教育テレビで40人の偉人を演じてきた中村獅童の「凄いところ」

1月7日(水)7時0分 NEWSポストセブン

 2012年から放送している小学生向け社会科番組『歴史にドキリ』(NHK Eテレで毎週水曜9時20分〜、10分間放送)。歌舞伎役者の中村獅童が40人にも及ぶ歴史上の人物を、現代風にアレンジしながら歌とダンスとともに演じ、大きな話題となっている。大人も楽しめるこの歴史番組の裏側を獅童が語る──。


 画面に映し出される黒髪の美女がこう言う。《あ、私は卑弥呼。そうね。今から、かれこれ1800年前にいた謎の女王なのよ》。この卑弥呼に扮しているのが歌舞伎役者の中村獅童。「でもさあ…」と、卑弥呼になったわが姿を見て、獅童はこうつぶやく。


「気の毒だよねえ、今の小学生は。だって、卑弥呼なんて神秘的な女王っていわれていたのに、この番組で卑弥呼を勉強した子供たちは、ぼくの顔で卑弥呼を覚えて大人になるわけでしょ? それはうれしくもあるけれど、気の毒でもありますね(笑い)」(獅童・以下同)


 これまで演じた歴史上の人物は40人(2014年12月19日現在)。番組では、邪馬台国女王・卑弥呼から明治の文豪・夏目漱石まで、男女問わず獅童が毎回、違う偉人になり切って、歴史をわかりやすく伝えている。


 しかも1人1人の人物の台詞回しや声色を変え、表情も時には目を細め、時には眼光鋭く、とにかく芸が細かい。


「歌舞伎役者って舞台で何役も演じるでしょう? ぼくは率先して道化役から女形まで何でも演じてきました。そういった経験が、この番組に生きているんじゃないかな」


 獅童を起用した理由について、同番組ディレクターの西澤道子さんは次のように語る。


「1年に20人もの人物を“演じ分ける”という点を第一に考えたときに、“獅童さんがいいな”と思ったんです。でも、お忙しいし、断られるかな? と思っていたら、獅童さんのお母様(故・小川陽子さん)が、“素敵ね、やるわよ”と快諾してくださったんです。踊りも“獅童は歌舞伎役者ですから、舞えるわよ”と、お母様のひと言で決まり(笑い)。


 獅童さんのすごいところは、男性が女性を演じる場合、普通は“女装”になるもの。でも獅童さんは、歌舞伎役者なので、所作がとてもきれいで、コスプレでも女装でもなく、“女形”になるんです。とても素敵なので当初の予定よりも、女性の役を増やしたほどです」(西澤さん)


 歴史上の人物を演じるだけでなく、歌、踊りもすべて1人でこなす。そんな収録に最初は戸惑い気味だったという彼だが、いざ、収録では本気。全力で演じ歌う。


「ぼくが番組で歌う『ドキリ・ソング』の曲は、事前に渡されるんですが、振りはその場で覚えます。歌もダンスも毎回、覚えるのが大変ですね」


 教科書の指導ポイントや、現場の教師へのヒアリングをもとにディレクターが作詞し、作曲は音楽プロデューサーの前山田健一(ヒャダイン)が手がける。


「ぼくが日本一、ヒャダインさんの歌を歌っているんじゃないかな(笑い)」


 そう獅童が自負するほど、毎回、違ったアレンジの歌に挑戦しているのも見どころだ。


「『ドキリ・ソング』は、曲調によって歌い方を変えています。たとえば、西郷隆盛の時は、ブルーハーツの甲本ヒロトさんっぽく、ジャンプしたし、ペリーは、スタイリッシュに吉川晃司さん風…(笑い)」


 大人が聞くと、“ああ、懐かしいあの人っぽい歌い方だ”と新たな発見があるのも、この番組の楽しみだ。一方で、ダンスには毎回苦労するという。


「紫式部の時のように十二単を着てパラパラを踊ることもあれば、鎧兜で激しい動きをすることもある。ダンスシューズを履いているわけではないから、毎回、苦労しています。振り付け担当の振付稼業air:manさんの指導に、ついていくのに必死です」


 番組は2本撮りをすることが多いが、扮装に約1時間。そこから振りを覚えて本番。収録は1日がかりの大仕事だ。


※女性セブン2015年1月22日号

NEWSポストセブン

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