坂上忍「芸能界のセクハラがなくなることはない」「女じゃなくて女性って呼べばいい?」の頓珍漢が恥ずかしい

1月7日(土)17時0分 messy

坂上忍『力を引き出すヒント 「9個のダメ出し、1個の褒め言葉」が効く!』東邦出版

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 1月3日放送の特番『好きか嫌いか言う時間 新春から超々々大激論SP』(TBS系)で、芸能界のセクハラ事情に言及する場面があった。

 <男女の価値観の差を徹底討論!>なるテーマで、女性差別についてスタジオゲストたちが話し合っていたときのこと。「男性の言動・行動が女性を傷つけている可能性が。その代表がセクハラ問題!」とナレーションが入り、(男性から女性への)セクシャルハラスメントが議題に掲げられた。VTRとナレーションで、どこからどこまでがセクハラと感じるかは人それぞれ、セクハラは労災の対象で認定基準を厚労省が作成している等の説明が入った後、「(厚労省の認定基準で)物議を呼んだのが今回の議題、『○○ちゃん』呼び。なんでもかんでもセクハラと呼ばれ弱体化してしまう男性の立場。○○ちゃん呼びがセクハラになってしまう社会、当然なのか、やりすぎなのか?」とのナレーションで画面はスタジオに戻された。スタジオでは当然だと思う人が「好き」の札を、やりすぎと思う人が「嫌い」の札を上げる。

 坂上は「嫌い」とあからさまな不快感を表明。「好き」の札を上げた渡辺満里奈が、「関係性だと思う。(自分の行為がセクハラだと)わからない人がいるじゃないですか、空気が読めないとか。そういう人のためにガイドラインを設定しておくのは必要なんじゃないですか」と言うと、坂上はキレた口ぶりで「えぇ!? よくそんなんで芸能界いるね。てか芸能界からセクハラなくなることなんてないでしょう?」と、坂上と同じく「嫌い」の札を上げたブラックマヨネーズ吉田の方を向いて問いかけ、吉田が「ないですないです」と頷く声にかぶせるように大きな声で「ないよ!」と断言した。

 渡辺満里奈は「(芸能界からセクハラがなくならないことは)知ってます、知ってます。散々でしたから。とんねるずさんとかすごかったですから」と受け流しつつ、「だけど空気の読めない変なおじさんのためにはそういうの決めておいてあげたら、女性が被害にあったときに(第三者も)『それセクハラですよ』って言える」と意見。坂上に「どうせカッコイイ奴が言ったら、なんでもOKなんだろ?」と返されると「まあまあ、それはしょうがない」と認めてしまっていた。

 その流れで、セクハラ相談の専門家としてスタジオに招かれた佐藤かおりさん(女性と人権全国ネットワーク共同代表、性暴力禁止法をつくろうネットワーク運営委員、パープル・ユニオン執行委員長、NPO法人全国女性シェルターネット前事務局長)がコメントを求められ、「職場の中で対等なパートナーであると認識があればいいけれど、ちゃん付けをされることで上下関係が意識される。年下であっても仕事上対等なパートナーならばそこに差別意識を持ってはいけない。セクハラに該当する」と説明。

 「それじゃ喋れなくなっちゃうんじゃない?」と問う坂上に、佐藤さんは「ちゃん付けっていうのはそんな親しく思っていなかった場合、馴れ馴れしいとかバカにされている、という受け止め方をされることがある。しかし『さん付け』ならばそういう感情は生まれづらい。仮にそういう感情を持つ人がいるのであればあえてその言葉を使う必要がないってことですよ」と解説した。



 「そういう制度をもうけたことで上司が『面倒くさいから男の部下としかつるまない』となったら、逆差別が生まれるのでは」というスタジオの一般男性からの意見、さらにスタジオの一般女性から「セクハラを騒ぐ女性は高学歴で自分に自身がある人が多い。私は自分に自信がないからそういう女性に勝とうと思ったら逆に上司のおじさんとかにセクハラされるように仕掛けていく」という声も出た。

 坂上は後者の女性に「あなた正直に言ってくれたと思う。いつも男女平等とか女性差別とかいう話になったとき、女使って何が悪いんですかっていう女性だっているじゃない。そうしたら、セクハラOKな女性とNGな女性との判断難しいよね上司は」と頷き、結局この議題は「男性が女性の気持ちわかるのってめちゃくちゃ難しい」ということでまとめられてしまった。番組として、これを放送する意義があったのか疑問だ。特にMCの立場でありながら終始「オレは全然わかんねえわ〜」と顔をしかめるばかりの坂上。ある意味、視聴者の総意を代表しているのかもしれないが、セクハラ問題や日本社会の構造的な女性差別を軽んじているその姿勢は“芸能界の御意見番ポジション”たるに値するものだろうか。

 セクハラ問題以外のテーマで議論した際も、坂上は「『女』じゃなくて『女性』って言えばいいの?」等、頓珍漢な発言を繰り返し、しかめ面を浮かべていたが、その見識の浅さを本人が恥ずかしいと思わず堂々と発言していること自体が滑稽にうつった。坂上がバラエティで再ブレイクした数年前、“破天荒”で“毒舌”の非・優等生的キャラクターを売りにしていたものだが、同番組での振る舞いは破天荒とか毒舌とかではなく、固定観念が強く、意見の異なる相手を威嚇するばかりの厄介なおじさんである。

 そもそも番組自体、<なんでもかんでもセクハラと呼ばれ弱体化してしまう男性の立場…>というスタンスで制作されているもので、台本通りに展開される議論に期待しても無意味なのだが、正月からプライムタイムにこんな特番が平然と流れることにただただがっかりだ。差別やセクハラを論じるとき、言葉遣いの問題や、“エロ”の度合い云々ではなく、相手の自尊心を傷つけることや相手に恐怖を与え仕事しづらくさせることなどについて議論を展開させることはできないものだろうか。

(清水美早紀)

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