『西郷どん』 注目は男にも女にもモテる未熟でうかつな主人公

1月7日(日)7時0分 NEWSポストセブン

新大河として注目の集まる『西郷どん』(公式HPより)

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 明治維新の立役者のひとり、西郷隆盛の生涯を描くNHK大河ドラマ『西郷どん』。鈴木亮平(34才)が演じることでも話題を集めているが、新大河の魅力はどこにあるのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。


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 いよいよ2018年の大河ドラマ『西郷どん』が始まります。主人公は「明治維新の英雄」として誰もがその名を知る西郷隆盛。しかし、西郷の人生は、日本史の授業で習ったような薩長同盟や倒幕に留まらず波乱万丈で、肖像写真が一枚もないように謎も多いなど、ドラマ化するには格好の人物です。


『西郷どん』最大の見どころは、主人公・西郷隆盛の全身から放たれる魅力。キャストやスタッフがコメントしているほか、ホームページなどでも何度となく「男にも女にもモテる」というフレーズが使われていますが、「視聴者からもモテそうな」人物設定がなされているのです。


◆女性作家・女性脚本家が描く「男の中の男」


 西郷は貧しい下級武士の家に育ちながらも、人と故郷を愛す大らかな心の持ち主。豪快に話し、笑い、食べるほか、困った人は放っておけず自分のお金や食べ物をあげてしまうお人好しです。


 特筆すべきは、脇が甘く、スキだらけの人物像。愚直で行動力がある一方、決して聖人君子ではなく、随所に未熟さやうかつさを見せて、何度となく失敗をしてしまいます。たとえば、ケンカで腕が不自由になり、2度の島流しに遭い、3度も結婚したほか、明治維新を成し遂げながらも西南戦争で自ら命を絶つという最後まで、英雄にしては失敗の多い人生と言えるでしょう。そんな失敗で立ちふさがった壁をぶち破り、成功を勝ち取る姿が人間くさく、爽快感があるのです。


 西郷を演じる鈴木亮平さんは、まさに縦横無尽。表情や声から、腕、足の先まで、全身を使った躍動感のある役作りで、視聴者に元気を与えるような演技を見せています。鈴木さん自身、「吉之助(西郷隆盛)は全部を背負っていく人間」「ここぞの時は“どん!”と猛進するほど血気盛ん」と語っているように、視聴者は何度となく器の大きさを感じさせられるのではないでしょうか。


 面白いのは西郷を描く2人が、ともに女性であること。原作の林真理子さんと脚本の中園ミホさんは、ともに女性の生き方を描く名手だけに、対極に位置する「男の中の男」西郷隆盛をどう描いていくのか。これまでとは異なるイメージの西郷隆盛像が見られるでしょう。


◆愛し、愛されるリーダーが脚光を浴びる年に


 そんな西郷に影響を与え、魅力を増幅させているのが周囲の登場人物。カリスマ性あふれる薩摩藩主・島津斉彬(渡辺謙)、生涯の盟友でありライバルの大久保利通(瑛太)、信頼関係で結ばれながらも最後は袂を分かつ弟・西郷従道(錦戸亮)らとの関係性は、主従や友情を超えた命懸けの深い絆を感じさせます。


 西郷は女性からもモテモテだっただけに、女優陣もタイプの異なる美女ぞろい。斉彬の養女・篤姫(北川景子)、隆盛と恋仲になる島の娘・愛加那(二階堂ふみ)、3番目の妻・岩山糸(黒木華)らとの恋模様にも期待していいでしょう。


 その他にも、目まぐるしく変わる時世と人間関係、薩摩の雄大な自然、鈴木さんそっくりの子役・渡邉蒼くんなど見どころは多彩。ただそれでも前述したように、「すべては西郷隆盛の魅力あってこそ」の作品になるでしょう。


『西郷どん』で描かれる西郷隆盛は、もしかしたら明治維新から150年を経た現代の日本にこそ求められるリーダーなのかもしれません。同作の影響で、政治、経済、スポーツ、音楽などの各分野で、「人を愛し、人から愛されるリーダー」が脚光を浴びる一年になる予感がしています。



【木村隆志】

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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