“打倒ソフトバンク”に燃えるライオンズ 優勝のカギを握るのは?

1月6日(土)11時0分 文春オンライン

 先日、辻発彦監督に思い出に残るシーンを聞いてみました。「う〜ん、たくさんあるけど開幕戦のカットプレーですかね」の返事。私の思いとまったく一緒でした。3月31日に札幌ドームで行われた日本ハムとの開幕戦、2点を先制して迎えた3回ウラの守りの場面。一死後、西川遥輝が四球で出塁し、二死になり打席に大谷翔平が入りました。マウンド上は花巻東の先輩・菊池雄星で、場内の盛り上がりは十分。


 そして、大谷のバットから放たれた打球は右翼線に。一塁走者の西川はスタートを切っていましたので、1点は覚悟しました。ところが、打球を処理した木村文紀がカットに入った二塁手の浅村栄斗に好返球し、浅村も捕手・炭谷銀仁朗に無駄なく送球し、タッチアウト。ここで点を失うと単なる1点ではなく、大谷がたたき出した1点になりますので、雰囲気もガラッと変わってしまっていたでしょう。このプレーで、昨季の戦いの期待が大きく膨らんだものです。



開幕戦で見事なカットプレーを披露した浅村主将 ©中川充四郎


Bクラスから脱却できた大きな要因


 2016年まで3年連続のBクラス。とくに、一昨年は致命的な失策が多く、守備面が大きな課題でした。そこで、新任の辻監督が内野手の浅村を主将に指名し、内野の引き締めを目指しました。全試合で遊撃を守ったルーキー・源田壮亮の加入が活力源となり、チーム失策数は101から88と激減とは言えませんが、失点に結び付かないことが多く、チーム成績が12のマイナスから18のプラスに転じた大きな要因といえます。


 これは、2月の宮崎・南郷の春季キャンプで予感させるものがありました。ここ数年は練習中の声が小さく少なく、はっきり言って活気がありませんでした。ところが昨年は大きな声が飛びかい、投内連係メニューでは緊張を保ちつつ元気一杯で練習に臨んでいたものです。これは、時代が違うとはいえ辻監督の現役時の西武黄金期では当たり前だったこと。キャンプから守りに対する意識が高まっていたものでした。やっぱり、「声」はプラスアルファを発揮する効力があるものなのです。



辻監督と忘年会でのツーショット ©中川充四郎



2018年の期待と予測


 さて、打倒ソフトバンクに燃える今季ですが、投手では先発組の野上亮磨がFAで巨人に移籍し、頼れるセットアッパーの牧田和久もメジャー入りが濃厚です。この穴を若手中心でいかに埋めることができるか。辻監督は大卒3年目の多和田真三郎、高卒4年目の髙橋光成に期待をかけています。昨季はこの2人で8勝でしたが、今季は合わせて20勝が計算できる先発ローテーション組に入って欲しいところ。そして、菊池に次ぐ左腕の先発としては、新入団の齊藤大将は未知数ですが、昨季はケガで中盤以降は働けなかった大卒4年目の佐野泰雄の名前が監督から出て「(左腕投手に弱いといわれている)ソフトバンク専用でいけたら」と話していました。絶対的なエースと言われた岸孝之が抜け、菊池が大きくブレークしました。若手がチャンスの意識をどれだけ高めることができるかがポイントになるでしょう。


 外国人投手もキーを握っています。先発では、ブライアン・ウルフが昨季は9勝止まりも二桁は何とか期待したいところです。先日獲得が発表されたファビオ・カスティーヨが先発で、ニール・ワグナーが中継ぎで牧田の代わりを、が現時点でのプラン。このところ新外国人投手は「ハズレ」が多いので、スカウトの手腕の見せ所です。


 野手に関しては、昨季終盤4番を任された山川穂高の使い方。エルネスト・メヒアの代役としてブレークし、DH、一塁手との併用になるでしょうが、森友哉がマスクをかぶらない時など難しいところです。主砲・中村剛也も常時守備に就くのは体力的に厳しい状況です。この面々が調子を持続すれば打撃担当コーチは相当うれしい悩みを抱えることになります。まぁ、チームとしては理想なのですが。


 2年目の源田壮亮も2年連続のフル出場が目標で、遊撃手は完全に固定しました。現役時代に監督が背負った背番号「5」に変わった内外野守れる外崎修汰もしぶとい打撃と足が魅力です。同じく背番号がひと桁の「9」に変わった木村は、控えにはもったいない選手といわれるほど打撃を確実なものにしたいところ。秋山翔吾、浅村はまったく心配はいりません。



15年ぶりにライオンズに復帰する松井稼頭央 ©文藝春秋


 個人的に一番の楽しみは松井稼頭央の復帰です。一般的な見方ではピークを過ぎた年齢(42歳)ですが、まだまだ十分な体力、技術は保持しています。言葉や行動でグイグイ引っ張るということではなく、存在そのものがチームにとってかけがえのない財産となるでしょう。前の西武在籍時代、若手を連れての自主トレでは、そのハードさに年下の選手が次々に脱落するほどでした。練習に取り組む姿勢、野球少年のような目の輝きはまだまだ健在です。


 今季の優勝へのポイントは、ソフトバンクと五分の勝負ができるか。菊池がこの相手に勝てるか。この2点に尽きると思います。


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(中川 充四郎)

文春オンライン

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