斉藤由貴「多様性がキーワード。ひと色ではない女性になる」

1月6日(日)7時0分 NEWSポストセブン

「スケバン刑事」から34年

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 この日、私服で現われた斉藤由貴(52)はハイヒールを履いていた。自然体なイメージからはかけ離れた攻めたピンヒールが、スカートの裾からちらりと姿を覗かせ艶めかしく存在感を放つ。


「このお仕事を始めてから基本的にハイヒールを履くようにしているので、これが普通。7センチ以上の高いヒールに足を通すと気持ちがシャキッとするんです」


 きけば部屋着では膝上の丈の服を着ることもあるのだとか。


「特に夏は暑いので短めのものを頓着せず着てしまうのですが、家族にやめてと言われて、だって暑いからって(笑い)。長女がまだ小さい頃には『お母さんぽくないよ』なんてね……」


 そう言うとふいに俯いて押し黙り、大きく見開いたその瞳を潤ませる。


「長女は大学生になって離れて暮らすようになったので、“あぁ、そんなふうに一緒にいたなぁ”なんて思い出したら、ふと懐かしくなっちゃって」


 まるで芝居を観ているかのような予測不能な感情の揺れ動きに、自然と引き込まれる。今月10日にスタートする新ドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)のキャスティングも、斉藤独特の「何を繰り出してくるか全く読めない変幻自在」な個性が鍵を握ったようだ。



「配役に際して変幻自在と言っていただけたのは、私にとってすごく褒め言葉でした。『QUEEN』は情報を捜査して裏で社会を動かす“スピン・ドクター”を日本で初めてドラマ化する作品で、竹内結子さん演じる異色の弁護士を中心にチーム一丸となってパワハラや名誉棄損など様々な社会的窮地から依頼者を守ります。


 私が演じる真野聖子は法律事務所の事務員。登場人物のキャラクター監修を手掛けた副所長役のバカリズムさんによると、『思いがけないスキルをいっぱい持っていて多才で謎多き女性』だそうで、“こんなことをやるんだ!”と非常に演じ甲斐のある、驚くべきスキルを発揮します。


 真野が全編を通じて着けている指輪があって、それがカメレオンモチーフなんです。実はこれがとんでもなく高価なジュエリーなんですが、変幻自在なカメレオンがすごく象徴的に役柄とリンクしています。事務員でありながらハイブランドを身に着け、性格や行動も両極端な要素を併せ持っている。そのギャップもとても面白いんです」


 地味そうで派手、ツンとしてそうでざっくばらん……と役柄が持つギャップを挙げつつ、自身のギャップを語る。


「私はあまりにも自分が揺れ動きすぎるんです、いろんな意味で。自分で自分のメンタリティをハンドルするのがすごく疲れたり、いやになってしまったり。それでいて、そういう“ずぅん”と落ちていく瞬間みたいなものを自分の中で虚構のように感じることもあったりして。どこか演じているような感覚が生まれて、そこから思いがけない突破口を見出して演技の集中力につながったりすることもあります」


 内に秘めたその激しい炎がきっと役者・斉藤由貴の魅力なのだろう。



「子供たちに対して親として必死で何かをして空回りして、そのやるせなさでガーッと強く言ったり、ピリピリした挙句にけろっと、『マミー、コンビニまで行くけど一緒に行く?』と誘ったりして(笑い)。そうすると子供たちもキョトンとしながら、一緒にお出かけしたりするんです。


 子供本位の母親ではなく私があまりにも私自身として生きているので、子供たちは付き合うのが大変なんじゃないかな。だからたまに真剣に『こんな母親はいなくなったほうがいいよね』などと甘ったれたことを言うと、子供も言ったもので『でも、私たちのごはんはどうするの?』って。で、『そ、そ、そうだね……』なんて日常です」


 撮影中、ふと斉藤が目線を向けた屋外に品のいい婦人が歩いていた。婦人の髪を「絹糸のような美しい白髪」と表現すると、歳を重ねる心境を語った。


「今、『QUEEN』の撮影で通うお台場には『ダイバーシティ東京 プラザ』という商業施設があって、調べたら、ダイバーシティって『多様性』という意味があって。それからなんとなく『多様性』が私の中で旬なワードなんです。そんなふうにひと色ではない、多様な色を自分の中で育てている女性になりたい。


 デビューは18歳で、当時はまわりの大人に『ひとことで言うと?』と問われると自分がひと色にまとまるべきなんだと思っていました。でも実はずっとそこに違和感があって。自分の中にいろんな色があるのは当たり前で、その複雑さをひとりの人間としても、役者としても大切に丁寧に育てていきたいんです」



 好きな色は「水色」。本来は無色透明な、それでいて何色にも染まれる水の色にたまらなく惹かれるのだという。


【プロフィール】さいとう・ゆき/1966年生まれ、神奈川県出身。1984年に『ミスマガジン』グランプリを受賞して芸能界入り。1985年に『卒業』で歌手デビュー。ドラマ『スケバン刑事』(フジテレビ系)、NHK連続テレビ小説『はね駒』を皮切りに、女優としてドラマや映画、舞台など幅広く活躍。1月10日スタートの新ドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系・木曜22時〜)に出演。映画『フォルトゥナの瞳』(2月15日封切り)、『空母いぶき』(2019年予定)の公開を控える。


◆撮影/渡辺達生 ◆取材・文/渡部美也


※週刊ポスト2019年1月11日号

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