単なる日常モノとしては読めない、心の痛さが光る『JK小説家っぽい!』

1月7日(土)11時0分 おたぽる

『JK小説家っぽい!(1)』(メディアファクトリー)

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“ワナビ”とは、作家志望者に対する蔑称。まったく箸にも棒にもかからずに、せいぜいが「小説家になろう」系サイトに投稿しているだけで、一生を終える人のことをいうのだそうです。

 でも、たとえ、なかなか芽が出ないとしても書き続けるということ自体が素晴らしい。

 だって、たとえプロになって本が出版されたとしても、まったく売れない。評価されない。自分よりも、くだらないヤツのほうが売れている。そんな悪循環の中で、身を滅ぼしていく人間のほうが、多いのですから。

 ああ、筆者も、こうやってネットニュースの記事などを書いて日々の生活費を稼いではいますけれど、そろそろ人生の先が見えた感じが……。とはいえ、帰る田舎もないので、体操座りして、お迎えが来るのを待つしかなさそうです。

 さて、そんな時に読んだのが、みかみてれん(原作)・九郎(作画)『JK小説家っぽい!』(メディアファクトリー)であります。

 タイトルだけ読んだら「JKで小説家ってなんだコノ野郎」と、2次元と3次元の壁を越えた怒りに打ち震えてしまいます。でも、表紙カバーをまじまじと見ていると、考えは変わりました。太ももの部分に描かれている、ガーターベルトみたいな妙な紐。

 もしや、このマンガはエッチなシーンも、いっぱい出てくるマンガなのかと妄想が広がり購入せざるを得ませんでした。

 物語のヒロイン・星沢なびは、11年も小説を書き続けているJKです。JKなのに11年もというのは、どういうことかといえば、5歳の時に初めて書いたラノベが二次選考を通過。その時には「神童」と、持てはやされたそうです。

 でも、以来、まったく芽は出ずに11年間ずうっと新人賞の選考に落ち続けているというのです。

 そんなヒロインが、文芸部の部室で女の子たちと『けいおん!』(芳文社)的なキャッキャウフフをしながら、投稿を続けるのが、この作品の軸なのです。

 でも、ちょっと「??」な部分が。「神童」と持てはやされたのに、本が出なかったとは、いったい……? 筆者が編集者ならば「天才少女現る」みたいな感じで、売り出しますよね、絶対。文章が稚拙? 話が面白くない?

 大丈夫です。編集者が手直し……リライト……方法はいくらでもあります。作品は、作家が一人でつくるものじゃない。「みんな」でつくる物なのですから!

 だって、小説はマンガと違って文字だけなので、様々な人の介入が容易ですからねえ。日本の文学史を紐解くと「ただ今処女作執筆中」というキャッチコピーで売り出した椎名桜子なんてのも、いましたし……。

 でも、この作品は、そんな汚い出版業界の実情とは無縁です。ヒロインは、ひたむきに小説を書いていますし、周囲の友人たちは、やたらと応援ムードです。

 そんなストーリー自体は、前述の通り『けいおん!』的な日常モノとして面白いでしょう。面白いけれども……やっぱり違和感も残ります。というのも、ヒロインの星沢なびが、成績優秀で運動神経も抜群と、非の打ち所がないキャラ設定なんですよね……。

 執筆しているジャンルが、ラノベですから関係ないのかもしれませんけど、真面目な人が書く小説って、面白いんでしょうか? そんなことは、ないと思いますよ。
(文=大居候)

おたぽる

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