのかな?とか。私もそのくらいあやふやな知識しかなくて。あとはアニメをやっていて、観測隊くらいにならないと南極には行けないんだなって思ったりはしました。——お二人にとっても、本当に宇宙よりも遠い場所なのかもしれないですね。一般的にもそうかもしれないですが。

花澤:確かに。

——オリジナル作品になるのですが、脚本を読んだとき、どんな感想をいだきました?

水瀬:普通の会話劇が面白いなと思いました。みんな個性的なので日常がすでに面白いというか。ファンタジーとかそういうわけではなく、どちらかと言うと現実的な話なんですけど、どこか夢を見させてくれるみたいなところもあって、女の子たちのひとつひとつの頑張りによって自分も頑張ろうって思える。リアルな群像劇が魅力的だなと思いました。

花澤:脚本のセリフが、掛け合いの時点でクスクス笑えるくらい、みんなアホかわいいんですよ(笑)。それぞれの残念なところと歳相応のかわいいところ。掘れば掘るほどいろいろ出てくる女の子たちだなって思いました。

あと私、個人的に高校生のときに人生が変わる出来事があったので、彼女たちの人生がこれから動き出すんだ!っていうのがすごく詰まっていて、ワクワクしました。

——高校生のときに、何かしようと思ったり、そのためにバイトしてたりするのって、素晴らしいですよね。

水瀬:そうですよね。

花澤:今、学生の子たちが見ても刺激になるだろうし、私たちも共感できるんです。

——お二人とも、この頃から仕事をしてましたよね?

水瀬:でも私、高校時代はわりと自由に生きてました。報瀬ちゃんみたいな行動力はなかったです。


感情豊かなキャラクターが魅力的——そんなキマリと報瀬の紹介をお願いします。

水瀬:ではキマリから。私、監督さんとは初めましてだったんですけど、最初のPV収録のときに、作品に関することをお話いただいたんです。そのときにざっくりと、みんな「○○かわいい」みたいなところがあるとおっしゃっていて……。キマリの場合は「アホかわいい」なんです。かわいいけど、どこか抜けているんですよね。でもそれも彼女の魅力の一部で……。

「計算ではない、素直さからくるアホっぽさが、みんなを巻き込んで、周りを明るくしていくようなイメージ」っていうのをヒントにしました。だからキマリを演じる際は、嘘をついてないとか、嘘すら「嘘ついてます!」って顔に出てしまうような素直さ。かわいらしさや天真爛漫な感じはすごく意識してます。なので1話をご覧になった方は、キマリのアホかわいいの中にある悩み、一歩踏み出せない繊細さ、普段は明るいけど、そういう自分があることを理解してる大人っぽさも見ていただけたかなと思います。

花澤:リアクションがかわいいよね。

水瀬:顔がすぐ、ぴゅっと変わってたりするんです。

花澤:突然すごい顔をするよね?

水瀬:するー!

花澤:そういうところがアホだなぁって思う(笑)。

水瀬:口をひん曲げながら上を向いたり、目をキラキラさせたり、表情のバラエティが豊か。

花澤:いのりちゃんの聞いたことがない声が聞けた気がする。

水瀬:それは報瀬ちゃんもです!——水瀬さんの声の素直さがすごく出ていると思いました。花澤さん演じる報瀬は、どんな子ですか?

花澤:報瀬は、すごく美人が故にみんなから注目されているというか。しかも南極に行きたいという叶いそうもない夢を持っているところで偏見の目を向けられるポジションなので、突っ張っているところがあるというか。「お前ら見てろよ!」というところが、学生生活の中でどんどん大きくなっていっちゃったんだろうなって思いました。

思想が偏っている女の子ではあるんですけど、南極に行ったまま帰ってこなかったお母さんを探しに行くんだという目標のためには何でもするっていう、芯の強いところがあるのは素敵だなって思います。

——キマリと出会うことでの変化もありましたよね。

花澤:報瀬はこれまで友達とか、コミュニケーションを疎かにしてきたと思うんですよ。だからどんどん残念なところが見えてくるというか。でもそこでちょっとずつ成長していく彼女が見えたので、最初と最後で、とても印象が変わる女の子になるんじゃないかなって思います。

——残念さは、一番ありましたね(笑)。

花澤:そうなんですよね……。さっきキマリちゃんのリアクションのことを言いましたけど、報瀬はかわいらしいところを通り抜けた残念なリアクションをしていたりするので、そこがまたグッとくるところだとは思います(笑)。


不憫かわいい報瀬、ずっと見ていたくなるような存在のキマリ——お互いの印象はいかがでした?

水瀬:最初はPVで、「どうやって行くつもり?」ってキマリが言ったことに「知りたい?」って応えるシーンがすごく印象的で! まだ1話を録る前だったので、なんて魅力的な言葉と表情なんだろうって思いました。香菜さんが演じる報瀬ちゃんの声と絵を合わせて見たのが、そこが初めてだったので、わぁすごい!って思いました。

それからの1話では、トイレで泣いているシーンがすごく好きで。1話のタイトルが『青春しゃくまんえん』なんで、実際に百万円を「しゃくまんえん」って言って泣いてみましょうってことになったんです。その泣いてる姿と、ドアを殴るところの声を聞いたとき、報瀬ちゃんもやっぱりどこか変な人だなって思って(笑)。でもその変なところがすごく魅力的なので、ある種不憫かわいいだなって。2話では新宿の繁華街に行くんですが、そこも私はすごく好きです。

花澤:結構理不尽なことを言うんだよね(笑)。

水瀬:自分勝手って言うとマイナスかもしれないですけど、そうあってほしいキャラクターというか。いつでも自分を一番に思っててほしいんですよね。みんなが誰かを心配してるときも、自分の考えで動いちゃうことが多いので、それが彼女の魅力というか。——しゃくまんえんのところは面白かったです。お金が見つかったあとに泣くところで、愛せる!って思いました(笑)。花澤さんはキマリを見ていかがですか?

花澤:キマリって端から見てもかわいくて明るくて、ずっと見ていたい女の子なんですよね。報瀬ちゃんとしてしゃべってみると、この子には何でも言えちゃいそうだなって思うんです。だから、人の心を開かせるような力のある女の子で、すごく話しやすい感じがしていますね。こういう女の子が友達に欲しいなって思いました。ただまだ南極に行くぞ!って決意したばかりなので、ここからどういう風にキマリちゃんが変わっていくのか見守りたいです。

水瀬:二人の掛け合いでは、あれ? キマリのほうが優勢なのかなって思うときもあったりするんですよね。

——2話あたりだと、もう逆転したのかな?って思いますよね。

花澤:日向が出てきたことでより……。

——報瀬は二面性がありますよね。カッコいいけど残念みたいな。

花澤:そうですね。でもその理由がちゃんと分かるんですよね。虚勢を張ってるんだろうなとか、素直になれないんだろうなとか。最初のほうは突っぱねてますけど、キマリたちとコミュニケーションを取っていくなかで、自分ってこうだったんだと実感する場面も出てくるんです。そこでちゃんと反省できる子なので、安心して見てほしいと思います(笑)。


お互い出会うことで新たな魅力が広がっていく————1話が放送されましたが、クオリティがすごく高くて、ワクワクしました。

水瀬:1話のアフレコ時点で、映像が出来上がる寸前くらいだったんですよ。だからどうしよう……って(笑)。普段ここまで完成されてることってないので、口、口!って口パクを気を付けなきゃって結構テンパってました(笑)。しかも1話はセリフも多かったので。でもそのくらい、無音で絵を楽しみたいくらい、どのキャラクターも輝いていました。

花澤:いしづか監督は1話はわりと完成しているイメージなんですけど、私も映像チェックをしながら、普通に見とれちゃって。そのくらい絵で見せているので、こんなに愛情が注がれている作品に出会えることはすごく嬉しいなって。だからこそ、声でどう表現できるのか、責任重大だなと思ってアフレコに行ったんですけど、家で練習しているときより、みんなで掛け合ったほうがキャラクターがどんどんイキイキしてくるような感じがして、あぁそういう作りになってたんだなって思いました。

私は、落とした100万円が見つかったときの報瀬のくしゃくしゃの泣き顔が好きで、涙が水玉みたいに出ているところがかわいかったなって思いました。

水瀬:かわいかった!

花澤:あと、何で南極に行きたいのかを自分自身に宣言するような感じで言っているところが、この子は他の高校生とは違うのではないかって思えて、カッコいいシーンだったと、印象に残ってます。

水瀬:私は報瀬ちゃんと出会ってしゃべるシーンももちろん好きなんですけど、クラスでめぐっちゃん(高橋めぐみ/CV: 金元寿子)としゃべってるシーンが、すごく普通でいいなって思います。めぐっちゃんとは幼馴染ということもあって、同い年だけどめぐっちゃんのほうがお姉さんみたいな感じなんですよね。

これから出会うキャラクターともまた違う、以前から知っているというところで、2人の会話が毎回ほっこりするんです。こういう関係っていいなぁって思えるので、2人の学校での会話シーンはすごく好きです。

——保護者みたいですよね?

水瀬:下校中に「尊敬!」って言うシーンがあるんですけど、こんなに何でも言える関係だったら本当に楽しいだろうなって思いました。キマリはいい友達を持っているなって。

——1話の絵ができてるというのは、やはり演じやすいんですか?

花澤:うれしいですね。

水瀬:これが完成形なんだと思ったら、自信を持って声を入れられます。

花澤:士気も絶対に上がるよね。向かうべき場所がわかるから。——キマリちゃんの、高校に入ったらしたいことのメモで「日記をつける。一度だけ学校サボる。あてのない旅に出る」っていうのがあったのですが、お二人はズル休みをするみたいな、ちょっと悪いことをしてみた記憶とかあります?

花澤:私、生徒会をやっていたので、生徒会室に逃げるというのはやっていたかも(笑)。そういう憩いの場所があったのは良かったですね。ちょっとお腹痛いから生徒会室に行っちゃえ、みたいな。

水瀬:私、掃除の時間にゴミ捨て係を率先してやって、掃除をしないっていう。

花澤:あははは(笑)。それ、ずるい!

水瀬:みんなのゴミを集めて「捨てて来るわ〜」っていう自然の流れでゴミ捨てに行き、すごーく時間をかけて帰ってくるというのを時々やってましたね(笑)。

——なんかリアルな目標でもありますよね。ちょっとやってみたいことみたいな。

花澤:リアルさだと、報瀬ちゃんは南極って呼ばれているんですけど、そういう陰口っぽい感じで言われてるのも、こういうのあるよな〜って思ったりしました。

水瀬:名前だと、私、玉木キマリだと何故かずっと思ってたんですよ(笑)。思い込んでるから、香盤表を見ても「玉木キマリ」だと思いながら見てて、玉木マリだって理解するまで少し時間がかかりました。玉木マリであだ名がキマリだったら、妹の玉木リンは、キリンってあだ名なのかな?って、ちょっと気になってます。

——それと報瀬が「じゃあ、一緒に行く?」ってキマリに言うところは、ドキッとしました。冗談っていう気持ちもありつつ、本当は期待してる思いもあるみたいな、繊細な気持ちの表現が良くて。

花澤:そうですね。今まで興味を持ってくれた子もいて、でもやっぱりやめるって言われたときの悲しさったらなかったと思うんですよ。だからあまり信じ過ぎちゃうと自分も傷つくから、だからああいう風に試したと思うんです。でもキマリちゃんの人懐っこさ、真っ直ぐさや行動力を見てると、ちょっと奇跡が起こるのではないかなっていう希望もあったんだと思います。

——で、報瀬の笑顔に心を動かされてキマリの人生が変わっていく感じも良かったです。

水瀬:あと一歩が踏み出せずにいたところで、あの言葉を受けて、ここまで本気で目指す夢があるんだと知って、ある種意地ではないけど、私だってできるんだ!って気持ちもあったと思うんです。それとは別に、この人と何かをやり遂げたいという気持ちもあったと思うんです。

だって同い年の女の子が、百万円も貯めて、泣きじゃくるくらいの夢を持っているってなかなかないじゃないですか。だから尊敬というか、これまで会ってきた人とは違う種類の大きな夢を持っている人と直面したとき、それに乗っかるしかないという気持ちもあったんじゃないかと思います。忘れたくても忘れられないあの笑顔、みたいに脳裏に焼き付いてたんじゃないかなって。


毎話キャラクターたちへの愛の深さがしっかりと積まれていく!——そのキマリが一歩踏み出すところからEDの歌が流れるのも良い演出でした。

水瀬:最後に電車に乗るところとか、すごくかわいいです! 畳み掛けるようだし、これから動き出す感じがしましたよね!

——EDテーマの「ここから、ここから」は一緒に歌ってるんですよね。

水瀬:一緒に同じ歌を歌うのは初めてかもしれない……。

花澤:こんなにキャラ同士で掛け合ったこともないよね?

水瀬:はい。クレジットでこんなに寄り添ったことがないので、嬉しいです。

花澤:私も嬉しい。

——では最後に、今後の見どころを。

水瀬:まだキマリと報瀬の関係性だけですが、残りの2人が加わるまでの話もひとりひとりのドラマがあるんです。気づいたらみんな主人公みたいな作品なので、毎話毎話キャラクターへの愛の深さが積まれていってます。

セリフがないところでの表情の変化にも、ひとりひとりの良さが出てると思うので、画面いっぱいに広がるそれぞれのキャラクターの個性を受け止めてもらいつつ、どこかアホかわいいキャラクターたちに癒やされてほしいなって思います。

花澤:4人が揃って、友達になりながら南極を目指すんだろうけど、報瀬ちゃんが説明すればするほど南極へ行けないんじゃないかっていうくらい、南極に行くということはハードルが高いことなんだなって実感できると思います。なので、どこがどうなったら南極に行けるのか。
そこも楽しみにしてほしいなと思います。あと南極って言いつつ、彼女たちの関係性がどんどん変わっていったり、この子にはこういう過去があるんだっていうのが見えてきたりするので、そこも楽しんでいただければと思います。

[取材・文/塚越淳一]

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