宗教二世と機能不全家庭の共通点?!「私たちの不眠話〜菊池真理子×成宮アイコ〜」【後半】- 自分が受けた傷に苦しんでしまうのは正常、親を許さなくてもいい。

1月7日(木)17時6分 Rooftop

家族と宗教と不眠

成宮:では、最後のコメントです。これはぜひゆっくりお聞きしたいなと思います。

『菊池さんや成宮さんこんにちは。 「生きやすい」2巻発売おめでとうございます。 夜中の2時半、今日も眠れない中で入力しています。 私は親がいわゆるカルト宗教に属しているカルト宗教二世で、信仰や多額の献金を強要されて育ちました。今は反発して宗教も親元も離れ、結婚して数年経ちますがそれによって受けた心の傷や穴が塞がらず今もなお不眠と悪夢に悩まされています。 市販薬の睡眠導入剤を含めあらゆる睡眠に良いとされている方法を試してみましたが未だに睡眠リズムが整いません。 頭と心と身体がバラバラで連携が取れていない感じです。 自分の子供には親(私)のせいで辛い思いをさせたくないので落ち着くまでは…と妊娠を避けていますが出産適齢期なのにメンタルは病んだままどんどん時間だけが過ぎていき気が狂いそうです。 本当は今1人でパニックになりそうで、すぐ誰かにこの話を聞いて欲しくてこちらに書かせて頂きました。 私を含め眠れない皆さんに必要な睡眠が訪れる事を願っています。』

菊池成宮:……!

成宮:……自分も眠れないのに最後にこんなに優しい言葉を。これはやっぱり、不眠だけではなくてメンタルの問題ですよね。

池:不眠って、メンンタルの癒されていない部分が体に出ているってことだから、そこだけを治そうっていうのはきっと無理なんだよね。せめて、「まずは不眠だけでも対処療法でなんとかしたい」と思ってわたしたちは薬を飲んでいるけど、不眠の根っこにある部分をなんとかできたらいいよね。

成宮:そうなんですよね、強制的に眠れるようにはなっていますけど、これって、不眠にさせた原因はとりあえず見ないようにしているだけですもんね。

池:これは、前にアイコちゃんが教えてくれたことだけど、「メンタルの問題が解決していっても不眠は最後まで残りやすい」って、すごくわかる。不眠とか悪夢って無意識が関わる部分だけど、意識が癒されても無意識の部分でそこに反発していると、睡眠障害っていう形として出るのかなって思う。この方も、本当は一人でパニックでなりそうなのに書いてくださっていて…。

成宮:しかもね、このコメント、夜中の2時半に送ってくださっているんですよ。いちばん眠れなくて焦る時間帯ですよ。それなのにみんなの睡眠を願うって言葉をかけてくれて。

池:優しいね…。とにかく昼間の段階で、なにかメンタルにアクセスできたらいいなと思う。

成宮:たとえば菊地さんは、お母さんや宗教の問題に対して、解決や癒しまではいかずとも断ち切るというか、脱したタイミングはありましたか?

池:母親がすごく宗教熱心だったから、わたしたちも集会に連れて行かれたりしたんだけど、子どもだから正座をしてお経をあげ続けるって苦痛なのね。だから、わたしや妹は宗教にはまりこんではないないの。めんどくさいしやりたくないけど連れて行かれている、っていう状態だったから。母が亡くなってからはもうやらなくて済んだけど、この方みたいに多額の献金を強要されていたわけではないから、自分自身が宗教から気持ちを離すのはすごく楽だった。…と言いながらも最近になって思ったのは、わたしの頭の中のツッコミ、たとえば、「仕事ばっかりしてつまんない人生だな」とか、「もっとこうしなければいけない」っていう声ってわりと宗教の声だなって気づいたの。だから、本当の意味では抜け出せていないのかもしれない。

成宮:そんな部分にも影響が…。

池:たとえばわたしは、"怒っちゃいけない"ってずっと思っていて。誰かに対してムカっとしたときにも、ムカっとしてしまう自分を罰していたんだよね。「わたしはムカっとしてしまうんです、なんて性格が悪いんでしょうか」ってカウンセリングで話していたら、「いや、ムカっとしていいんだよ! それを顔に出していないなんてすごいじゃない!」って言われたのね。それは、たぶん普通の人だったらわかることなんだけど、わたしはそれを説明してもらわないとわからなかったの。もともと考え方の基本がないものは、外から誰に教えてもらわないと気付けないんだよね。

成宮:そもそも、そういう考え方もあるっていうのを知らないですもんね。だって、これまでの人生になかったんだから。

池:それが特に宗教って、「〜しなければいけない」「〜するべきだ」っていう論理で仕上がっていて、とても強固だから。

成宮:知らない間に影響を受けまくってしまうんですね。

池:だから、これはつらいよね。もしこの方が子どもを欲しいなと思っているんだったら、こういう風に客観的に自分を見られている方は、半分くらいはすでに自分のつらいところから抜け出しているはずなので、大丈夫だと思う。きっといいお母さんになるよ。

成宮:今は宗教を抜けているそうで、親元も離れているそうなのですが、それでも心の穴はふさがらず今も不調…とのことで、菊地さんの書籍『毒親サバイバル』にもつながると思うんですけど、現状がそうじゃない環境に逃げられたとしても、その体験をした自分のまま生きていかなくてはいけないわけで。わたしも過去の家族のことを思い出すと、今はもう亡くなっているから解放されたはずなのに、それでもわたしの中ではなお生きているんですよ。

池:うん、そうだよね。そうなんだよ。今はいない人だったり、今は切っている教えなのに、まだ影響をしてくる。でもね、忘れることはできないけど、影響を受けなくなるとか薄くしていくことはできると思ってる。

成宮:呪いのようなものの断ち切り方は難しいですよね。もう考えないぞって決めても、自分の意識とは違うところで、じわじわと過去の体験が自分を侵食していくじゃないですか。

池:するする。わたしの不調が大丈夫になったのは、アイコちゃんと喋るようになったのがすごく大きくて、だめだったりつらかったり悲しかったりしたことをそのまま話せるっていうのはとても意味がある。話せないままだと進めなくない? ずっと一人で抱えていくのは無理。

成宮:わたしだけがこんなネガティブなことを思ってしまっている、って思い込んで、考え方も閉じこもってきちゃいますもんね。

池:体験はそれぞれ個別のものだけど、共通するものってわりと数パターンで決まっていて、それを共有できる人がいるのはとても大きいと思います。

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許すことを前提にする考えに心を乱されないで

成宮:「親を許そう」とか、許すことを前提にする考えに心を乱されないでほしい…それが合う人もいるかもしれないけど、でも許すことを美徳とされるのっていやなんですよ。そうできない自分をますます自分で受け入れられなくなってしまうし。

池:全然、許さなくていいよね。だってさ、いじめっ子があやまってきてもいないのに許さないじゃん。

成宮:そうですよね。だって、「許してあげる必要はあるのか?」とも思うし。暴力や罵倒や宗教の押し付けは、本来は受けなくていい苦痛じゃないですか。受なくていいものを勝手に受けさせられたのに、こっちが許すってどういうこと? って思う。

池:そうそう、「相手はなんにも反省していないのに、なぜわたしたちだけが一方的に許さなくちゃいけないの?」って思うよね。

成宮:よく言いますよね、「許すことで自分が癒される」って…。いや、ないでしょ、そんなのないですよ(笑)! 相手はのうのうと生きているのに、こっちは苦しんでいるままですもん。

池:ないない(笑)!

成宮:自分が受けた傷に苦しんでしまうのは正常、って思うことくらい許してほしい。

池:ほんとうに! そういうお話しをどんどんしていきたいよね。家庭が難しかったアダルトチルドレンの人っていろんな自助グループがあるけど、宗教2世さんが心置きなく話せる場所はあんまりないな、って最近思っているの。

成宮:あきらかに虐待な行なわれていたり、教育の場が奪われていたとしても、思想って他人が入りにくい話題だし、いわゆるポピュラーなものではないですよね。でも、それこそ自分を含めですけど、毒親とかアダルトチルドレンの人たちとの親和性ってすごくあると思うんですよ。

池:むちゃくちゃあると思う。宗教特有の、びっくりするような、「家庭内でそんなことされたの?!」っていう話しをなかなか言える場所がないから。だから、こういうイベントとかで話していきたい。

成宮:ここにコメントを送ってくれた方も、それぞれ生活や日常で密に関わっていない関係性だからこそ話せる部分ってありますよね。

池:そうだよね。だから、そのときだけは普段の自分と違うキャラで来てもらってもいいし。

成宮:普段は着ないような服で陽キャになって、「親とか、超ヤでぇ〜」みたいなキャラ設定で自分を偽造して遊びに来てくれてもいいですし。

池:それすごくいいね(笑)。配信とかでも、宗教の名前は出しにくいし。もっとこう、クローズドだけどオープンな場所を作りたいな。

成宮:話したいし聞きたいですね。自分だけじゃなかった、って安心したい。家族問題がある人って不眠の方が多いと思うんですよ。

池:そうだよね、きっと。もちろん、そういう家庭だけど眠れますって人もいると思うけど、不眠の人はだいたい家族関係に問題を抱えてきたりすることが多いよね。

成宮:バックボーンって自分で選べないですもんね。でも、血縁の美しさをいくら語られようが、血縁じゃない人のほうが関係が良好な場合もあるじゃないですか。

池:そういう話しはいつまでたっても消えないよね。血縁じゃないほうがよっぽど濃く繋がれたりもするのに。

成宮:あと、他人だとわりと許せることもありますよね。実の父親にされたら超いやなことだけど、赤の他人だと、泥酔していたら心配してあげられたり……。

池:わたし、アイコちゃんからそのお話いを聞いてすごく救われたの。わたしは父がアルコール依存症だったので、いまだに酔っ払っている高齢男性は苦手なんだけど、そういう複雑な感情をどうやってカバーしているの? って聞いたときに、「家族じゃないから平気」って答えてくれてすごく救われた。確かに、家族じゃない人にならわたしも優しくできるかもって思えたし。

成宮:介護のお話しも似ていると思っていて、それでも問題があるのを前提ですけど、他人だと許せることってたくさんあるなって。今だけの関係、仕事という時間だけの関係、その場所だけの関係、とか、個人的な生活とは関係ない人だと優しくできたりするなって。だから、家族を大事にっていうのはちょっと…。

池:無理(笑)!

成宮:無理(笑)! だから、嫌いだったり憎かったりする血縁にはきっと別の人間関係があって、わたしが他人には優しくできるように、知らない誰かにきっと優しくしてもらっている…って思いたい。

池:そうだよね、わたしたちの嫌いな親も誰かにとってはいい友人。

成宮:わたしたちがわざわざ苦痛を伴ってまで許容してあげる必要はない。もう他人にまかせよう。

池:それはすごくいい考え方。血縁同士は無理だよね。うちは今、もう両親がいないけど、もし生きてるって思ったら卒倒するよね。無理無理無理! きっとイベントも出演していないし、漫画も描けていないし、急に不安になって泣いたりして、パニックと怒りの中にいたんじゃないかなと思う。

成宮:逃げると、「親を捨てたのね」って言う人もいるけど、「逃げない選択肢は、わたしは自分を殺すことになるんですけど、あなたはそれを良しとするんですか?」って思っちゃうもん。

池:そうだよね、だから世間一般の常識みたいなものも、ちょっとずつ変えていけたらいいな。変化していきたいよね。

成宮:理解は広がっているのかなって思うけど、それでも家族の絆を強要される場面ってまだ多いから。大切にしたい人は大切にしたらいいけど、したくない人はしなくていい。

池:ほんとにね、いちいち他人の家族に口出ししてこなくていいよね(笑)。

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宗教二世と機能不全家庭の共通点

成宮:コメントがきています。「宗教二世の生きづらさイベントやってほしいです」って! わたしは宗教的な悩みはなかったのですが、典型的な機能不全家庭のわかりやすいアダルトチルドレン家庭だったので、その共通事項を話しあいたいですね。でも宗教の場合は、宗教だけじゃなくて親からも縁を切らないといけないですもんね。

池:宗教って神様とか、人間以上の存在を出して脅してくるから、本当に自分を罰する力が強くなると思うんだよね。

成宮:主語もでかくしてくるし(笑)。

池:だって、相手が悪魔とか地球だから(笑)。そういった巨大なものと戦わなくちゃいけないから、大変だよね。それに、やっているうちにだんだん、「これ嘘だな」って見えてきちゃうし。いくら綺麗事ばかり言っても、宗教ってめちゃくちゃお金とるんだな、とか大人になればわかってきちゃうし。

成宮:その事実って、信仰の真っ最中の人も気づいちゃう瞬間はあるんでしょうか。

池:聞いてみたいの、それ。うっすら目が開くこともあるのかな?

成宮:AC家庭の中でも似ていることがあって、家の中に毎日暴力があるとそれが日常になっていても、「どうやらこれはおかしいぞ」って薄々気づく瞬間ってあるんですよ。他の家に遊びに行ったらお父さんめっちゃ優しいし、おじいちゃんお菓子くれたりするぞ、って。

池:他の家と比べて衝撃を受けることってあるよね。

成宮:それなのに、「でもきっとこれは多少のズレで、うちはそんなにおかしくはないはずだ」って自分でバイアスをむりやりかけて、平気だったことにしちゃうんですよね。宗教もACも自分の意識を無理して補正をして、自己暗示をかける気持ちがある気がします。

池:若い段階では気づけないよね。本人が自分で気づくってなかなか難しいと思う。

成宮:前回、菊地さんの一緒にイベントをしたときも、いろんな方のエピソードを読み上げて、「お焚き上げのようだった」って感想をいただきましけど、そういうことをやっていきたいですね。

池:生きづらいひとがいっぱい集まれば、生きやすい世界になると思うんですよ。だから、宗教2世の生きづらさを語るイベントはぜひ開催したいなと思っています。

成宮:実現しましょう! それまではSNSで、夜中の2時半くらいにお会いしましょう。

池:眠れないよーってつぶやきましょう。

成宮:本日はありがとうございました!

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眠れない夜は自暴自棄で枕を投げ飛ばし、眠れた日には世界が100倍美しく見える

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